関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第613話 段ボール美少女歌手

於:居酒屋くま八
がやがやがや
酔客A「(ぐびぐび)テヨンたんの『I』、聴いた?」
酔客B「聴いたがな。ワシ3分半の間泣き通しで、水道の蛇口が開いたかと思うたで」
酔客A「はて、どっかで聞いたような台詞やな」
酔客B「気のせいちゃうか」
酔客C「ワシも昨日の夜中は水道の蛇口が壊れたかと思う経験したで」
酔客B「そうか。そうやろなぁ。あの歌声は涙を呼ばずにはおれんよって」
酔客C「いや、ワシの場合、夜中に尿意を憶えて跳ね起きたんやけど、トイレまで我慢出来ず、廊下の途中で自前の水道管が破裂してな」
酔客B「(がく)くだらねーわ」
がらら…
♪ぽろろ〜ん
くま八親父「ん?」
酔客A「なんか妙な臭いが」
JUNIEL「こんばんはー。良かったら一曲聴いていただけないでしょうか?」
酔客A「なになに? 新人歌手のキャンペーン?」
酔客B「ほー、まぁまぁ可愛ええ娘やないの。歌いなさい、歌いなさい」
JUNIEL「ありがとうございまーす。JUNIELと申します(ぺこりん)。ジュニって呼んでくださいねぇ」
酔客C「おー、ジュニたんね。こんな夜更けにひとりで新曲キャンペーンなんて大変やね。マネージャーもついとらへんの?」
JUNIEL「ジュニ、売れてないからマネージャーさんいないんです(しゅん)。てゆーかあ、これは新曲キャンペーンじゃなくてぇ、営業なんですよぉ」
酔客A「営業?」
JUNIEL「はーい。これからジュニがみなさんのリクエストに応じて歌いますからぁ、そのお代をいただきたいんですぅ」
酔客B「ああ。流しってこと?」
JUNIEL「そうとも言うみたいですねー」
酔客B「そうとしかゆわんやろ」
くま八親父「ねえちゃん、うちでは流しはちょっと」
JUNIEL「えー、ダメですかぁ(しゅーん)」
くま八親父「いや、流し自体がダメってことやなくて…」
JUNIEL「じゃあ、歌ってもいいんですね(じー)」
くま八親父「うう…(汗)」
酔客C「まぁええやないか、親父。ワシらもちょっと聴いてみたいし…」
JUNIEL「わぁ、ありがとうございます(抱っ)」
酔客C「おおっ、胸がすりすりして気持ちええど(悦) なんか生ゴミ臭いけど」
JUNIEL「リクエストしていただいたら、お客さんの膝に腰掛けて歌いますよー」
酔客A「わーい、それじゃあ頼もうかのお」
くま八親父「もお、どおなっても知らんど」
酔客B「得意分野はなに?」
JUNIEL「ジュニはプロだからぁ、何でも歌えますよぉ」
酔客B「それは頼もしいなぁ」
JUNIEL「料金は1曲7000₩で、3曲なら大サービスの20000₩でーす」
酔客B「それって大サービスかいな?」
酔客A「まぁええ。ちょうど3人おるからひとり1曲ずつ頼むか」
酔客C「そうしようそうしよう」
酔客A「ほな、ワシはIUたんの『自分とウチ』ね。可愛ええ娘にはこうゆう歌が似合うやろ」
JUNIEL「IU…(ぴく)」
酔客A「ん、どおした? 今一瞬根性悪そうな表情になったけど」
JUNIEL「えー、気のせいですよぉ。ジュニ、いつも笑顔ですもん」
酔客A「ほんならええけど。じゃ『自分とウチ』お願いね」
JUNIEL「それはイヤ(ぷい)」
酔客A「(かくん)なんでや。何でも歌うゆうたやないか」
JUNIEL「原則的にはそうなんですけどぉ、IUちゃんの歌はプライドが…いえ、ジュニの声には合わなくって」
酔客A「そおゆうもんかにぃ」
酔客C「気がノランナってことかいのぉ(ぎゃははは)」
JUNIEL「そ、そうなんですぅ(死ね、このハゲ)」
酔客B「ほな、ワシが先にリクエストしちゃろう。この夏流行ったアヨンたんの『そんなことならハナからせんといて』をお願い。あの歌好っきやねん」
JUNIEL「アヨンやて…(ぐにょー)」
酔客A「おおっと、また怖い顔に」
酔客B「ホンマや。死ぬ直前の夜神月みたいな表情やったで」
JUNIEL「やーだー。お二人とも呑みすぎなのかしらー? お酒なんて身体に悪いから呑んじゃダメだぞっ(きゃぴー)」
くま八親父「居酒屋に来てなにゆうてやがる」
酔客C「とにかくIUもだめアヨンもだめゆうたらなにが歌えるんや?」
JUNIEL「オススメはぁジュニちゃんの『Sorry』ですぅ。別れた恋人を思い出す切ない心境を綴った名曲ですよ」
酔客A「別れた恋人とか、なんか重いなぁ」
酔客B「呑んでる席やから明るい歌がええんやけど」
JUNIEL「ガタガタうるさいわ! 『アヨン』の歌だって暗いじゃねーかよ」
酔客A「え?」
JUNIEL「あら、今表を叫びながら通っていった人が」
酔客A「嘘つけ」
JUNIEL「とにかくジュニの『Sorry』、聴いてください」
酔客C「勝手に決めちゃったよ(呆)」
♪ぽろろーん
JUNIEL「♪辛いのよ あなたのSorry そんなこと言わないで…
がらがらら!
メン・ユナ「こらーっ!(ごろんごろん)」
酔客A「わっ、またギターを抱えた女が転がり込んできた」
酔客B「今度は誰や?」
くま八親父「わーっ、来ちゃったよ」
メン・ユナ「貴様、この店はウチのシマやで。勝手に商売するとはけしからん」
JUNIEL「おねえさんはどなたですか?」
メン・ユナ「伝説のシンガー、“さすらいの太陽”のメン・ユナゆうたらこの辺じゃちょっとは知られた顔じゃ。よお憶えとけ」(※第188話、第288話、ミニそにょ108参照)
JUNIEL「わぁ、ジュニ、おねえさんの大ファンだったんですぅ」
メン・ユナ「でまかせゆうな。顔見ても判らんかったくせに」
JUNIEL「ちぇ」
メン・ユナ「とにかくこの店の親父には毎月袖の下を渡しておる。勝手に流しをやるのはまかりならん!」
JUNIEL「でもでも、ジュニ今夜の夕飯代もないんですよぅ(ぐぅー)」
メン・ユナ「知らんがな」
JUNIEL「せめて、今歌った分だけでもいただけませんか?」
メン・ユナ「あかん。甘やかすとクセになる」
JUNIEL「(がっくり)そんな…。角の公園で段ボールをお布団代わりに寝ることには慣れたけど、空きっ腹を抱えたままでは眠れないわ」
くま八親父「あ、自分か、最近マキフン公園に住み着いてるのは?」
酔客A「しえー、女の子なのに、そんな生活してるの?」
酔客C「それでさっきから映画版『深夜食堂』に登場する多部未華子みたいな臭いさせとったんやな」
酔客A「なるほど」
くま八親父「そうみたいですわ。
  自分、住み着くのはともかく、野良猫にあげた餌を横取りして食うてるゆうて近所のおばはんが怒っとったで」
酔客B「(ぴゃー)野良猫可哀想」
JUNIEL「私の方が可哀想でしょうが、どう考えたって!
  マスター、今度から“キャネット”じゃなくて、せめて“銀のスプーン”の缶詰に替えてくれるようお願いしてくださいません?」
くま八親父「あつかましいわ」
メン・ユナ「さぁさぁ、こんな猫娘のことなんか放っておいて、ウチの歌を聴いてや。景気づけやから、最初の1曲はサービスしとくで」


     メン・ユナ『猫マホ』 


酔客A「…」
酔客C「…また微妙やな(困)」
酔客B「…なんで猫被せてくるんや?」
酔客A「とにかく、拍手くらいしとくか」
JUNIEL「(ぱちぱちぱち)素晴らしいです、おねえさん! ジュニ、感動しちゃいましたぁ」
酔客B「マジで?(ひえー)」
メン・ユナ「おや、素直なところもあるやんけ。ちょっと見直そうかなぁ」
JUNIEL「マホちゃんておねえさんの猫なんですね」
メン・ユナ「そうやで」
JUNIEL「じゃあじゃあ、マホちゃんのご飯、ジュニにもちょっと分けていただけません?」
メン・ユナ「あかん。猫にやるメシはあっても、加代、おみゃーにやるメシはにゃーだよ」
JUNIEL「(がーん)そ、そんな…」
酔客C「加代て誰だよ?」
くま八親父「(うんざり)あーあ、金持ちの客が多いだけ、兄のひげ八が羨ましいなぁ」






※清純派最右翼のソロ歌手JUNIELだが、デビュー以来伸び悩んでいるせいか、最近事務所への不満を漏らし始めて注目を集めている。
 本文でも取り上げた『Sorry』は、JUNIELがこれまでのイメージを変え、金髪になって背中ヌードも披露した、と言う触れ込みで一瞬話題を呼んだが、ふたを開けてみると大した変身ではなく、曲もさして売れなかった。
 そこで2015年9月初旬、『Sorry』での活動終了にあたって「本当はバンド音楽をやりたい」とか「こんなキレイなイメージではなくズボンをはいて活動したい」と事務所の方針に納得していない風な発言を行った。
 さらに9月18日に放送されたMBC FM4U『正午の希望曲キムシンヨンです』に出演した彼女は、「うちの事務所は損益分岐点を越えないとお金をくれない」「初めて精算した時はもう終わりだと思った」「お金がない。借金ばかり増えている」などと事務所の悪口を連発。一気にベビーフェイスからヒールに転向したかのようだった。
 IU、ペク・アヨンと共にソロ歌手93ラインの一角を成す彼女だが、アヨンのヒットで相当焦ってきているのかも知れない。
 しかし、事務所(FNC)が給料制でなく歩合であることは契約時に判っていたはずなので、ヒット曲を作れない自分を反省すべきであろう。