関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第752話 そに散歩 〜日南編〜(その6)




05:夕餉




ナレーション:ケヅメリクガメを罵倒している内に陽が沈んで来たので、ここで初日のロケは終了。一行は日南駅の近くまで戻り、夕食をとることに。あっは、いよいよ『ぴったんこソニたん』になって来ましたよ〜。


ユナ「モアイの向こうに夕日が沈むかと思うたら、丘の向こうに沈みよって。風情も何もない」
アイリーン「無茶ゆうたらあきまへん。太平洋は東側なんやから。海に沈む夕陽見たかったら佐世保辺りに行きなはれ」
ソニ「逆にモアイ越しに昇る朝陽は見れるんやな」
アイリーン「それはもちろん」
ソニ「あっこの営業時間はどないなってるん?」
アイリーン「(検索)…朝9時半オープンですね」
ソニ「(かくん)それじゃもお朝陽昇ってるやん」
アイリーン「大丈夫です。宮崎は陽が昇るの遅いから」
ソニ「北欧かっ! ええ加減なことゆうな」
店長「(ぬぅ)もうしもうし、ご注文は決まりもしたか?」
ソニ「あー、すんまへんすんまへん。いま決めますわ」
店長「それじゃ、決まったら呼びたもんせ」
ソニ「あい」
ユナ「ここはなにが美味いん?」
ソニ「この居酒屋教えてくれたホテルのおっちゃんは、なんでも美味いゆうてたけどな」
ユナ「それじゃ答えになってへん。ウチはこの土地の名物、もしくは店の一押し料理が知りたいんや。それでこそ『ぴったんこソニたん』ちゅうもんやろ?」
ソニ「『そに散歩』やっちゅうのに」
アイリーン「この辺は海が近いから基本的にお魚料理が多いですね」
ユナ「お魚料理っちゅうと?」
アイリーン「お刺身とかお作りとか洗いとか」
ユナ「(ずこっ)全部一緒やないかい!」
アイリーン「厳密には洗いはちょっと違ってて…」
ユナ「やまかし! 生ものは全部フェじゃ。発酵してても腐っててもフェはフェなの!」
ソニ「すんごい雑な奴(呆)」
アイリーン「あと宮崎ゆうたら鶏料理ですかね」
ソニ「ニワトリ? 宮崎牛やなくて?」
アイリーン「それは最近になって作られた地域ブランドですね。伝統的なのは鶏です。九州南部の肉料理は、鹿児島が豚、熊本が馬、宮崎が鶏と大別出来ます」
ソニ「マジか? 店長店長、この辺て鶏が名物なの?」
店長「そん通(とお)いたい。鶏ならどしこでん食べちょっじゃ」
ソニ「へぇ」
アイリーン「宮崎県内でも地域で食べ方が違うてまして、最近知られる様になってきたチキン南蛮は県北の延岡が発祥」



ユナ「あ、知ってる知ってる。鶏の揚げものを甘酢に漬けてマヨネーズソースで食う奴や」
ソニ「うん、これは美味い」
アイリーン「また宮崎市内では通称焼鳥とゆうてますけど、地鶏を直火の炭火で燻し焼きしたものが広く食べられてます」



ソニ「おお、これまた美味そう」
アイリーン「地鶏やからアゴ疲れますけどね」
ユナ「ほんで? この辺ではどんな鶏料理が美味いの?」
アイリーン「えーとですね…」
ユナ「あ、ええわ、店長に直接訊くよって」
店長「そうじゃなあぇ。今日は新鮮なシャモの入っちょっで、キモサシのよかよ」
ユナ「?? なんやて?」
アイリーン「軍鶏の内臓の刺身がオススメだそうです」
ユナ「(こけっ)結局フェじゃねーか!」


ナレーション:それでもオススメに従って軍鶏のお刺身を注文すると、程なく運ばれてきました。もちろん生ビールは欠かせませんよね(笑)



ソニ「おー、これは美味そうや(涎)」
店長「左から砂ずり(砂肝)、ササミ、コブクロ、レバーになっちょっと。レバーはゴマ油で、あとは生姜醤油で食ぶっとよかよ」
ソニ「あい。ほんなら今日は一日お疲れ様(チャーン!)」
ユナ/アイリーン「チャーン!」
ソニ「では早速レバ刺しを(ぱくっ、もんぎゅそんぎゅ)…う、美味い! コレは美味い!」
ユナ「マジか? ほなウチも(ぱくっ、むんぎゃゆんぎゅ)…ひえー!」
ソニ「そんでもってビールがまた美味い!(ごきゅごきゅ)」
ユナ「今日はよお歩いたからなぁ(がぼんがぼん)」
店長「お客さん、ビールもよかどん宮崎言(ゆ)たら焼酎やっど」
ソニ「はいはい、そおね。ウチいつもビールに焼酎入れて呑んでるわ」
アイリーン「そういうカクテルは九州ではほとんどやりまへんよ」
ソニ「え、ホンマ?」
アイリーン「へえ。カクテルにするのは基本甲類の焼酎やけど、九州は乙類が普通ですから」
ユナ「なんやねん、その甲本ヒロト乙一的対決は?」
アイリーン「焼酎は清酒を蒸留して造るスピリットですが、その蒸留法によって分類されるんですわ。甲類は連続式蒸留法ゆうて、何度も続けて蒸留するよって、匂いやクセのない焼酎が出来ます」
ソニ「チャミスルみたいなもんやな」
アイリーン「そないです。あまり質の高くない原酒でも呑みやすくなるし、大量に製造出来る特徴がありますね。一方乙類は単式蒸留法で原料の香りやクセを残した作り方。日本で広く呑まれている芋焼酎はこの製法で造られたものです」
ソニ「へぇ。韓国にはあんまりないなぁ」
アイリーン「李朝時代はマッコリを単式蒸留した焼酎に梨や生姜を漬け込んだ梨薑膏(イガンジュ)なんてのもあったんですけどね。
 とにかく九州は平均気温が高くて日本酒の醸造に向いておらず、昔から焼酎が盛んに造られとったんです。原料となる穀物も地域によって違い、鹿児島がサツマイモ、大分が麦、熊本が米、宮崎が蕎麦、とそれぞれ個性があるんです」
店長「あとは麹によってもさまざまな個性が生(うん)まるっとですよ」
ユナ「なるほど〜。ほな店長のオススメの焼酎はなに?」
店長「日南でも数多うん焼酎が造られちょっが、あたたちん様な見事(みご)っかお嬢どんには『日南娘(ひなむすめ)』をおすすめしもす」



ユナ「お、可愛いネーミング」
ソニ「ほなそれをロックでください」
店長「かしこまりもした」
ユナ「宮崎やから、これは蕎麦焼酎ってことになるん?」
店長「んーにゃ。芋焼酎じゃけど」
ユナ「(かくん)テキト−やないかいっ!」


ごっきゅん、ごっきゅん…
ソニ「(ぷはーっ)美味いっ!」
ユナ「すっかり葛城ミサトモードやな」
ソニ「これが芋焼酎か〜。チャミスルやC1とはまた違った味わいで、実に肝刺しに合う!」
店長「気に入っちょっただけてなにより(笑)」
ソニ「せっかくやから、蕎麦とか麦とかも呑んでみたいな」
店長「もちろん置いてあいもすけど」
ソニ「なんやったら、全部混ぜていっぺんに呑んじゃおっかなぁ(ひっく)」
店長「えー?」
ユナ「出た出た。なんでも混ぜんと呑んだ気がせん爆弾女や(呆)」
店長「そんな飲み方はおすすめ出来もはんが」
ソニ「じゃかーしー! お客様はアマテラスハウスじゃ!」
アイリーン「お客様は神さまや、とゆいたいよおです」
店長「ぴゃー、目が据わっちょっ」
ソニ「さっさと持って来んと、天岩戸にお隠れしちゃうで」
アイリーン「早く持って来ないと、トイレに閉じこもって大迷惑かけちゃうよ、とゆいたいよおです」
店長「そ、そや困りもす。ただちに持って参りもすけん」
どたどたどた
ソニ「ふ、判りゃーええんじゃ、ボケなすめ。…うっ、おうぇえええ!」
ユナ「うひゃー、店内に肝刺し大逆流じゃあ!」
アイリーン「天岩戸に閉じこもるまでもなく、めっちゃ迷惑かけちゃいましたね(にやにや)」


ナレーション:あっは、いつもは冷静なツッコミ役のソニさんも、酒が入ると人が変わるんですねぇ。こうして愉快な夜は更けていったのです。明日はどんな旅になるのか、楽しみ楽しみ…


店長「いっちょん愉快な夜じゃねぞ、しちりんが(怒)」