関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第716話 そに散歩 〜釜山編〜(その6)




前回に引き続き、グーグルアースさんにベース画像をお借りしております。



12:富平市場(プピョンシジャン)


ナレーション:そうこうしているうちに陽も落ち、国際市場では片付けを始める店もチラホラ。


ウンジ「こうなると食べ物屋台が道を占領して歩きづらくなるばい」
ソニ「確かにさっきまでと雰囲気が変わってきたな」
ユリ「そやけど食い物は魅力的やないの? なにがあるん?」
ウンジ「普通におでん、天ぷら、トッポギ、あとは甘いもんやね」
ユリ「ええやんか。練習生時代、よお稽古場の前の屋台で買い食いしたの思い出すなぁ。ちょっとなんか喰わへん?」
ソニ「はぁ? 自分、さっき腹壊してゲロったばかりやんか」
ユリ「そのせいでお腹空っぽやねん」
ソニ「貴様は頭が空っぽなんじゃ」
ウンジ「食い物なら、この大通りを渡った富平市場にてげあるばい」
ユリ「豊洲市場?」
ウンジ「やめれ! 時事ネタを放って来るんじゃない! 富平市場たい」
ユリ「富平市場? そこに築地並みに食い物が仰山あると?」
ウンジ「そがんそがん。富平市場は食料品に特化した市場やけんね。食堂も食い物屋台も国際市場よりてげ多かよ」
ユリ「よし、ほなそこに行こう」
ウンジ「よかよ。ほんなら富平回りでチャガルチに向かおう」
ユリ「うひひ。楽しみ〜」


ナレーション:と言う訳で、一同は国際市場をあとにしましたよ。すると程なく…


ユリ「(ぴたっ)ややっ、こ、これは?!」
ソニ「どした?」
ユリ「“いざわ”がある」
ソニ「なにーーーーーっ?!(歓)」



ナレーション:“いざわ”は韓国でチェーン展開している牛カツの専門店。日本で人気の牛カツが、国内で食べられるといま大人気なんです。
 ソウルでは明洞や江南、弘大などにあり、いつも行列が出来ていますが、釜山にも出店してたんですねぇ。


ユリ「ウチ、牛カツ大好きやねん。ここで出会うたが百年目。これは食さねばなるまい」
ソニ「確かに牛カツ美味いもんなぁ。IUや5Musesが渋谷のもと村で2時間並んで食うたて自慢しとったん聞いたとき、めっちゃ悔しかったわぁ」
ユリ「それやのに、ここでは誰ひとり並んでへん。入るなら今がチャンスやで」
ソニ「そやな。ちょっと寄ったろか」
ウンジ「このバカチンが!(入り身投げ)」
ソニ/ユリ「ぴゃーっ(くるくるー)」
ウンジ「牛カツなんぞ、ソウル帰ってからゆっくり食いなっせ。ばってん今は釜山の食ば堪能する時たい。海鮮以外のモンは外道と見なす!」
ユリ「えーっ? そんじゃあ牛カツやめてエビフライにする?」
ウンジ「そげん問題やなかろうもん!(うきーっ)」


ナレーション:と言う訳で、泣く泣く牛カツを諦めたお二人。ウンジさんに案内されて富平市場にやって来ました。



ソニ「なんともごちゃごちゃした市場やな。今日いち狭い通りや」
ユリ「暗いよぉ、狭いよぉ」
ウンジ「面堂終太郎か! もちっと先まで行ってみなっせ。富平市場の中心部に出るけん」
ソニ「中心…? お、ここか? アーケード街になっとるやんけ」
ユリ「でも道の狭さは似たようなモンやで」


ナレーション:アーケードの中は、両脇に食べ物の店が延々と立ち並ぶ商店街です。
 食堂の店先ではいろんな食品を立ち食いも出来、酒屋やスーパーマーケットなど食材を売る店も豊富。確かに食品に特化した市場と言うだけのことはあります。
 でも時刻はすでに夕方7時近く。店じまいするお店もチラホラ。すると…


ぞろぞろぞろぞろ
ソニ「お、なんやなんや?」
ユリ「この狭い路地を、出前のスクーターみたいなんが行列作って押し寄せてくるで」
ソニ「ホンマや。箱形スクーターの大海嘯や! 早よ逃げんと潰されるで」
ウンジ「安心しなっせ、潰されはせん。富平市場の第二部が開催すっとたい」


ナレーション:よく見ると、出前のスクーターと思えたのは幅の狭い箱形屋台です。
 およよ30〜40台ほどもあるでしょうか、次々にアーケード街に入ってくると、狭い通りを塞ぐようにずらりと並び、鶏の唐揚げやお好み焼き、ホットクなど美味しそうな匂いをさせつつオープンして行きます。
 それを合図に、待ち構えていた観光客が屋台に押しかけ、通り一帯は歩くのも困難なほどの大賑わいです。



ユリ「むぎゅー、だだだ大混乱やないか」
ソニ「やっぱ潰されるがな」
ウンジ「あっはっは。これが富平名物“夜市場”たい」
ソニ「夜屋台?」
ウンジ「そがんたい。見て来たごて国際市場も富平市場も夕方になるとたいがいの店が閉まってしもて人通りがバッタリ絶えよったと。
 そこで韓国初の試みとして、4年ばっか前からこがんして夜限定の屋台市場が開くごてなったとよ」
ソニ「へー。確かに活気はあるわなぁ」



ユリ「お、あそこはめっちゃ人混みすごいぞ。一番人気の屋台に違いない。ちょっと覗いてみるか(ぐいぐい)すんまへーん、ちょっと通してつかーさい」
ウンジ「お、けっこう器用に人混みば掻き分けて歩くやなかね」
ソニ「あいつ、水泳は得意やからな」
ウンジ「(かくん)歩くちゅうより泳ぐ感覚なんばいねー」
ぐいぐい
ユリ「見せて見せて、ちょいと覗かせて」
屋台のおっちゃん「ちょっとお嬢、ちゃんと並んではいよ。他のお客さんも並んどらすとばい」
ユリ「並ぶもなんも、一体何の店か判らんことには買うかどうかも決められんがな」
屋台のおっちゃん「ははぁ、偵察に来たちゅう訳やね」
ユリ「そんなもんそんなもん。ほんで、ここは何の屋台やねん」
屋台のおっちゃん「よお訊いて貰うたばい。ここが富平夜市場名物チェさんのラジオ焼きの店ばい」
ユリ「ラジオ焼き?」
屋台のおっちゃん「そがんたい。小麦粉を水で溶いてすじ肉なんかの具を入れて鉄板で焼いた、分断前からこの地に伝わる子どものおやつたい」
ユリ「ほえー。なんかたこ焼きの元祖みたいな食いもんやねぇ。そんで隣の屋台はなに売ってはるの?」
屋台のおっちゃん「隣は一銭洋食やね」
ユリ「一銭洋食?」
屋台のおっちゃん「小麦粉を水で溶いてネギなんかの具を入れて鉄板で焼いてウスターソースを塗った、分断前からこの地に伝わる子どものおやつたい」
ユリ「ほえー。なんかお好み焼きの元祖みたいな食いもんやねぇ。そのまた隣の屋台はなに売ってはるの?」
屋台のおっちゃん「隣の隣はぺったん焼きやね」
ユリ「ぺったん焼き?」
屋台のおっちゃん「小麦粉を水で溶いてネギなんかの具を入れて鉄板で焼いて醤油を塗った、分断前からこの地に伝わる子どものおやつたい」
ユリ「あー、そっちは醤油味な訳ね。で、さらにその向こうはなに売ってはるの?」
屋台のおっちゃん「あそこは福田流ちょぼ焼きやね」
ユリ「福田流ちょぼ焼き?」
屋台のおっちゃん「小麦粉を水で溶いて鉄板で焼いて焼きそばを挟んだ軽食で、分断前からこの地に伝わる子どものおやつたい」
ユリ「ほえー。なんかお好みや…」
ソニ「ええ加減にせぇ!(すかたーん)」
ユリ「いててて」
ソニ「全部一緒やないか! 会話が頭悪すぎるわ、ボケ」
ユリ「一緒って事はないんちゃう? 名前も違うし、ちょっとずつアレンジが加わってるし」
ソニ「小麦粉を水で溶いて鉄板で焼いたらみんな同じじゃ!(がおーっ)」
ユリ「そんなことゆうたら、うどんもすいとんも餃子の皮も同じって事になるやんけ。分類が雑すぎるがな」
ソニ「屁理屈ゆうんじゃないっ」
屋台のおっちゃん「あんたら買わんのならどっか行ってはいよ。並んでるお客さんのジャマばい」
ウンジ「すんませんすんません。すぐ退きますばい(ぺこぺこ)」
ユリ「えー? ラジオ焼き買わへんの?」
ウンジ「買わん! チャガルチで海鮮喰うてさっきから言うとるやなかね(うきーっ)」
ユリ「わー、怒られた。自分で連れてきたくせに」
ウンジ「ひやかしの過ぎるけんたい!」


13:チャガルチ市場


ナレーション:4歳も年下の後輩に怒られ、すっかりしょげてしまったユリさん。以後は寄り道をすることなくチャガルチ市場へとやって来ましたよ。



都合により昼間の画像でお楽しみください


ウンジ「はぁはぁ、やっと着いた。ここが東洋一の海鮮市場チャガルチばい」
ソニ「おー。第1回からネタ振りしといて、苦節30年、やっとこたどり着いたで」
ウンジ「30年もかかっちゃおらんやろ」
ユリ「♪荒川渡ればキミは大学生 オイラしがない流れ者だよ
 やってきましたチャガルチへ さみしー!
ウンジ「訳のわからん歌はやめれ」
ソニ「それにしても、露天にも結構店が出てるんやね」
ウンジ「それは全部が全部ビルの中に入れる訳やなかけんね。生魚を扱うだけやなく、干物や焼き魚、お土産、雑貨やら商店の数は星の数ほどあるけん」
ソニ「なるほどー」
ユリ「おー、チンポじゃチンポじゃ(喜)」
ウンジ「なぬ?」



ウネウネ


ウンジ「ああケブルか」
ソニ「まぁ美味いけども」


ナレーション:説明しよう!
 ケブルとは日本語に直訳すれば“犬のチンチン”。日本ではユムシ、中国では海腸として知られる無脊椎動物なんです。
 韓国では一般的な食材として知られていて、多くは刺身で供されます。ミル貝に似た味だそう。
 韓国人には抵抗のない食物なので、キモうまハンターのにこるんや宮地眞理子さんの手にかかればひとたまりもないでしょうね。


ユリ「♪チンポ喰おう〜、チ〜ンポ喰おう〜るんるん)」
ソニ「アイドルがチンポとかゆうなよ。なぁ?」
ウンジ「…」
ソニ「どした?」
ユリ「なんかリアクションせえや」
ウンジ「そのワードは事務所NGなんで」
ユリ「ふん。20も半ばになって、いつまで清純ぶってやがる。そやから日本で人気出ないんじゃ」
ウンジ「そーなの?」
ソニ「うむ。日本はブスなバラドルが総選挙で3年連続1位になったり、アイドル同士で“FUCK”だの“DAMN”だのやり合うのが普通の国。清純なんて概念、ジャマでしかないんだよ」
ウンジ「がーん」
ソニ「まぁ自分はブスやからあんまりギャップを感じへんけど、人形みたいな顔したあのナウンがケブル咥えてヘッドバンキングしたら日本でトップの人気になる可能性が高い」
ウンジ「可能性が高い?」
ソニ「多分。9対1の割合で」
ウンジ「どっちが9でどっちが1ね?」
ソニ「そらぁ人気出る方が1やがな」
ウンジ「ほんなら9割はやり損やなかね(うきーっ)」
ソニ「もともと人気ないんやから、それくらい冒険せーや」
ウンジ「でけん。そこまでせんてちゃウチもナウンもドラマで生きるけんよか」
ユリ「ダメな奴ら(嘲笑)」


ナレーション:などとどうでもいい会話をしながら、一行はカモメの形のビルの中へ。
 ここは2006年に完成した地下一階地上7階の建物で、1階部分には百を越える魚屋が軒を連ねています。お店で買った魚はその場で刺身にしてくれて、2階の食堂で食べることが出来るんですよ。
 


魚屋「いらっしゃーい、いらっしゃーい! オネサン、タコ、エビ、カニ、ナンデモオイシーネ」
ソニ「ものすごい活気やなぁ」
ユリ「カメラが寄ってくると店の人が日本語で呼び込み始めたで」
ウンジ「それくらい日本からの取材が多かとよ」
ユリ「へー」
ソニ「とにかく待ちに待った晩飯じゃ。なに食べようかな」
ユリ「チンポ、チンポ」
ウンジ「それはマジでやめてはいよ」
ソニ「そんなら何がオススメやねん?」
ウンジ「うーん、なんでんうまかばってん、やっぱサンナクチ(テナガダコの躍り食い)かなぁ」
ソニ「あのウネウネしとる奴?」
ユリ「見た目のインパクトはチンポと変わらんぞ」
ウンジ「しぇからしか。グロくてもシモやなかったらよかったい!」
ユリ「その拘りがよおわからん」


ナレーション:てことで、一行はテナガタコを含め、いくつかの魚を選んで2階へ。
 すると薬味や漬物が次々に出てきます。これらは魚代とは別にお金を払うシステムのようです。
 ほどなく、注文した魚が皿にのせられて運ばれてきましたよ。



ユリ「うひょー、動いとる動いとる」
ソニ「こんだけバラバラにされても動き続けるその根性はどっから来るんやろう?」
ウンジ「知らんばい。そげんこと考えたこともなか」
ユリ「チンコも切り取ったらこおなるんかなぁ?」
ソニ「石直球で実験してみれや(笑)」
ユリ「失敗したなぁ。付き合っとる内にやっとくんやった」
ウンジ「シモはやめんね、ほんなこてもう(怒)」
ソニ「そんじゃ取り敢えず喰おう。せっかくやからサンナクチからいくか」
ウネウネウネ
ソニ「ぴゃー、つかみにくい」
ウンジ「ごま油のまぶしてあるけんね」
ユリ「お、ウチはなんとか掴めたで。いっただっきまーふ!(ひょい、パク)」
ソニ「どや、美味いか?」
ぴた、きゅうぅぅぅっ
ユリ「…! いててててー、噛まれた噛まれた!(どたばた)」
ソニ「えー、タコの足やで? 噛む訳ないやん」
ユリ「痛てーよー(涙)」
ウンジ「吸盤が口の中至る所に吸い付きよっとたい。無理に剥がすとばり痛かばい」
ユリ「早よゆえや、ボケ」
ウンジ「それもサンナクチの醍醐味やけんね(笑) そるばってん美味かろーもん」
ユリ「(もんぎゅゆんぎゅ)あー、味は確かに美味い。てか、めっちゃ美味いやんけ」
ソニ「マジで?」
ユリ「イソギンチャク喰った時のにこるんの気持ちがわかった」
ウンジ「バカチン! ワキャーなんかと比べたらタコに失礼ばい(怒)」
ユリ「そやな。うん、美味い美味い(パクパク)」
ソニ「うげぇ、口からタコの足が出てる。気持ち悪っ」
ユリ「『ヒドゥン』のフェラーリ宇宙人の真似っ(ニュルニュル)」
ソニ「やめんか!(どげし) そんな顔、放送出来んやないかっ!」
ユリ「きゅー」
ウンジ「すんごいなぁ、完全にアイドルを忘れて振り切ってるやなかね。ベテランの風格やね」
ソニ「いんや、こいつはデビュー当時からやり過ぎてよくお目玉食らってたんや。
 ほなウチはもちょっと上品に鯛を食べようかな」
ぱく
ソニ「うん、新鮮だからめっちゃ美味い。コリコリしとる」
ウンジ「甲殻類や青魚は新鮮な方が美味いけど、鯛みたいな白身魚は数日寝かせた方が旨味が増してウチは好きばってんね」
ソニ「なんじゃその港町うんちく」
ユリ「魚にもエイジングが必要ってか? ニコルのおっかさんみたいなことゆうとるで(くっちゃくっちゃ)」
ウンジ「ユリ先輩はちょっとエイジングしすぎかもしれんね。そのほうれい線」
ユリ「うきーっ、気にしとることゆうんやない!」
ソニ「わはははは」


ナレーション:美味しい魚にお酒も進み、なんだかんだ和やかなディナータイムとなりました。
 と言う訳で、今回の『そに散歩〜釜山篇』はここまで。また次回をお楽しみに。


ウンジ「次回は蔚山篇か大邱篇にしようばい」
ソニ「もお当分慶尚道は結構です」






※牛カツいざわ…本当は光復路の北側にあり、今回のルートからは外れている。まぁ、フィクションてことでご勘弁願いたい。
 くれぐれも国際市場の周囲で探しちゃだめだよ。


※チャガルチ市場…カモメ形のビルの裏にもうひとつビルがあり、そこにも魚商が大量に入っている。そちらのビルでは2階ではなく、魚店に隣接したスペースで食することが出来、2階は干物屋などが軒を連ねている。
 またこの辺りはホルモン焼きも名物で、近くの路地はホルモン横町になっている。ジンジャーさんに店を教わって二日目の夜に行く気でいたら、私の相方(アホ面の日本人)が昼間になぜかパンを暴食し寝込んだため、いけなくなってしまった。なぜ釜山まで来て腹壊すまでパンを食うのか、理解に苦しむ。アホ面どころか真性アホなのだろうと思う。結局私はホテルでコンビニおにぎりを食って済ませた。
 せっかく店を教えていただいたジンジャーさん、リポート出来なくて申し訳ありませんでした。
 とにかく二泊三日(うち晩食は一日のみ)の旅でこんだけまわったのだから、十分旅費の元はとったと思う。疲れた。