関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第713話 そに散歩 〜釜山編〜(その2)





03:西面


ソニ「さぁ、地下鉄の乗り換えのついでに西面(ソミョン)ちゅう駅で降りてみました」
ユリ「聞いたことある地名やな」
ウンジ「ここは地下鉄1号線と2号線の乗換駅で、釜山の中でもオシャレな街として知られとるとこばい」
ソニ「なにがあんの?」
ウンジ「若者がよう行くふとか地下街やグルメ街もあるばってん、ランドマーク的な存在はやっぱロッテデパートやね」
ユリ「デパート?」
ウンジ「ロッテホテルも隣接しとって免税店があるとばい。観光客もたくさん来るし、そらオシャレばい」
ソニ「デパートかぁ(うーん)」
ウンジ「なんね、なんか不満のあっとね?」
ソニ「ゆうても、デパートならソウルにも仰山あるし」
ユリ「釜山にしかないものを紹介したいよなぁ」
ウンジ「デパートが自慢やったらおかしかつか?(うきーっ)
 デパートしか自慢のない田舎思うてバカにしとっちゃろうけど、ここのロッテデパートはほんなこてふとかとばい! 見てみんしゃい!」



どーん


ユリ「まぁでかいけども」
ソニ「釜山感はあまり感じないなぁ」
ウンジ「しぇからしか。そがんこつはここのエレベーターガールば見てから言いんしゃい」
ソニ「エレベーターガール? どこに?」
ウンジ「あのチマチョゴリを着たきれいなお姉さんたい」
ユリ「ああ、ホンマや。6基のエレベーターの間を走り回って、巧みに客を誘導しとる」



ウンジ「あのお姉さんは実は英語と日本語がペラペラ」
ユリ「マジで?(しえー)」
ウンジ「釜山には年間300万人もの観光客が訪れよっとばってん、そのうち日本からの客の比率はかなり高か。なんしろ福岡や山口とは200kmしか離れとらんけんね。釜山の商売人はみんな片言の日本語くらいなら喋るっとよ」
ソニ「なるほど」
ウンジ「ばってんあのお姉さんたちは正式に教育ば受けとるけん、日本人客のとんちんかんな質問にも笑顔で答える実力があるとたい」
ソニ「へー、ああ見えてエリートなんやね」
ウンジ「そがんたい。それほどの水準の案内係ば置いとるデパートはソウルにもなかと(えっへん)」
ユリ「それは判ったが、韓国人のウチらには何のメリットもないで」
ウンジ「う…」
ソニ「そやな。それに免税店が人気ゆわれても、外国人旅行者でもないウチらは利用できんし」
ウンジ「そ、それは確かにそがんやね。ウチの考えが至らんかった。そんなら釜山のマルキュー言われとるオシャレビル“Judies太和(ジュディース・テファ)”に行ってみるね? 西面ではロッテデパートと並ぶ人気スポットで、若者のてげ多かとばい」
ソニ「いや結構」
ウンジ「(かくん)あら」
ソニ「例え釜山一オシャレいわれても、ソウルにはかなわんやろうし、やったら見てもしようがない」
ユリ「ウチら、釜山にしかないものを見たいゆうたやんけ」
ウンジ「むぅ…わかったばい。ほんならソウルじゃ逆立ちしてもお目にかかれんものを見せてやるばい」
ソニ「お、それは楽しみ。やっとそに散歩らしくなってきたで(笑)」


04:水晶洞


ソニ「てことで地下鉄1号線に乗り換えてやって来たのは釜山鎮(ぷさんちん)駅です。ウンジさん、ここに釜山にしかない名所があるんですね?」
ウンジ「そがんたい。こっから南へ向かって坂を上っていくと…」
ユリ「コンビニがある変則四つ角に出た」
ウンジ「そのコンビニを左に見ながら、路地を進むことわずか2分。じゃーん、ここたい!」
ソニ「なんか白い壁の家がありますけど」



ウンジ「まさにそれ。この家こそ釜山が誇る、ソウルではなかなかお目にかかれない文化財たい」
ソニ「戸建ての家はソウルにもあるけどなぁ」
ウンジ「よお見てみんしゃい。ただの戸建てやなかろーもん。これは韓屋やなくて日本式家屋ばい」
ソニ「あー、ゆわれてみればそんな気が…」
ユリ「マッスル坂井さんの家が戸建てやってこないだ『水曜日のダウンタウン』で自慢してたから、ここがそうなのかもしれんで」
ウンジ「(うきーっ)なんでローカルプロレスラーの家が文化財になるとか! しかもSSMの家なら新潟にあるはずじゃなかね」
ユリ「そうやって怒るところを見るとマッスルさんの家じゃないらしい」
ソニ「ほな男色ディーノの家かな? なぁなぁ、男色ディーノて、マジでゲイなん?」
ウンジ「ウチが知るか! いい加減田舎プロレスから離れたらどがんね。
 ここは日帝時代に京都出身の日本人で小原為という資産家が建てた家で、高級料亭を経て今ではカフェ兼ゲストハウスになっとるところたい。
 釜山には日本家屋がいくつか残っとるばってん、こん水晶洞(スジョンドン)の家が一番保存状態のよかと」
ソニ「カフェか? ほなちょっと入ってみる?」
ユリ「そやね、日本茶あるかな?」
ウンジ「日本茶あったかな? ゆず茶やナツメ茶はあったと思うたばってん」



ソニ「おお、ホンマに畳がある」
ユリ「ウチら日本に行っても、日本家屋に上がり込むことはないよって、これは貴重な体験かもしれんなぁ」
ウンジ「ほらみんしゃい。釜山にはソウルにゃなか名所がてげあっと。判ったね」
ババァ「(ぬっ)いらっしゃ〜い」
ユリ「わっ、びっくりした!」
ババァ「ようこそ釜山が誇る文化財・ 旧貞蘭閣(チョンナンガク)へ。わたくし、女将のハクベイと申します」
ソニ「うそつけ」
ババァ「シロタイラでございます」
ソニ「もおええって」
ババァ「ここはカフェですけん、見学の方もひとりひと品飲み物を注文していただく決まりになっとります」
ウンジ「あ、そがんね? ならウチはコーヒーたい」
ババァ「ホットとアイスがございますが?」
ウンジ「ぬっかとば」
ババァ「かしこまりました。して、そちら様は?」
ユリ「ウチはナツメ茶にしよおかな」
ババァ「かしこまりました」
ソニ「ウチは焼酎」
ババァ「かしこまりました」
ユリ「焼酎あんのかい!」
ババァ「うふふ、誰の心にも燃えるコスモはございますとも」
ユリ「それは焼酎やなくて、小宇宙や!」
♪ちゃんちゃん


ナレーション:あっは。愉快な女将さんの案内で、一同は落ち着いた小部屋に陣取りました。
 ほどなくして、注文の品が運ばれてきましたよ。


ババァ「お待たせいたしました。ナツメ茶でございます」



ユリ「お、来た来た。これを写真に撮ってインスタにアップせねば(パシャ−ン)」
ソニ「またか」
ユリ「ドリンクのインスタアップはウチの使命!(パシャパシャーン)」
ソニ「てかアイドルのくせにドリンクの写真ばっかアップしやがって。もちっとペンサービスを考えろや」
ユリ「自分かて猫の動画ばっかあげてるやんけ」
ソニ「あれはペンサービス(きっぱり)」
ウンジ「なんでそがん飲み物ばっかりアップするとね?」
ユリ「それは簡単。ウチは将来バリスタを目指しとるからや」
ウンジ「(かくん)すでにトップアイドルじゃん。なんで今更バリスタば目指さなあかんと?」
ユリ「いつまでもあると思うな、人気とお金てゆうやんけ。将来を見越してのリスクヘッジや。ウチはアホみたいに歌ばっか歌うてるおチビちゃんとは違うんよ」
ウンジ「それって、つまりリーダー批判やね」
ユリ「(しー)滅多なことをゆうな。ウチはひと言もテヨンなんてゆうてないで」
ウンジ「今ゆうたばい(あっはっは)」
ユリ「うきーっ、卑怯な奴」


ナレーション:あっは。リーダー批判の部分も、ちゃんとオンエアさせてもらいますよ。
 ところで、機嫌よく燃える焼酎を吞んでいたソニさん、家の中を見回して、なにか気づいたようです。


ソニ「この家、なんか見覚えあるなぁ」
ユリ「酔うてるからじゃね?」
ソニ「いんや、これくらいのアルコール、ソニちゃんにとってはむしろ脳の活性剤。うーむ、あとちょっとで思い出せそおなんやけど、どこで見たかなぁ」
ババァ「ここはようロケセットで映画なんかに使われたりするとですよ。そやけん画面の中で見たんやなかとですか?」
ソニ「あー、そおかも。映像で見た気がするなぁ」
ユリ「映画って例えば?」
ババァ「一番有名なのは巨匠イム・グォンテク監督の『将軍の息子』ですたい。それだけやなく、昔からキム・ドゥハン物の映画にはよおこの建物が登場しよるですよ。あと最近じゃ『犯罪との戦争:悪い奴ら全盛時代』ね」
ソニ「ハ・ジュンウさんとかチェ・ミンシクさんが出てた?」
ババァ「そがんですたい」



映画『悪いやつら』(邦題)より


ユリ「基本的にやくざ映画によお出てくるようやな」
ウンジ「日本人=やくざって図式らしかね」
ソニ「うーん、そやけどウチの記憶ではやくざ映画やなかったよおな気が…」
ババァ「あ、思い出した。最近人気アイドル歌手がここでミュージックビデオば撮影して行かしたとよ」
ユリ「人気アイドル歌手?」
ババァ「そがんですたい。えーと、たしか少女時代の…」
ソニ「少女時代やて?」
ユリ「え、聞いてないで。だ、誰や?」
ババァ「少女時代の、ア…」
ソニ「ア?」
ババァ「アイユとか言いよったかな?」
ソニ「(ずるっ)どーゆー記憶や」
ユリ「(かくん)間違うにもほどがある!」
ババァ「そおゆうたら、おふたりもどこかで見たような…。もしかして少女時代の方?」
ソニ「そおですけど」
ユリ「(えっへん)サインは1枚15000₩から」
ソニ「こらこら、本気にされたらどおする」
ウンジ「ほなウチは? ウチのこと知っとるけ?」
ババァ「お客さんも観たことあるばい。確か『応答せよ1999』に出とんしゃった…」
ウンジ「『1997』ね。『スペース・1999』とごっちゃにしたらでけんばい」
ババァ「『応答せよ1997』に出とんしゃった…」
ウンジ「うんうんうんじ」
ババァ「少女時代のウンジさんたい!」
ウンジ「(がっくり)」
ソニ「惜しい!(笑)」
ウンジ「いっちょん惜しゅうなかっ!」


ナレーション:あっは。女将さんにとってはアイドル=少女時代ってことなんでしょうね。
 それはともかく、IUさんがこの家を舞台に撮影したMVがこちら。雰囲気ありますねぇ。



IU『夜の手紙』


ユリ「自分、悔しゅうないんか!?(どんっ)」
ウンジ「は?」
ユリ「IUの奴、自分のソロ活にタイミング合わせて新曲出してきた上に、自分の出身地でロケまでしやがったんやで」
ウンジ「え、露骨にウチを潰しに来たって事?」
ユリ「…て、ちっこいリーダーがゆうてたで。ウチにはどーでもええことやけど」
ウンジ「そこまで評価してくれてるんなら嬉かばってん、ウチなんか多分ジウンちゃんの眼中にも入ってへんばい」
ソニ「そやろな」
ユリ「ちっこいリーダーは自分以外全員敵やと思うとるからな」
ウンジ「そんな北の最高指導者みたいなアイドル、おるとかいな(唖然)」
ユリ「いるんだよねー」
ババァ「それはともかく、お悩みは解決しなはったですか?」
ソニ「いやぁ、どーやらIUのMVでこの家を見た訳でもなさそうや。(う〜ん)いったいどこで見たんやろう」
ババァ「今までのヒントで判らなかったら、もおお手上げばい」
ソニ「うーん、うーん、気持ち悪いなぁ」
ウンジ「ジウンちゃんのMVで思い出したばってん、おでん屋で話題にした知り合いの日本人たい」
ユリ「ああ、おでん屋のシステムが判らんで食い損ねた人ね」
ウンジ「そん人は結構なK-Popペンばってん変わり者なんよ。例えばジウンちゃんの新しいCD買うたばってん、まだ封切ってなかて言いよんしゃった」
ユリ「なんで? IU嫌いなんか? いや、嫌いやったらハナからCDなんか買わんか」
ウンジ「リアルタイムで聴くとどうしてもジウンちゃんの生臭さば感じるけん、2〜3年寝かすて言いよんしゃった。2〜3年寝かしたジウンちゃんはバリ良か歌手らしか」
ソニ「ワインじゃあるまいし(呆)」
ウンジ「あと、Twiceの『SIGNAL』のMVもすぐ1億ビューを達成するやろうけど、“ワシはその1億の中の単なるひとりにはなりたくない。他の9999万9999ビューと同じただの1カウント扱いにされるのなら、卵子にたどり着けない精子と同じたい!”て訳の判らん理屈をこねて、未だにTwiceの『SIGNAL』を見たことも聞いたこともなかてったい」
ユリ「どゆこと?」
ウンジ「さぁ? ただ“どうせ観るならTwiceを孕ませる一撃になりたい”てやたらおらびよったばってん」
ソニ「危ない奴なんやないの?」
ユリ「今時IUやTwice聴かない奴なんかKポペンてゆわんで」
ウンジ「ばってんなかなかのSM信者なんよ。最近はテヨン先輩のソロアルバムとSM STATIONの4枚組アルバムをヘビロテしてるから、そもそもTwice聴く暇がないても言いよったな」 
ソニ「それはそれでありがたいけどなぁ」
ユリ「うむ、全身にサブイボ出るくらいありがたい(ぞわぞわ)」
ババァ「それ、本気でありがたかて思うとるんですか?」
ソニ「あっ!」
ウンジ「どげんした?」
ソニ「この家をどこで見たか思い出した!」
ウンジ「どこで見たと?」
ソニ「えーと、叔父はんのビデオコレクションで見た」
ユリ「叔父はんて、スマン先生のこと?」
ソニ「うん」
ウンジ「ひえー。てげ大物の出て来たばいね」
ソニ「叔父はんがめっちゃ大事にしとる英知出版ビデオの一本にこんなシーンがあって」



秋元ともみ『青空に星いっぱい』より


ユリ「わ、パンツ見えてるやん」
ソニ「そら英知出版やからね。あまりの少女趣味に思わずサブイボ出たよって、ユリの言葉で記憶がよみがえったわ」
ウンジ「てか、スマン先生のコレクション、いつ見るタイミングがあるとね?」
ソニ「いや、普通に会長室に展示してあるで。ヨンミン社長の部屋には風俗雑誌が山積みやし」
ウンジ「(かくん)どーゆー会社かいね」
ソニ「とにかく、これで問題は解決した。あースッキリ」
ババァ「ばってん、この映像の場所は小原邸じゃなかばい」
ソニ「は?」
ババァ「高級日本家屋がみな同じように見えるとは仕方なかばってん、この庭の様子からして小原邸じゃなかとは明らか」
ソニ「なんと!」
ババァ「ここはおそらく、当時英知出版がようロケセットに使いよった奥多摩の離れ旅館やと思う」
ソニ「(がーん)」
ユリ「てか、よおそんな情報知っとるな」
ソニ「とほほ、ようやくスッキリしたと思うたのに」
ババァ「そら残念でしたな(ほっほっほ)」
ウンジ「てか釜山の文化財まで来て、昭和のエロ動画とか持ち出すんじゃなかとよ(ぷんぷん)」






※私はロッテデパートの免税店でウナギの皮の財布を買いました。なかなかいい品で満足しております。
 売り子はかなりネイティブに近い日本語を喋ります。