関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第444話 エリンと魔法のパパパ

ナレーション:あるとき、ある大陸の端っこの半島にSM帝国という、たいへん勢いのある国がありました。
  だけど、その国のスマン王子はとっても傲慢な性格で、国民みんなから嫌われていました。
ジュンス「あ、スマン王子、こんにちは(ぺこりん)」
スマン「なに?(ギロ)」
ジュンス「ひっ」
スマン「貴様は誰や? なぜワシの名前を知っておるんや?」
ジュンス「だ、だって、この前まで一緒に…」
スマン「やかましい!(ばちこーん!) 貴様のような奴がワシを知ってるってだけで腹が立つ!」
ジュンス「ひえーーー(脱兎)」
スマン「わーっはっはっは」
クッキーマン「うーん、困った王子やなぁ」


ナレーション:王子が気を許しているのは、看護師のビクトリアだけでした。スマン王子とビクトリアは夜な夜な楽しく遊びます。
  ビクトリア「まー、可愛いキャンディちゃん。
    キャンディちゃん、あなたを食べてもいい? ”うん、いいよ” うふふ、ありがとう(カプ)」
  スマン「うひーっ♥」
ソニ「気を許してるゆうより、身体を許してるだけやん(呆)」


ナレーション:そんなとき、ひとりの少女が王子の前に現れたのです。
エリン「♪パパパーパ、パパパパー(ぴょんこぴょんこ)」
スマン「む?」
エリン「♪ちょびすけ ちょびすけ エッビバーデー…」
スマン「なんや、貴様、妙な歌を歌うんやない」
エリン「ん? おっちゃん、誰!」
スマン「こ、このワシを知らんと?」
エリン「うん、知らん」
スマン「ならば教えてやろう! SM帝国のスマン王子じゃー!(ばちこーん!)」
エリン「きゃーっ!(どさっ)」
スマン「わははは。よく覚えておけ、ワシの名を!」
クッキーマン「わぁ、最低やなぁ」
ユリ「名前覚えさせて、今度は”ワシを知ってるってだけで腹が立つ”ゆうて虐める気ぃやで」
ソニ「そんなことばっかりしてるから嫌われるんや」
スマン「ん? 女子が転んだらスカートがめくれてパンチラするのがこの国の決まり。
  貴様、なんでスカートの下にジャージなんか着てるんや?」
エリン「えへへ、ええやろ? ウチらで考えたんだよ。誓ってももクロのパクリやないよ」
スマン「ええい。女子なんて所詮パンチラしてナンボ。勝手なコトするなー(ぽかぽかぽか)」
エリン「痛い痛い(えーん)」
ユナ「ホンマ、最低のおっさんやな(溜息)」


ナレーション:そして次の日…
ぴょんこぴょんこ
エリン「♪パパパーパ、パパパパー」
スマン「む?」
エリン「♪ちょびすけ ちょびすけ エッビバーデー…」
スマン「また貴様か。妙な歌を歌うなとゆうたやないか!」
エリン「え、おっちゃん、誰?」
スマン「はぁ? あんな目におうたのに、ワシを知らんと?」
エリン「うん、知らん」
スマン「(うきーっ)もう許さんぞ!
  それに、昨日あれだけゆうたのに、またジャージ着とるやないか。さっさとパンチラしろー(ぽかぽか)」
エリン「イタイ、イタ…、あ、おっちゃん、以前もエリンのおしり触ったよね?」
スマン「ひ、人聞きの悪いことゆうな。昨日はケツを触った訳やなく、下半身中心にぽかぽか殴っただけや」
エリン「そお? ほんならウチ、おっちゃんと昨日も会ったんやね(笑)」
スマン「はぁ? 自分、なにゆうとるんや?」
エリン「昨日、会うてないの?」
スマン「いや会うたがな。ちゃんと会うたで」
エリン「やっぱり?(笑) わーい、嬉しいわぁ。
  ウチとおっちゃん、もおお友達や。エリン、メンボ以外にお友達出来たん初めてや!」
スマン「…(ぽかーん)」


スマン「アメンボ家来、アメンボ家来はどこや?」
クッキーマン「ははー、ここに控えてござりますぅ」
スマン「あのエリンゆうガキはなにものや?」
クッキーマン「えーと(めくり)。…去年クローム家からデビューしたクレヨンポップなるアイドルにございます」
スマン「アイドル? あんなに貧乏くさいのに? パンチラもせんのに?」
クッキーマン「貧乏を逆手にとって、路上でもああやって活動する独自路線をとっているようです」
スマン「かぁー、下々の考えることはさっぱりわからんな。
  それよりあのガキ、昨日会うたのに、ワシのこと少しも覚えてなかったぞよ」
クッキーマン「それは…。その娘は実は記憶が一日しか保たないのです。
  夜寝てしまうと、それまでのことをすっかり忘れてしまうと言う障害がございます」
スマン「な、何故や? なにか特殊な病気でも?」
クッキーマン「いや、極端にアホなせいです」
スマン「そ、それは不幸すぎる!(がーん)」
ナレーション:この時初めて、スマン王子の心に”可哀想”と言う感情が湧き上がり、涙が止まらなくなりました。
スマン「おーい、おいおい。おーい、おいおい(号泣)」
クッキーマン「おお、スマン王子が泣いている。まさに鬼の目にも涙や」
スマン「(ぐすぐす)エリンを応援したい。なんとか幸せにしてあげたいのや」
クッキーマン「マジで!?(驚愕)」


ナレーション:スマン王子は直ちに公民館を貸し切って、クレヨンポップが路上でパフォーマンスしなくても良いように手配しました。ですが…
エリン「知らない人から、親切にされるいわれはない」
スマン「知らない仲ちゃうやろ。ホラ、昨日も会うたがな。スマンや」
エリン「知らん」
スマン「…(がーん)」
エリン「それに、ウチらは路上でペンと一緒にパフォーマンスするのが楽しいんや。大きな会場では得られない喜びなんや」
スマン「うう、なんて欲のない…」
クッキーマン「王子、王子。クローム家では”高額なプレゼントを受け取らない代わりに現金を振り込んで”ゆうて口座を開設したようでっせ」
スマン「よぉし、ほんならその口座に5億くらい振り込め」
クッキーマン「へーい」
ナレーション:しかし、あまりにも高額な振り込みに、家長のファン・ヒョンチャンは、ビビッてすぐに口座をたたんでしまいました。
スマン「あ、なんだよ。これからまだ100億くらい寄付しよう思うてたのに」


ナレーション:すっかり途方に暮れたスマン王子は、直接エリンに訊いてみることにしました。
エリン「おっちゃん、誰?」
スマン「おっちゃんはスマンや。お友達のスマンや」
エリン「へー、知らん」
スマン「エリンが知らんでも、ワシが知っとるからお友達や」
エリン「それはそうやね。エリン、アホやから(笑) おっちゃんの方で覚えててくれると助かるわ」
スマン「忘れるもんかね。ところでエリンには、なにか望みはないのかなぁ?」
エリン「望み?」
スマン「エリンはアイドルやろ? アイドルとして、ああしたいとか、こうしたいとか、そんな望みや」
エリン「それなら…ううん、無理やからええ」
スマン「無理て(かくん) ハナから諦めとったらホンマに手が届かなくなってしまうど。
  おっちゃんかて、若い頃にギター一本抱えただけで、この大陸や新大陸で頑張って歌って来たから、今の帝国があるんやど」
エリン「へー、おっちゃん、歌手やったの?」
スマン「そうともそうとも。おっちゃんの代表曲『ヘンボク』聴いてみるか?(ポロロ〜ン)」
エリン「いや、いらんけど」
スマン「(ズル)そ、そお? 意外とええ曲やけどな」
エリン「それより、おっちゃんがその顔で歌手として成功したんなら、エリンだって望みあるよね?」
スマン「そうや。最初から諦めたらあかん。どんな望みか、ゆうてみい」
エリン「うん。…エリン、一度で良いからクレヨンポップのメンボと音楽番組で1位になってみたい!」
スマン「(がーん)そ、それは…」


ナレーション:なんと言うことでしょう。その頃音楽番組は長いことEXOと言うグループが制覇していました。
  そしてEXOはSM帝国の忠臣、まさにスマン王子の家来だったのです。
スマン「マスコミを操作すればクレヨンポップを1位にすることも出来るが…」
クッキーマン「まさか、SMの威信を誇るEXOを落選させてまで、あんな貧乏くさいグループを1位にしようと言う訳やないでしょうね?」
スマン「うう、困った…(汗)」
ナレーション:なにしろ、その時期のEXOと言えば、飛ぶ鳥を落とす勢い。ライバル家のアイドルですら心惹かれるイケメン揃いだったのです。
  ニコル「ウチ、EXOのKAIくんがむっちゃ好きやわぁ。最近じゃむだ毛処理のカミソリもフェザーからKAI印に代えたくらいや」
  スンヨン「(く、くだらねえ)ウチはXIU MINくんかな」
  ジヨン「ウチはLUHANくん」
  ハラ「LUHANくんは泥棒の3代目らしいで」
  ジヨン「それはルパンくんやがな。自分で『LUPIN』ゆう曲歌うといて、なにゆうねん」
  ギュリ「さすが元祖幼稚ギャグのスペシャリスト。レベルの低さが他の追随を許さんわ」
  ハラ「そういうおねえは誰が好きなん?」
  JOO「(ずい)ウチはイルフン。ダントツでイルフンや!」
  ギュリ「よそ者は黙っとき!(ぱかーん)」
  JOO「うきゃーっ(ごろごろごろ)」
ナレーション:話は多少それましたが、このようにEXOの人気は高かったのです。


ソニ「いくらなんでも、EXOを押さえてクレヨンポップが1位になるとは、当たり前では考えられん」
クッキーマン「だからと言って、スマン王子自ら家来を裏切るような票の操作もできますまい」
スマン「それでもワシはクレヨンポップを1位にしたいのや。どうしてもエリンの夢を叶えてあげたいのや」
ソニ「王子…」
ジュンス「よしわかった。ワシらがひと肌脱ぎましょう」
スマン「貴様は…だれ?」
ジュンス「それはもおええから」
ジェジュン「ええのか、ジュンスよ? スマン王子は普段からワシらをめっちゃ毛嫌いして、活動の邪魔ばっかりして来たんやぞ」
ユチョン「そうやで。ワシらが王子のこと知ってるゆうだけで腹が立つ、ゆうて憚らなかったお人や」
ジュンス「そやけどにいさんら、クレヨンポップに罪がある訳やなし、エリンを思う王子の気持ちにウソはない。
  ここはひとつ、エリンのためやと思うて協力しよう」
ジェジュンジュンス、お前って奴は…(ぐすん)」
スマン「おお…どこの誰かは存じませんが、ご協力ありがとうございます」
ジェジュン「言い張るなぁ(呆)」
ユチョン「で、どうやって?」
ジュンス「ワシらみんなで、クレヨンポップの振り付けを真似たらどうやろう?
  機会ある度に、あの特徴的な直列5気筒ダンスを踊っていれば、きっと世間に広まる。
  テレビに出れないボクたちだけど、気持ちは必ず伝わるさ。
  ばちゃ〜んけろ〜ん、ばちゃ〜んけろ〜ん(ぴょんこぴょんこ)」
スマン「ばちゃ〜んけろ〜んちゃうわ。パパパパや(ぷんすか)」


ナレーション:この日から、名前もよくわからぬ3人組は、ヒマさえあれば5気筒ダンスを繰り返すようになりました。
  スマン王子の意地悪でテレビに出れない3人でしたが、新人のクレヨンポップよりはずっとファンが多かったので、5気筒ダンスは次第に皆が知るようになりました。
ソニ「死神がぴょんこぴょんこ跳ねる『エリザベート』なんか初めて観たわ(呆) あれはさすがにやり過ぎちゃうか?」
ユリ「そやけど舞台観た人たち、帰りはみんなパパパパ言いながら飛び跳ねて帰りよったで」
ソニ「マジか?」
テヨン「うーむ。こうなったらウチらも協力するかなぁ(ぽりぽり)」
スヨン「いやーん、元彼に触発されたんやね。元彼☆ルネッサンスなんやね(いひひ)」
テヨン「ルネッサンスやなくて、ノスタルジアや。なんで元彼とワインで乾杯せにゃあかんねん」
ソニ「しかもネタが古ぅ」
ナレーション:SM帝国が世界に誇る少女アイドルも、5気筒ダンスを真似し始めました。彼女らはテレビに雑誌に、常に注目されているグループです。
  5気筒ダンスはたちまち半島中に広がっていきました。


ユノ「あっちの3人組ばっかりにええ思いはさせん。ワシらも5気筒ダンスやるで」
チャンミン「仕方ねえっすね」
ウニョク「じゃあワシらもやるか」
ヒチョル「うむ。退役祝いに跳んでやるぜ」
シンドン「にいさんはやめなはれ。股間からボルトが飛び出してるやないか」
ヒチョル「ボルトはとっくに除去したわ。これは別のボルトじゃ」
ドンへ「いやーん。スケベ」
IU「SJにいさんまで始めたんなら、ウチもやろうっと」
スジ「お、やっぱり気になるん? 元彼☆ノストラダムス
IU「誰がアンゴルモアの大王じゃ、ボケ(どかーん)」
スジ「きゃいーん」


ナレーション:こうして、あっという間にたくさんの芸能人が5気筒ダンスの真似を始め、クレヨンポップはあれよあれよという間に、国民的人気者になっていったのです。
  そして、ついにその夏最後の音楽番組で…
MCジヌン「さぁ、いよいよ今週の1位が決まります」
MCセヨン「SM帝国が誇る絶対王者EXOか、はたまた国民の発動機クレヨンポップか?」
エリン「…(どきどき)」
クッキーマン「王子、ついにこの時が来ましたね」
スマン「うんうん。そやけどワシは一切裏工作しとらんぞ」
クッキーマン「存じておりますとも」
スマン「エリンのために我慢したんや。これで1位になったら、それはエリンの実力や」
クッキーマン「はいはい。そして協力していただいた、みなさんのおかげです。いえ、みなさんを動かした王子の真心の賜物です」
スマン「ワシのことなんかええ。エリンが1位になれば、それでええ」
クッキーマン「王子…」
MCセヨン「発表しまーす!」
くるくるくる…ジャーン!
MCジヌン「ミュティズン賞はクレヨンポップ!!」
会場「おおーーーー!」
クレヨンポップ「ぴゃーっ!」


スマン「や、やったー!」
クッキーマン「ええ、ええ。お、おめでとうございます、王子!」
スマン「おおきに、おおきに(涙)」


MCセヨン「おめでとうございまーす(花束贈呈)」
クンミ「わーん、おとん、おかん、社長、やったよー!」
チョア/ウェイ「うう…信じられん(ハラハラ)」
EXO「自分らの実力や、おめでとう(パチパチ)」
ソユル「…」
エリン「ゆ、夢みたいやぁ」
スマン「夢やない。夢が叶ったけど、夢やない。現実やで」
エリン「おっちゃん、誰?」
クッキーマン「こら貴様、王子はこれまで自分のために…」
スマン「ええて、ええて。自分、1位になれて幸せか?」
エリン「うん。最高に幸せや!(笑)」
スマン「よかったなぁ。大いに喜んだらええで」
エリン「うん、ありがとう、おっちゃん」
MCジヌン「それでは1位の曲『パパパ』のアンコールです」
MCセヨン「会場のみんなで飛び跳ねてお祝いしましょう!」
会場「♪パパパーパ、パパパパー(ぴょんこぴょんこ)」
エリン「♪ちょびすけ ちょびすけ エッビバーデー…(笑)」


スマン「おお、みんな楽しそうやな。会場がひとつのリズムに解け合ってゆく」
クッキーマン「はい。『パパパ』の魔法ですね」
スマン「会場全体が…まるで1000気筒エンジンや」
クッキーマン「なるほど…それはすごい馬力でしょうな」
スマン「(ぜいぜい)そやけど、半分は男客や…から500亀頭エンジン…やな」
クッキーマン「あっはっは、相変わらずですね、王子は(パーン)」
スマン「(どさっ)…」
クッキーマン「あれ、どないしたんです? 王子? 王子ーーー!?」
ナレーション:王子はこれまでに酷使しすぎた前立腺のせいで、もうこれ以上命をつなぎ止めておくことが出来ませんでした。
  命を賭けて愛したエリンが、楽しそうに魔法の『パパパ』を踊るのを観ながら、天に召されようとしています。
クッキーマン「王子…(しくしく)」
スマン「ただ、最後にひと目だけ…」
クッキーマン「最後に、なんでございますか?」
スマン「エリンのパパパ…」
クッキーマン「パパパ?」
スマン「パパパンチラが見たかった…(がくん)」
クッキーマン「結局、それかーい!」






※今作はいろいろお世話になったので、MOMI-1さんと奥様に捧げたいと思います。


※『パコと魔法の絵本』…
    
 もともとは2004年に公演された後藤ひろひと原作の舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』がオリジナル。
 『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』で知られる映画監督・中島哲也が、3DフルCGと実写を駆使して2008年に映画化したもので、タイトルも変更された。
 ストーリーや登場人物はほぼ同じだが、衣装やメイクなどでよりファンタジー色を強め、後半のお芝居上演の下りでは映画ならではの表現を駆使している。
 公開当時、大人も泣ける国産ファンタジーとして話題になった。…まぁ泣けます。
 それにしても、小池栄子の演技は毎度期待を裏切らないな。韓国俳優のように身を削ってる訳ではないのに、不思議だ。


※これまでにも「ミニそにょ190」および第439話などで触れてきたが、今回はクレヨンポップの活躍がテーマである。
 とかくイロモノ扱いされがちなクレヨンポップであったが、2013年6月20日にシングル「빠빠빠(パパパ)」をリリースしてから状況が激変した。
 発売当初はこれまでとそう変わることのない評価および活動だったのが、地道な路上活動が功を奏したのか徐々に人気が上昇、発売から51日たって音源1位を獲得する快挙を成し遂げた。もちろんこれは非常にまれなケースであり、本人たちがびっくりという様子だった。
 マスコミに取り上げられる機会も多くなり、地上派音楽番組で1位候補となるなど、一躍時の人となったのである。
 そして8月30日のKBS『ミュージックバンク』でなんとSMEのEXOを破って念願の1位を獲得してしまった。
 実に発売以来70日、タレント1組の超弱小事務所による下克上であった。
 この快挙に、多くの中小事務所は歓喜の声を上げ、大手事務所は兜の緒を引き締めたと思われる。
 2013年K−Pop10大ニュース当確の事件だったのではなかろうか?


    
    クレヨンポップ、勝利の瞬間


※が、あまりにも唐突な人気の沸騰に、クレヨンポップに対する誹謗中傷、所属事務所のオタオタぶりも目につく。
 まず、”イルベ疑惑”。これは韓国の保守的インターネット掲示板である”日刊ベスト保存所”(通称イルベ)特有の差別的表現を彼女らが使ったとされる騒動である。
 イルベはもともと韓国の2ちゃんねる的存在のDcinsideでの人気の記事や書き込みを集めるまとめサイトとして出発した。
 本来はユーモアサイトだったが、現在では韓国の若き保守、右翼系のネット右翼が集まるサイトとして知られている。
 ユーザーは10代、20代の男性が多く、政治的には保守系セヌリ党を支持し、革新系の民主党には敵対的態度をとる。
 保守、右翼寄りの意見が多く、全羅道、女性、左翼などが常に叩きネタとされている。
 クレヨンポップはこまめなビデオ戦略をとっているのだが、事務所が2012年11月17日にYOutubeにあげた動画が問題となった。
 この中でウェイがびっこを引いていたチョアに「チョルツクちゃうか?」と言ったのである。”チョルツク”とはイルベ用語でキム・デジュン大統領を馬鹿にする言葉である。
 どうやら、アイドルがイルベのような差別的サイト用語を使うのがあかんらしい。
 ウェイはそれ以前にも、ツイッターで"노무노무(ノムノム)"という言葉を使ったという理由で、論争を引き起こしている。
 この"노무노무(ノムノム)"は韓国語でよく使われる”とてもとても”と言う意味の”너무너무(ノムノム)”のギャル語的用法らしいのだが、イルベ用語では故ノ・ムヒョン前大統領を卑下する意味があるとのこと。
 さらにクロームの社長のファン・ヒョンチャンが自身のツイッターでイルベに言及していることがわかり、クレヨンポップは差別者集団ではないかとの憶測が乱れ飛んだのである。
 で、6月23日にはウェイが「私の書いた挨拶の文章に誤解が生じ、事務所側で一応削除したと聞きました。『시안견유시 불안견유불의』(豚の目には豚しか見えず、仏の目には仏しか見えないの意)という言葉があります。誤解しないでください」と、ひと言余計な釈明文をツイッターに載せてしまい、またまた叩かれると言う事態に陥った。
 クレヨンポップが払った最初の有名税と言えよう。


 また、人気が高まると共にメンバーにはさまざまなプレゼントがファンから贈られるようになったのだが、事務所はこれにも対応しきれず、
 「高価なプレゼントを今後貰わない方針とした。ファンにはプレゼントの代わりに現金を振り込むという道が残されている」とし
 「プレゼント専用の口座を開設する予定だ。寄付金はすべて皆さんの名前で社会のために寄付する」と発表したが、これがまた賛否両論の騒動を生んだ。
 そもそも”高価な”とはいくらからなのかがよくわからないし(一般には安価でも若いファンにとっては高価な場合もある)、お手製のものをアイドルにあげるのもファンの楽しみだ。
 それらを否定して「金だけよこせ」というのは傲慢だし、ファンから受け取った現金で高額な買い物をした俳優パク・シフの事件を思い出させる。パク・シフには芸能人志望の女の子を強姦した容疑もあり、なおさらイメージが悪い。
 結局ファン・ヒョンチャンはこの告知を引っ込め、謝罪すると同時に「今後みんなで最善策を考えていきたい」と述べた。


 このような事件をみていると、例えば少女時代のファンのように、事務所を介さず自らボランティア活動を行ったり、寄付を送ったりするなど成熟した応援活動を行っている人々からはだいぶ隔たりがあるようだ。
 ファンは事務所とアイドルが作る。
 せっかく得た人気をつまらないことで貶めないように、頑張っていただきたい。


 さらに、彼女らのオリジナリティあふれる格好が、日本のももいろクローバーZのパクリだという悪口も根強い。
 私にはこの件に関して何か語れるほどの知識はないのだが、衣装はともかく、アイドルとしての色は全然違うように思われる。
 そもそもももクロをパクってすぐ売れるほど楽な世界ではないはずだ。
 これも有名税のひとつと割り切って、ポジティブな活動を期待する。


※「ウチ、EXOのKAIくんがむっちゃ好きやわぁ。」…
 ニコルは2013年9月2日に放送されたKBS『国民トークショーアンニョンハセヨ』に出演し、「最近、EXOのKAIが気になる」と告白したとのことである。
 http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=1977069
 しかし、そのKAIはメンバーの中では、すこぶる評判が悪い(笑)
 http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=1976871