関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第124話 Battle:Seoul


議長:ほんなら『第3回 人類・天使族シンポジウム』を始めまっせ。前回はどこまでやったかいな?
文化人類学者:天使族の出現による戦争の消滅についてですわ。
議長:そやったな。世界中の戦争行為の現状と、それがどんぐらいのうなったんか、地域ごとに見て行ったんやったな。
統計学者:それを報告するだけで、与えられた時間オーバーしてまいましたからな。原因を話し合う時間がなかった。
文化人類学者:原因て、そんなん天使族の歌を聴いたら判るやろ。あの歌の前では、あらゆる人間が平和な気分になって戦闘意欲を失うんや。
  日本では『逆マクロス』現象と呼ばれとるようやけど。
統計学者:気持ちはわかるけど、あの歌だけが原因と決めつけるのは短絡的やないか?
社会心理学者:仮にそうだとしても、あの歌に秘められた心理パワーの源を検討する必要がある。
軍事評論家:その通りや。こうも易々と戦闘意欲を失うとしたら、我々人類は天使族に重大な心理的弱点を握られてることになるからな。
天使族大使:ウチらの訪問によって、お宅らの争いがのうなったんは、ホンマ計算外ゆうか、予想してなかったことですわ。
  ウチらの姿や声が人間に与える影響については、ウチらの学者も急いで研究しとります。
議長:いやいや、責めとるわけちゃいますで。むしろ感謝しとるちゅうか、なぁ?
  ただ、地球上で紛争がないなんて事態は、人類史上かつてなかったもんで、みんなびっくりしとるだけですわ。
文化人類学者:韓国を除いてやけどな。
議長:あいつら、ホンマ人類の面汚しやで(むかむか)。


さささっ
ユリ「(覗き)うーむ。やっぱり居留区のゲートには歩哨が立っとるわ」
ソニ「軍人はもお他に仕事ないからな」
ティパニ「(すく)ウチが行って、色仕掛けで油断さすから、その間に自分ら脱出するんや」
テヨン「大丈夫か?」
ティパニ「当たり前や。この超ミニスカート見てみ。『アンブレラ』の時の衣装引っ張り出して来たんやで」
ソヒョン「すごいわ、どう見ても夜鷹や…いてて」
ティパニ「ふん。ほな、行ってくるわ」

テヨン「どや?」 ← 近眼
スヨン「兵士たちの前を行ったり来たりしてるわ。すんごいモンローウォークしとる」
ユナ「あ、兵隊さんが吹き出した。パニねえ、真っ赤になって戻って来るわ」
ティパニ「(どたどた)ウッキー! むかつくわぁ」
ユリ「どないしたんよ?」
ティパニ「歩哨の奴、ウチのクルボクチ見て『ふとっ』とか『みじかっ!』ゆうて笑うんやで。自分の足よりよっぽど細くて長いっちゅうねん!(半べそ)」
ソニ「もはや、天使族体型がスタンダードやからなぁ」
ジェシカ「よし、ウチが行って、このスウィートヴォイスで虜にして来てやろう」
テヨン「ならウチも行く」
ジェシカ「えー? ウチひとりで充分やわ」
テヨン「多分自分が思てる状況にはならへんさかい、そん時のためや」
ジェシカ「なんか、ひっかかる言い方やんけ」
テヨン「行けば判るて。ほれほれ」
てくてくてく
ジェシカ「はーい、兵隊さん。ウチの甘い歌はいかが?
  ♪ナン アジッ チェジャリジョ ヨジョンヒ クデ ギョテソ〜オ
兵士「う、うええ! 耳が腐るぅ(ヨロヨロ)」
兵士「は、吐くう(ゲロゲロ)」
ジェシカ「失礼な奴らやな」
テヨン「今や(延髄切りッ!)」
ドカバキッ!
兵士たち「きゅうう…」
テヨン「(クイックイッ)さ、今の内にゲートを抜けるんや!」
全員「ハーイ!」
パタパタパタ…
ソヒョン「全員脱出成功です!」
ヒョヨン「結局力尽くなんやもんなぁ」
ジェシカ「”耳が腐る”やとぉ…(ムカムカ)」
スヨン「天使族の歌を聴いた後ならしゃあないわ」
ユリ「よりによって『ウチのせいやね』で勝負することないやろ。ウチまで傷ついたわ」
テヨン「よし。とりあえず川向こうを目指そ。ジュの奴はどこにおるねん?」
クッキーマン「狎鴎亭…旧SMEが奴らの本拠地や」
ソニ「JYPEやのうて? どこまで図々しいねん」
テヨン「まぁその辺はウチらの庭みたいなもんやからな。却って好都合かもしれへん。行くで!」
ソヒョン「待ってや。手ぶらで行くんか? 向こうは武装しとるんちゃうの?」
クッキーマン「そやねん。どっから仕入れたか知らんけど、小銃やらミサイルやら毒ガスやら、やたら持ってるんや」
ソヒョン「くっそー、ウチの部屋から勝手に持ち出しやがったな」
全員「自分のかよ(こけ)」
ソヒョン「とにかく得物なしで戦うのは得策やないと思う」
スヨン「ほな、どおする? すぐに追っ手が来るで」


陸軍参謀総長「はぁ、龍山の難民居住区の兵士がやられた? 龍山に難民居住区なんてあったか?」
将軍「当時KBSやMBCにおったアイドルを、とりあえず龍山に収容したんですわ。汝矣島は議事堂やらあるさかい、難民居住区にしたらあかんて大統領が…」
参謀総長「ああ、そやったな」
将軍「逃げ出したのは、狎鴎亭居住区でのアイドル狩りに対する反抗勢力のようです」
参謀総長「むう。不細工な上に半端な歌しか歌えんクセして生意気な」
将軍「どないします?」
参謀総長「放っておいてもアイドル狩りグループに殺られる思うけど、ワシら今すげー暇やし、戦車でも出して冷やかしてみるか」
将軍「ヘリもつけまっか?」
参謀総長「そこまではええやろ。燃料代が高いし」
将軍「へえ。ほなK2戦車1両、直ちに派遣しまーす!」
参謀総長「ほーい、許可しまーす! なんちゅうて、軽いなー、ワシら(笑)」


ゴオー
キュルキュルキュル
ティパニ「な、なんや、あの音は…」
クッキーマン「(そー)わっ、戦車や。戦車が向かって来よるで」
ソヒョン「ホンマや。あれはK2黒豹や。いきなり最新鋭の兵器投入して来よったで」
ソニ「うーむ。ウチらを『俗物図鑑』の梁山泊プロダクションのように力尽くで排除する気やな」
クッキーマン「ど、ど、どうする? あんなでかい大砲撃たれたらひとたまりもないで」
ソヒョン「タクティカルアーマー震電”があればなぁ」
テヨン「大丈夫や、ウチに考えがある。みんな耳貸して」
キュルキュルキュル…ピタ
戦車「あー、あー、チミたち、そこに隠れとってもこっちの最新式赤外線センサーにばっちり映ってるよん。大人しく投降しなさーい!」 ← 拡声器
全員「うわーん、ごめんなさい(ててて)」
戦車「お、聞きわけがええね。おっちゃん、そういう子は嫌いやないで。さぁ、一列に並んで。手を挙げて膝をつくんや」
テヨン「よし、ダンス隊、行動開始!」
ヒョヨン/ユリ/ユナ/スヨン「うっふ〜ん(チラチラ)」
戦車「わぁ。そんな汚い生足を見せるんじゃない。膝をつけって」
テヨン「続いてヴォーカル隊用意、シージャ!」
テヨン/ジェシカ/ソヒョン/ティパニ/ソニ「♪お呼びですかぁ? ねぇ言いかけたSOSはマジだぁ〜」
戦車「う、うええ。やめれ、脳が腐る。歌詞が変やから、なおさら気持ち悪い」
テヨン/ジェシカ/ソヒョン/ティパニ/ソニ「♪ほらまさにここで素直じゃなきゃ 何か願うなら君と恋に落ちたGenieよ〜」 ← ボリュームアップ
ぱかっ
車長「こ、こりゃたまらん。おええええっ!」
テヨン「ハッチが開いたで。今や、全員引きずり出せ!」
全員「おおっ!」
ユリ「よくもウチの脚を汚いいいよったな(ポカンバカン)」
車長「きゅうう」
ジェシカ「お前なんか、マジで脳みそ腐ったらええんや(ドカバキ)」
砲手「ぎゃー!」
ソニ「必殺、短足回し蹴り!」
操縦手「きゃんきゃん!」
テヨン「よーし、この戦車は我々少女時代が乗っ取った。貴様らは歩いて屯所まで帰るがよい」
車長「ア、アホなことを考えるな。軍に逆らうなんて…」
ティパニ「やかましい! もっかい耳元で歌うてやろか?」
車長「そ、それだけはご勘弁を(ブルブル)」
ソニ「さっさと、去ね去ね」
ユナ「ところで、乗っ取ったのはええけど、これ誰が運転すんの?」
ヒョヨン「(さっ)ウチ、無限軌道車免許持ってるで」
ユナ「ええっ?」
ヒョヨン「ひとりだけ個人活動ないとき、暇つぶしに取得してん。時々工事現場でバイトとかもやってるで」
ユリ「すげー。さすが縁の下の力持ち。少女時代を裏から支える頼れるおねえさんや」
ヒョヨン「あんま素直に喜べへんけどな」
ソヒョン「ほんなら主砲はウチが担当するわ。55口径120mm滑腔砲、一度撃ってみたかったんや」
スヨン「じゃあじゃあ、ウチは車長を…」
全員「………」


テヨン「ほんなら出発するで! 乗員以外のメンボは落ちへんように、しっかりしがみついとくように」
全員「はーい!」
スヨン「やっぱり、奴が車長かよ」
ジェシカ「当たり前や。自分にリーダーが務まるか」
ヒョヨン「で、目標は狎鴎亭か?」
テヨン「いや、軍が反撃してきたら戦車一台じゃ太刀打ち出来ん。一旦、市庁に向かおう」
ティパニ「市庁?」
テヨン「蚕室に降りた小型円盤、市庁舎前のソウル広場に移動して、連中の基地みたいになっとるやろ? ウチの勘じゃ、あの中に仰山奴らの武器が詰まっとるような気がするんや」
クッキーマン「あの平和主義の宇宙人が武器持っとるかなぁ」
テヨン「アホォ。奴らが平和主義者なんて絶対嘘に決まっとるわ。アイドルを駆逐した上、アイドル狩りかて黙認しとる奴らやで」
ジェシカ「そやな。なんかインチキ臭いもんな」
テヨン「ウチらを飼い慣らして抵抗力を奪ったあげく、無理難題押しつけて来る魂胆や。それがうまく行かんかった時のために、力尽くの手段も用意してるはずや」
クッキーマン「さすが番長、悪は悪を知る」
テヨン「誰が悪や(げし)。ウチは正義の番長やで」
クッキーマン「(いてて)正義とゆう言葉が北のニュース並みに違和感持って聞こえるなぁ」
テヨン「とにかく、奴らが隠しとる謎の殺人光線銃とか惑星破壊砲などを奪い、軍に対抗できる力を得てから狎鴎亭を解放する」
クッキーマン「例えあっても、惑星破壊砲は使わないように」
ヒョヨン「ほんなら、市庁へシュッパーツ!」
ドロロロロ
ソヒョン「そや、iPodを外部スピーカーに繋ごう。ウチらの曲、ガンガン流しながら行進するんや」
テヨン「ええアイデアや! 奴らは怯むし、ウチらの士気は上がる」
ジェシカ「はな名曲の数々、ソウル市民の皆様にいやと言うほどお聞かせしまっせ!」
♪ドンガードンガラガッタ、ドンガードンガラガッタ! 国松さーまのおっとおりだいっ!
テヨン「(がく)それ、ウチらの曲とちゃうがな」


陸軍参謀総長「K2が乗っ取られたやて? 女の子アイドルにか?」
将軍「すんまへん。そやけど、きったない脚むき出しで、酷い歌を歌って来るから、ワシの部下も思わず怯んでしもうたようです」
参謀総長「まあええわ、それぐらいやないと歯ごたえがない」
将軍「ほな、ヘリの出番ですな(ニタ)」
参謀総長「そやな。対戦車ミサイルなんぼでも使うてええから、そのきったない手足をバラバラに吹き飛ばしてまえ!」
将軍「かしこまりぃ(チュンソン!)」


議長:ほんで、今日の議題やけど、天使族っちゅうのは、実際どの程度文明が進んでるのか、ちゅうことで。
  それに関しては、ワシらがいろいろ推察するより、大使に語って貰うた方が手っ取り早いわな。どぞ。
天使族大使:ワシらの文明の成果については、一覧表にして来たさかい、今配りますわ。
地球人全員:うわ…こら、すごい(汗)。数百年は進んでるわ。
議長:ぶっちゃけ今までお宅らが人類に対してやったことゆうのは、歌うたり踊ったりして、結果的に地球上から紛争をなくすことだけやった。
  それはそれで素晴らしいことやけど、争いがのうなった今、人類は一丸となって進歩していかなあかん。
  お宅らは、その手伝いをしてくれはるんやろか?
大使:ワシらが持っとる知識を教えるのは簡単でっけど、その結果お宅らの間に大変な混乱が予想されるのですわ。
議長:とゆうと?
大使:例えば物理学や天文学、あるいは物性工学などに限っても、ワシらも今の段階に至るまで何度もパラダイムシフトを経験してます。
理論物理学者:ふむ。それは当然やな。
大使:段階的なパラダイムシフトなしに今のワシらの到達点だけ教えても、なにがなんだか判らなくなって世界は大混乱に陥りまっせ。
  結局、飛躍したパラダイムにいち早く移行できた国家や企業だけが、知識の恩恵にあずかれる。
  これはワシらにとっても望ましいことやありまへん。
  もうひとつは、例えば数学のように、思考することそのものに価値がある学問の場合、答えだけ教えても決して人類のためにはならへん、ゆうことです。
議長:はあ…数学者の人、誰か説明してくれへん?
数学者:カール・フリードリヒ・ガウスが言うようにまさに”数学は科学の女王”な訳で、あらゆる科学の基礎をなしながら、しかしそのことを目的に研究されてきた学問やないのです。
  むしろ数学者は実際にはなんの役にも立たへんことを了解した上で、ひたすら数とゆうものを追求してきた訳ですわ。
  これは整数論の分野からRSA暗号というビッグビジネスが生まれるまで、事実として数学者を支えてきました。
  ワシらは金のためにやってるんやないど、知識の探求が好きやからやってるんやど、ちゅうことです。ノーベル賞に数学賞がないことも、むしろ誇りやったんです。
理論物理学者:(ふん)物理学みたいに俗な学問と一緒にすんな、ちゅうことですわ。
数学者:まさに! 大使はん、お宅らは多分ペルマーの最終定理をワイルズの手法より簡単なやり方で証明してると思うけど…
大使:フェルマーでっか? へえ、そのとおりです。
数学者:人類はこの問題を350年以上証明でけへんで、20世紀の終わりにやっとアンドリュー・ワイルズが証明した。それも専門家以外全く理解できないような非常に複雑な方法でです。
  しかし、その間に数学の広大な荒野は耕され、膨大な発見があった。ワイルズの証明のためには谷山=志村定理という橋が発見され、ワシらは数学の大統一に一歩近づいたのです。
  それよりもっと簡単な証明があるとゆわれても、ワイルズの証明に価値がないとゆうことにはなりませんのや。
議長:へー(さっぱり判らん。数学者に振ったのが間違いやったな)
数学者:この一覧にはリーマン仮説の真偽とその証明ともありますが、リーマン仮説を証明するためにワシらが今後耕さねばならん大地はペルマーの最終定理の比やない。
  しかしその耕し続ける努力こそ、なにより尊くなにより守らねばならない学問の精神なのです。
  彼らが証明した数々の成果をただ得ることは、数学の本質に反します。
議長:めんどくさい学問やなぁ。             
投資家:よおわからんけど、リーマン仮説が証明されるとRSA暗号がたやすく破られる、ゆう話は聞いたことありますな。
数学者:仮説が真であり、そこから容易な因数分解法が導かれるなら、RSAはもはや役に立たないでしょうな。
投資家:ひえー。
冶金学者:どの分野でもそうですわ。我々の分野ならレアアースを用いないようなある合金の製造法が判れば一晩で大金持ちになれるし、医療の分野ではガンの治療法や人工血液などがそうでしょう。
  それらの知識がある特定の国家や企業に一日でも早く知られれば、そこで力のバランスが大きく崩れてしまうのです。
議長:知識が平等に浸透したら?
投資家:そんなことは考えられまへんが、恐らく国家や企業は競争力を失いますな。
大使:ワシらの立場、わかって貰えました? ですからワシらとしては段階的に知識を教えるしかない。ほんで人類の皆さんには頑張って統一国家を建設して貰うほかないんですわ。
議長:うーむ。


バラバラバラバラ
EOH:”鷹の目”から”鵜の目”…連中を発見した。路肩の車もお構いなしに踏みつぶして走っとる。
  戦車1両に何人乗っとるんや? ざっと6、7人が砲塔やデッキにしがみついたまま前進しとる。インドの列車かゆうねん(笑)。
  わ、ハミルトン・ホテルのロビーに突っ込んだ。中を突っ切って北上する気や。むちゃくちゃやな。
EOC:”鷹の目”了解。攻撃を許可する。
  そやけどあんまり近づくなよ。連中は毒性の強い音楽を大音響で流してるで。
EOH:それで市民が逃げまどっとるんか? やばい奴らやなぁ。


♪ウチの髪を梳かしてくれた〜 おかんの姿が思い浮かぶで〜
テヨン「(グスグス)ええ歌やなぁ」
ティパニ「そうかもしらんけど、こんな歌じゃ全然士気があがらへんわ」
バラバラバラバラ
ソニ「ん?(見上げ) …ヘリ?」
ソヒョン「わ、対戦車攻撃型ヘリ500MDディフェンダーや。しかも編隊で来よったで」
ジェシカ「やばいんか?」
ソヒョン「そら戦車の天敵はヘリやさかいな。上からミサイルで狙われたらひとたまりもない」
テヨン「とりあえず追いつかれる前に南山大林アパートの敷地に逃げ込むんや。団地の隙間を縫って走れば、ヘリもそう手出しは出来へん」
ヒョヨン「ラジャー!」
キュラキュラキュラ!
テヨン「手の空いとるモンは機関銃で攻撃!」
ソヒョン「12.7mm重機関銃は車長用やで」
テヨン「マジで? わっ、ならウチが撃つわ(喜)」
ジェシカ「あ、ずるい!」
カチ ブィーーーーーーーーン! カラカラカラ…
テヨン「撃ち終わりました」
全員「(がく)一発も当たってないやん」
テヨン「まさか、こんなに早く弾倉が空になるとは」
バシュ!
ソニ「うひゃー!」
ユナ「撃って来たで、対戦車ミサイルや」
テヨン「超信地旋回! ビル陰に避けるんや!」
ひゅーん しゅるしゅる ボカーン!!
スヨン「うひゃあ、落っこちるがな、もお」
ユリ「(こらまずい。いつまでも逃げ切れんぞ)さっき兵隊さんから取り上げた小銃があったやろ、あれ貸して」
ティパニ「(ほい)どうする気?」
ユリ「ウチがヘリを引きつける(たっ)」
ティパニ「ああっ! ユリー!」
ジェシカ「テヨン、ユリが飛び降りた!」
テヨン「(振り返り)なんやて?」
ユリ「停まらんと真っ直ぐ行くんや! ここはウチが何とかする!」
ユナ「アホか、小銃一丁の生身で対戦車ヘリに勝てるか! テヨンねえ、引き返して」
テヨン「ユリ…(グス)、ヒョヨン、このまま真っ直ぐ進め! 南山トンネルに入ったらヘリは追って来れへん」
ユナ「テヨンねえ!」
テヨン「ユリの気持ちを無駄にするな。ウチらはなんとしても市庁に辿り着くんや」
ユナ「く…ユリ…」
ひょるひゅる ガーン!
ユリ「ひゃー、今のは危なかったな。髪の毛チリチリなってもうたわ。そやけど、逃げてばかりもおられんし…行くでえ!」
ガガガガガガ
ユリ「あははは、こんだけ近いと向こうのパイロットがびっくりしてるのまでよお見えるわ。うりゃうりゃ!
  …みんな、ウチ、みんなと一緒で…少女時代でホンマ幸せやったわ…」
ドカーーーン!


ヒョヨン「よーし! 南山3号トンネルに入ったで」
ジェシカ「ヘリもついて来てへん」
クッキーマン「これを抜けてしまえば市庁までは目と鼻の先。(ふー)やれやれ」
スヨン「ユリ…大丈夫かなぁ」
ソニ「考えたってどうにもならへん。今は先のことを心配せえ」
ティパニ「ゲホゲホ。それにしてもえらい排気ガスやな」
ユナ「ホンマや。顔真っ黒になるわ」
ヒュンヒュンヒュンヒュン
ヒョヨン「前方からヘリ接近。トンネルの中まで入って来た」
スヨン「マジか?」
ソニ「ハリウッド映画みたいやな」
ソヒョン「あれはスリオン! まだ配備されてないはずやのに、そんな試作機まで投入して来たんか」
テヨン「なーに、最新鋭だろうがなんだろうが、トンネルの中じゃ大して動き回れへんわ。ソヒョン、主砲発射用意!」
ソニ「なにー?」
テヨン「放っとけば向こうかてロケット弾撃つやろ。崩落の危険は一緒や。先手必勝!」


操縦士:わっ、主砲がこっちを向いたで!
射撃手:んなアホな。戦車の主砲でヘリを狙うなんて考えられん。
操縦士:そやけど、トンネルの中やったら仰角は充分や。
射撃手:天井が崩落してみんな生き埋めになるっちゅうねん。うえーん、自分が調子に乗って、こんな狭いとこ入るからや。
操縦士:そやかて、操縦の腕前自慢したかったんやもん。とにかく攻撃せえや。グズグズしとると120mm砲弾が飛んで来るで。
射撃手:ひえー(あたふたあたふた)


ズダダダダ!
ソニ「わ、撃って来た!」
ソヒョン「主砲撃ちます(HUDの照準、めっちゃカッコええわ)…発射!」
どん! バガーン!
ティパニ「キャーッ!」
ドゴゴゴゴーン
全員「ウッヒャー!!(ガクガクガク) み、耳が…」
…しゅうう
テヨン「どや?」
ソヒョン「敵ヘリの撃墜を確認」
ジェシカ「やったー!」
スヨン「それにしても天井からだいぶん瓦礫が落ちてきたなぁ。ホコリだらけや」
ジェシカ「あ、あれ、ティパニがおらへん? おーい、パニヤー!」
ソニ「ま、まさか、今の衝撃で…」
スヨン「転けて瓦礫の下に…?」
ユナ「わーん、パニねえ! パニねえ!」
テヨン「(グス)大丈夫や、奴がこんなことでくたばるはずないがな。ユリもそうや。きっとまた合流できる」
ジェシカ「そやな(グスグス)、ショウショウショウ!とか言いながら」
テヨン「よし、とにかく前進や! 景気よく音楽も流せよ!」
ヒョヨン「アイアイサー!」
キュラキュラキュラ
♪そやけど頑張りぃ ここまで来たやないか この位大したことやあらへんで…


議長:ワシら人類に統一国家なんて実現できるもんやろか?
文化人類学者:今は天使族の歌があるからええけど、中東地域なんか2000年以上も揉めてた訳やし、難しいんちゃいまっか?
SF作家:ペリー・ローダンぐらい強引な手を使わないと、今の段階じゃ無理思いまっけど。
生物学者:確かに人間は社会的動物やから、友愛といった感情を持ち大事にするけども、生物本来の捕食、生存、遺伝子の存続とゆう本能から常に競争しよう戦おうとするのも確かです。
  その本能は社会形成の力より強い。つまり統一国家などいずれ分裂すると思いますね。
投資家:万が一統一国家が実現し、すべての人が平等となったら、種としての競争力が失われてしまう。
大使:そやけどそれやったら、人類はこの惑星に固定された種族とゆうことになってまいまっせ。宇宙へ進出して行くには、地球とゆう惑星で一単位でないとなかなか認められまへん。
  他星人にとっては、惑星内の小さな国家の事情なんてどうでもええことですからな。
SF作家:それはそうでしょうな。
大使:そこにワシらのお手伝いできる領域があるんですわ。人類同士は友愛で手を結ぶ。過剰な競争心や闘争本能は、星の外に向ける。
全員:星の外?
議長:(なんや胡散臭くなって来たで。これが奴らの本音か?)


♪Gee Gee Gee Gee Baby Baby Baby
 Gee Gee Gee Gee Baby Baby Baby
ヒョヨン「見えて来たで、市庁や!」
ユナ「右からM110自走砲、2両!」
テヨン「砲塔旋回、テーッ!」
ドカーン! ドカーン!
ジェシカ「左よりUH-60ブラックホ−ク接近!」
テヨン「スモーク・ディスチャージャー、撃て!」
ボヒュッ
テヨン「煙幕の陰に隠れてジグザグに前進。敵円盤は目の前やぞ。小銃を持ってるモンは弾幕を張れ」
ソヒョン「主砲、残り弾数4発」
テヨン「うへぇ。しゃあない1発残して周囲のビルに撃ち込んでまえ。倒壊させて敵を近づけさせるな」
ソヒョン「残り1発は?」
テヨン「円盤に穴開けるのにいるやろ」
ソヒョン「そりゃそうやな」
ドカーン! ドカーン! ドカーン! グシャ ガラガラガラ
ジェシカ「お、UH-60にビルの破片が当たったで。墜落した!」
スヨン「まさにブラックホーク・ダウンやな(笑)」
ヒョヨン「目前に円盤。距離50」
テヨン「よーし、最後の一発や。派手に決めようで」
ソヒョン「了解!」
ヒョヨン「目標まで40」
テヨン「撃てー!」
ドカーン!
ソヒョン「目標に命中。敵円盤の側面に亀裂」
テヨン「ヒョヨン、そのままアクセル全開。亀裂に戦車を突っ込ませる」
ヒョヨン「はいっ! ヒョヨン、行っきまーす!」
ソヒョン「ああ、その台詞、ウチが言いたかったなぁ」
キュルキュルキュル、ゴゴーン!
全員「どひゃー!(がくがく)」
…ぷしゅう
ぱか
テヨン「みんな、無事か?」
ジェシカ「時速50キロで突っ込んどって無事な訳あるか! 奥歯ガタガタなるわ」
ユナ「まぁとにかく、突入成功みたいやな」
ソヒョン「テヨンねえ、足どけて。出られへんやん」
ごそごそ
ソヒョン「へえ、これが円盤の内部か? なんか第11サティアンに似てる」
ジェシカ「ホントかよ?」
ポヨヨン…ポヨヨーン…
ソニ「なに? なんの音?」
クッキーマン「天使族の非常警報みたいやな」
ドデデデデ
天使族「不法侵入者、発見!」
天使族「くせ者や、出合えー、出合えー!」
テヨン「ほら見てみい、奴らが手にしてるモンを」
クッキーマン「うむ、どう見ても銃やな。こりはびっくり」
ユナ「やっぱり奴ら、外では猫被っとっただけなんや」
ソニ「それを猫被りの天才ココマが見破ったゆう訳か」
チュン! ジュー!
ソヒョン「ひゃー、レーザー撃って来た。戦車の装甲が一瞬で融けたわ」
テヨン「あれに当たるとさすがに腫れるかも」
ジェシカ「死ぬわ、アホ」
テヨン「とにかく戦車が盾になってる間に奥へ進もう。どっかに兵器庫があるはずや」
ソヒョン「そやね。ヒョヨンねえ、早よ出て来んと危ないで」
ヒョヨン「それが出られへんのや」
ソヒョン「えっ?」
ヒョヨン「ぶつかった衝撃で操縦席が潰れて、脚が抜けへんようになった(とほほ)」
ソニ「(汗)やばいやんか」
ヒョヨン「あんたら、構わず先に進み。ウチは仕方ないからここで奴らに応戦する。戦車正面の機関銃はまだ使えるさかい」
スヨン「自分、死ぬ気か?」
ヒョヨン「そんな気はさらさらないわ。自分らがさっさと敵の武器持って戻って来ればええだけや」
スヨン「そやかて…」
テヨン「ヒョヨン…ほな、頼んだで」
ヒョヨン「まかしとき!」
ソヒョン「たぶん、敵の武器庫はこっちや。行こう」
テヨン「えらい詳しいやんけ」
ソヒョン「とりあえず第11サティアンと思い込むことにした」
ジェシカ「大丈夫なんか、そんなノリで?」
ぞろぞろ
スヨン「ヒョヨン、きっと戻って来るからな!(たたた)」
ごそごそ
ヒョヨン「はぁはぁ…痛いなぁ。やっと指が引き金に届いたで。ほなぶっ放すか」
ドカカカカ
天使族「わぁ、応戦、応戦!」
チュン チュチュン
ヒョヨン「へへへ。正直ゆうとな、脚が潰れとるねん。これじゃもう一生踊れへんわ」
ドカカカカ
ヒョヨン「踊れへんのなら、せめてみんなの役に立って死にたいもんなぁ。ああ、朦朧として来た…血ぃ流しすぎたかなあ」
天使族兵士「敵の攻撃が弱まりました」
天使族隊長「よし、位相砲用意、撃てーっ!」


クッキーマン「ん?(ぴた) なんや通路にロッカーのようなものがずらりと…」
ソニ「兵器が入っとるとか」
ソヒョン「それにしては小さいな。乗務員の私物ロッカーちゃう?」
テヨン「(がたんがたん)お、これは開きそうやぞ。ユナ、扉を引っ張ってみい」
クッキーマン「そうゆう力仕事は男のワシに頼むべきじゃ…」
ユナ「やかましい。…ふんっ!(ばきっ)開きやした」
ソニ「さすがヒム・ユナ(パチパチ)」
クッキーマン「ひえー」
テヨン「(そー)わ、なんじゃこりゃ」
スヨン「どおした? なんか入ってた?」
テヨン「カップ麺が入ってた」
ソヒョン「どれどれ。あ、ホンマや。(ひょい)でもラベルがないから味噌味か醤油味か判らん」
スヨン「蓋破がしてみ。そしたら判るわ(わくわく)」
ソヒョン「(今はなに味でもええ気がするけど、食いモン見てスヨンねえも元気取り戻したし、まあええか)」
ペリペリ
ソヒョン「はぁ?」
スヨン「どした?」
ソヒョン「これ、ラーメンちゃうわ。中身は糸コンニャクやった」
スヨン「糸コン? ドングリ麺とかでもなく?」
ソヒョン「糸コンやね。なんか全体に汁にまみれてヌルヌルする感じ」
クッキーマン「…!(そ、そ、それはオ○ホールでは? ああ、間違いないわ、蓋に挿入口もついてるし。それにしてもなんでエイリアンがオ○ホールなんか…?)」
テヨン「(がちゃがちゃ)他は開きそうもないな。銃の一丁もあればと思うたけど仕方ない。先に行こう」
全員「はーい」
てくてくてく
クッキーマン「(ひえー、マンネの奴、ずっとオ○ホール持ったままや。あの可愛い指がオ○ホールを持ってるなんて、なんてエロい光景やろう)」
ソニ「クッキーマンの奴、なんかニヤニヤして気持ち悪い」
ジェシカ「どうせまたろくでもないこと考えとるんやろう」
テヨン「しっ(ピタ)。角の向こうに歩哨がふたり、扉を固めとる。結構重武装やで」
ユナ「兵器庫か?」
テヨン「重要な場所なのは間違いなさそうやな。ええか、ウチが全力ででかい声出すから、奴らが怯んだ隙に全員でやっつけるんや」
全員「わかった(コクリ)」
テヨン「ほなやるで(すぅー)
  ♪AH〜AAAAAAAH〜(『Hush Hush』雄叫びヴァージョン)」
天使族「ぐえええっ、なんやこの騒音は…(ヨロヨロ)」
全員「それっ!」
ドカバキゴシグシ!
天使族「きゅうう」
ジェシカ「やったで」
テヨン「(蹴り)この、この、この!」
ソニ「もお、やめえや。ゲロ吐かれるの判ってて騒音役買って出たんやろ」
テヨン「そうやけど、やっぱ腹立つやん。(げしげし)あ、なんやこの髪飾り…?」
ソヒョン「どないしたん?」
テヨン「いや、連中が全員つけてるひまわりみたいな髪飾りが外れてたんでよお見たら、茎も葉っぱもついとるんやな。
  (ズルズル)わ、顔には目も口も、根っこ部分には鉢もあるで。おもろーい」
ジェシカ「まるっきりフラワーロックやな」
ソニ「なんで連中フラワーロックを頭につけてるねん?」
声「そのフラワーロックが天使族の本体なんや。生き物の頭部に寄生して操るのが得意な奴らでな」
全員「ええー? ほたらウチらが今まで天使族と思うてた、このきれいな生き物は?」
声「それは連中の使役動物や。知能は豚ほどもない。実際連中にとっては牛か馬みたいなもんや」
全員「まじか? …ん? ちゅうか、この声は?」
声「ここや、ここ」
クッキーマン「わー、ソヒョンのオ○ホールから声が出とる」
全員「えー?」
声「糸コンニャクのように見えたのがワシの本体。カップ部分は機動強化服や」
ソヒョン「ひゃー。なんてことやー」
ソニ「あれがカップ麺じゃのうてオ○ホールやったなんて」
声「そっちかよ!(がく)」






※K2戦車…韓国軍の次期主力戦車。通称・黒豹(ブラックパンサー)。
    
    2011年から配備される予定だが、実際に配備されているかどうかは不明。


タクティカルアーマー震電”…アニメ『ガサラキ』に登場する超近代兵器。抗テロを想定しているらしく都市戦、戦車戦にめっぽう強い。
 特自が使用している。  
    
    この画像は”震電”の前タイプに当たる”雷電


※都市を戦車が走り回り、破壊すると言うモチーフは、よほどミリタリー好きの想像力を刺激するのか、今までさんざん作られている。
 が、全部が名作という訳ではなく、SFに関しては『テクノポリス21C』と言う忘れられたアニメも存在する。
 スタジオぬえ全面協力というので期待したが、いろいろ欲張りすぎてちっとも面白くなかった。
 売れる前の久石譲が音楽を担当している。


ガウス…ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(1777年〜1855年)。ドイツ人の天才数学者。
 数学史家ETベルによると、有史以来の数学の巨人が3人いる、それはアルキメデスニュートンガウスだという。
 数学者として知られるが、その半生はゲッティンゲンの天文台長であり、天文学の分野でも多くの業績がある。またガウスという磁束密度の単位にあるとおり物理学者としても偉大であった。
 数学上の成果は本何冊分にもなるが、生前知られていたものはほんの一部である。
 その多くは未発表のままで、没後研究が進んだが、彼が手がけたものは数学のほとんどあらゆる分野にまたがり、しかも世界中のライバルの誰よりも数十年先んじていた。
 彼は数の謎を解く行為そのものに生を捧げ、自分で理解しさえすれば、それを世に知らしめることには興味がなかったのである。
 また、研究過程を完全に捨て去り、得られた結論のみを発表していたため、彼の思考の足がかりを得ることも出来なかった。
 ガウスのこうした姿勢は晩年の弟子リーマンにも受け継がれた。


パラダイム科学史家 トーマス・クーンによって提唱された科学史上の概念だが、現在ではもっと広範な(誤った)意味を獲得している。
 一般に認識され、使用されているところでは「科学史において、経験に基づいて常識とされた物事の見方」とでもなるだろうか。
 例えば、天動説では地球が宇宙の中心であり、天がその周囲を回っていた。当時の人にとって、これはある意味真実であり、それを否定する証拠もなかった。
 が、地動説の出現により、パラダイムは反転し、地球は太陽の周りを回る惑星に過ぎなくなった。世界観が変わったのである。
 このようなパラダイムの変換をパラダイムシフトという。
 近年では、アインシュタイン相対性理論、ボーアらの素粒子力学、ハッブルの銀河系発見などがパラダイムシフトをもたらしている。


※RSA暗号…コンピュータの世界で広く用いられている暗号で、暗号化するための鍵と復元するための鍵が別という画期的特徴を持つ。
 このため、誰でも容易に特定の人宛にメッセージを暗号化でき、なおかつそれを解読できるのはメッセージを受け取った個人のみ(暗号作成者にも解読できない)という一見不可能なことが実現した。
 巨大な素数同士を掛け合わせることで鍵を得るが、その鍵からもとの素数を割り出すのは非常に困難(多大な時間を要する)という、数学上の非可逆性を利用している。
 この暗号を発明した3人の数学者の名を取ってRSAと呼ばれているが、純粋数学の世界からこれほどのビッグビジネスが生まれたのは初めてのことであり、
 世界中の実業界が数学の可能性を再認識した発明であった。
 また、この暗号には時計算というガウスが考案した計算法が利用されており、ここでも数学の巨人の存在を思い知ることが出来る。


ノーベル賞に数学賞がない…意外に思えるが数学界では有名。
 ノーベルが実際的な研究にしか興味を示さなかった証拠かも知れないが、ノーベルの妻の不倫相手が数学者だったためという説もある。
 数学界にはノーベル賞に代わりフィールズ賞が設けられており、数学界最大のプライズとなっている。
 しかしその受賞資格は、創造的活動を中年を越えて行うのは難しいとの判断から、40歳までとなっている。
 実際数学の世界で大きな業績がなされたとき、その発見・発案者は20代と言うことが多いのである。
 もちろん例外もある。ガウスオイラーは死ぬまで明晰で創造的であったし、フェルマーの最終定理を証明した時のワイルズも40歳を超えていた。
 このためワイルズフィールズ賞を受賞できなかったが、特別賞が贈られた。
 そして未だにフィールズ賞の受賞資格を見直すべきという声は、ワイルズ本人からも出ていないのである。


フェルマーの最終定理…17世紀フランスの数学者ピエール・ド・フェルマー(1601年〜1665年)によって有名になった命題で、ピタゴラスの定理に関係している。
 アマチュア数学者フェルマーは、古代ギリシャの数学者ディオファントスの著作『算術』が好きで、そこに載っている問題を解くのを最大の生き甲斐にしていた。
 また得られた証明や感想を『算術』の余白に書き留めておいた。
 フェルマーの死後、息子サミュエルの手によってその書き込み入りの『算術』が出版され、世間の人々はフェルマーと数学の技量を競い合うこととなった。
 フェルマーが証明したと書いたほとんどが、次々と再証明、あるいは間違いを指摘されたが、とある問題だけが未解決のまま残った。誰も証明することも反証をあげることも出来なかったのである。
 しかしフェルマーは余白の中で「余はこの問題に関する驚くべき証明を見つけた。が余白が狭すぎて記せない」と書いていたのである。ゆえにこの命題をフェルマーの最終定理と呼ぶ。
 フェルマーは本当に証明できたのか? それはどのような方法で、そしてこの問題は真なのか…さまざまな疑問が生まれた。
 この問題を理解するのは非常に簡単である。
 
 と言う式があって、これに当てはまるXYZは確実に存在する。なぜならこれはピタゴラスの定理そのものだからだ。
 それならば
 
 に当てはまるXYZはあるのか? さらにこれを拡張し、
 
 nは3以上の自然数とした場合、この式は成立するのか?
 これがフェルマーの最終定理である。
 中学生でも判る問題だが、これを証明するのは非常に困難で、1995年に英国人のアンドリュー・ワイルズが証明するまで350年以上も未解決のままだった。
 ちなみにワイルズの証明では、3以上の自然数ではこの式は成り立たない。
 ワイルズによる証明は大ニュースになったし、BBCでドキュメンタリーが作られ、様々な本が書かれた。
 それは証明のために、フェルマー以降350年間の進歩を含む数学史全域に渡る知識が必要であること、またその途上でのあまりにも人間的なドラマの数々が感動を生んだからである。
 数学的には、ワイルズの証明の肝となった谷山−志村予想の証明は、かつて全く別の分野と考えられていた楕円曲線とモジュラーが実は同じものの別の表現であることを示したことで意義が大きい。
 これはデカルトによる代数と幾何学の統一やオイラーの等式に見られるように、数学の統一の可能性を強く示唆するものである。
 数学はいずれ物理学と同じように大統一(数学のあらゆる分野が根本では同じ意味をなす)がなされるかもしれないが、ワイルズの証明で逆にそこまでの道のりはまだ相当長いと言うことはわかった。


※リーマン仮説…リーマン予想とも。ドイツの数学者でガウスの晩年の弟子であるベルンハルト・リーマン(1826年〜1866年)によって提唱された素数分布に関する予想。
 いまだに証明できていないどころか、糸口も見つかっていないと言って良い、数学上の大問題。
 リーマン仮説はフェルマーの最終定理と違って、正確に理解するためには相当な知識が必要となる。数学的知識のない人に説明するのはさらに難しい。
 が、その意味するとところはまさに数の本質に迫るものであり、これを解決できれば、数学という高峰の5合目以上には到達出来たと言えるのではないだろうか?
 前世紀の始めまでは、ひょっとして証明できるかもと言う空気もあったが、近年では解決のためにはまだまだ数学的理解と道具(大発見や大発明)が不足していると思われてきている。
 フランスの数学者ルイ・ド・ブランジュは証明したと言っているが、否定的な見方がほとんどである(証明の検証のためには2〜3年かかる)。
 20世紀初頭のヒルベルトによる「解決すべき23の問題」と今世紀初頭のクレイ研究所による「ミレニアム懸賞問題」にあげられている。
 世紀をまたいで解決すべき重要問題とされているのは、このリーマン仮説だけである。
 作者もさっぱり判らないが、なんかロマンがあって大好きな問題ではある。


※500MDディフェンダー…韓国軍の観測・軽攻撃ヘリコプター。
 アメリカのMDヘリコプター社(旧ヒューズ社)が開発した民間用のモデルを基に、大韓航空ライセンス生産している。
 安価で汎用性が高いため、さまざまな仕様があるが、すでに運用末期で代替案が進められている。
    


※KUH(韓国型軌道ヘリ)スリオン…韓国軍が保有するヘリコプターが老朽化するのに伴い、1兆3000億ウォン(1008億円)以上をかけて開発された汎用ヘリコプター。
 これにより韓国は世界で11番目のヘリ開発国となった。
 鷲科を意味する”スリ”と完全を意味する”オン”をあわせた造語が名前の由来である。
 性能的は世界トップクラスで、2012年から順次配備が予定されている。
    


※M110自走砲…203ミリという大口径砲を持つ移動砲台。走りながら撃てるものではない。
    


※UH-60ブラックホーク…非常に汎用性の高いヘリで兵員輸送から攻撃までカバーする。
 映画『ブラックホーク・ダウン』で撃墜された機種。