関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第219話 冷たい方程式

ギーッ、バキバキバキーーッ
船客「キャー(ゴロンゴロン)」
船員「あかーん、船が折れるでぇ!」
紳士「この船はもう終りのようですな。みなさん、救命ボートで脱出するんです!」
船客「そうやそうや! そうしよう」
どたたたたた
クッキーマン「く…、確かにもおこの船が沈むのは確実なようや。手遅れにならんうちに、ワシらも救命ボートに乗り込もう」
ソヒョン「はーい、シカねえがまだ寝てまーす!」
クッキーマン「(がく)なんやねん、あいつは。腹立つなぁ」
スヨン「自分が引きずって来い。急がんとマジで全員海の藻屑やで」
ソニ「おお、それがええ。自分、シカ担当な」
クッキーマン「えーっ?」

ヒョヨン「(はぁはぁ)やたっ、一艘だけボートが残っとった」
ずるずる、ごん。ずるずる、ごんごん…
クッキーマン「(ぜひー、ぜひー)よーし、全員乗り込めー!」
全員「はーい」
ソヒョン「あ、でもこのボート”9人乗り”て書いてあるで」
ユナ「大丈夫やろ、みんな細いし。10人乗っても問題ないはずや」
ブーッ!
ティパニ「わ、ブザーが鳴った。荷重オーバーや」
ヒョヨン「エレベーターか!」
クッキーマン「困ったな。ブザーが鳴るうちは、安全装置が働いてボートの固定具が外れんようやぞ」
ユリ「えらい律儀なボートやな」
テヨン「よし、クッキーマン、自分が残れ」
クッキーマン「は?」
ソニ「ま、それしかないやろ。会社にはええようにゆうとくさかい」
ソヒョン「さよなら、にいさん。今までおおきにな」
テヨン「固定具外したら、ボート思いっきり押すんやで」
クッキーマン「待て待て、なんでそうなるんや?」
テヨン「そやかて少女時代は9人でひとつ。外れるとしたら自分しかおらんやん」
クッキーマン「アホか。ワシらスタッフかて立派なメンボや。第一自分らみたいなわがまま、ワシがおらんかったらどうやってまとめるねん」
ユナ「ま、なんとかなるんちゃうか?」
クッキーマン「なんともなるか、ボケ。飯の手配ひとつとっても、全員の好みを熟知してきちんと頼めるのはワシだけや。
  ちょっとでも手配が遅れてみい、みんな分刻みのスケジュールで動いとるんや、飯食えへんようなるんやからな」
ユリ「た、確かに…」
スヨン「う〜ん、飯はあらゆる事柄に優先されるしなぁ。仕方ない、ヒョヨン、自分が残り」
ヒョヨン「なんでやねん。やっと個人活動解禁となったウチを、今ここで切り捨てる気か?」
スヨン「だって自分、永遠の味噌っかすやんか」
ヒョヨン「味噌っかすに生タコ食うような芸当が出来るか! ウチは少女時代の最終兵器やぞ」
ソニ「その通り。ウチとヒョヨンは『青春不敗』枠としてどうしても必要や」
ヒョヨン「自分こそいらんのやないか、スヨン?」
スヨン「アホ抜かせ。ウチは今ではSMEとMnetを結ぶ命綱や。両国の和平はウチの存在によって保たれておるんやで」
ヒョヨン「そんな大層なもんか」
ソニ「そやけど年末の賞取りを考えると、今またMnetと揉めるのは確かに得策やないな」
スヨン「ほーら(びろびろびー)」
ユリ「ほんなら同じMC枠としてウチとパニもセーフやで」
ティパニ「そやそや。ウチの場合『FAME』の舞台も控えとるんやから」
ユナ「ウチも『ラブレイン』がある。ウチが死んだら世界中の韓流ペンからクレーム殺到するで」
クッキーマン「結局、個人活動しとるモンはそれぞれ死ねん理由があるっちゅ訳やな」
テヨン「個人活動しとらんでも死ねん理由はあるわい」
スヨン「そやけどグループへの貢献度からゆうたら、今は個人活動しとるモンがえらいんや」
クッキーマン「個人活動がないのは、今んとこテヨンとシカとマンネか…(苦渋)」
ソヒョン「シカねえが寝てる間に戸板に打ち付けて流しちゃおう」
ジェシカ「ウチはお岩さんか!」
ソヒョン「わ、いつの間に!」
ジェシカ「こんだけ大騒ぎしてたらさすがに起きるがな。
  (ぴぽぱぽ)よぼせよ〜、テギョン? もしウチが生きて帰らんかったら、メンボ全員とマネージャー、ボコボコにしてやってな」
ソヒョン「き、きたねー」
ユナ「太平洋上やのに、よお電波届くな」
テヨン「ともかく、残るのはマンネで決まりやな」
ソヒョン「いやや。ウチを置いてくゆうなら(サッ)このTNT爆薬でボートごと全員吹っ飛ばす!」
ソニ「わーっ! なんでそんなものを持ち歩いてるねん?」
ソヒョン「テヨンねえが飛行機は飽きたから、豪華客船でツアーに行こう言い出したときから、こんなことになるんやないかと用意してたんや」
ティパニ「な、なんたるネガティブな思考…」
ジェシカ「でもそうやで。テヨンが船旅てゆわんかったらこんな目にあうこともなかった」
テヨン「な…、ウチのせいゆうんか?」
スヨン「よお考えてみたら、今のウチらで一番不要なのはテヨンかもしれんな」
テヨン「えーっ?」
ユナ「確かに。最近リーダーらしいことなんもしてないし」
ユリ「いっつも奥にひっこんどるし」
ティパニ「個別活動もないし」
ヒョヨン「こないだの『ドリームチーム』でも全然やる気なかったしな」
テヨン「あの日はめっちゃ体調悪かったんや。2日目やったし…」
ジェシカ「言い訳無用! どんな時でも笑顔で頑張るのがアイドルやぞ」
テヨン「お前がゆうな!」
ソヒョン「最近の活動曲も昔みたいにテヨンねえの大声が支えてたような構成じゃのうなってきとるし」
テヨン「大声てなんや、アホみたいやないか」
ユナ「SPAOの広告でも出番ないし」
ソニ「ま、いらんといえば、いらんか」
全員「決まりやな(ニタ)」
テヨン「ぴゃーっ!」
クッキーマン「ワシはテヨンを評価してるで」
テヨン「に、にいさん…(泣)」
クッキーマン「デビュー以来、自分が少女時代を支えてきたのは間違いない事実や。感謝しとる」
テヨン「うん、うん」
クッキーマン「全州がいくら遠くても、墓参りは欠かさないようにするから」
テヨン「こらーっ!」
バキバキバキ−、ガランガラン!
全員「わー、急がないと、もお沈む!」
クッキーマン「ほなテヨン、達者でなー!」
するするする
テヨン「あ、こらー! 置き去りにしといて達者もへったくれもあるか、ボケー!」
ソニ「おお、パイパニック号が沈んでゆく」
スヨン「そんな船名やったんかい」
ソヒョン「♪う〜み〜ゆ〜かば〜」
ティパニ「不謹慎やって」
テヨン「助けてー…ゴボゴボ…」

ティパニ「いやー、あいつがおらんようになったら、なんだかすっきりしましたな(笑)」
ジェシカ「そうですな。もっと早うからこうすべきでしたわ(笑)」
ソヒョン「まさかリーダーが一番の余計者やったとは」
ソニ「そやけどココマが抜けた穴はどうする?」
ジェシカ「知れたことや、スジョンを加入させる」
ユナ「クリじゃキャラが被り過ぎてちっとも面白うないわ。ここはエンボやろ」
ユリ「それはええ。ウチらに欠けとった腐女子ペンも取り込めて、まさに無敵のグループになるで」
ティパニ「うんうん。今後の美国進出に当たっては、美語の出来るメンボは大歓迎やし」
ジェシカ「ほんならf(x)はどおするねん?」
ヒョヨン「アイユーでも入れとけばええんじゃね? 奴も入りたがってたし」
ソヒョン「ジュねえさんよりはええと思う」
ソニ「そやな。アイユーの人気を取り込めればf(x)もなによりや。それにウチらもいちいち楯突かれんですむし」
全員「けってーい!」
スヨン「いやー、めでたいめでたい。テヨンひとり抜けることで、こうもいろんなことが上手くいくとはな。
  さ、落ち着いたところで、腹が減ったな。魚でも釣ろう」
ユリ「落ち着かんでも飯だけは忘れんくせに」
スヨン「救命ボートには釣具が備えてあったはずやけど…お、あったあった」
ぽちゃん
ヒョヨン「アホやな。餌もつけんと魚が釣れるかいな」
グイッ、グイッ
スヨン「わー、かかった! えらい引きやで」
ヒョヨン「(ガク)マジか?」
スヨン「みんな手伝うてー。それー!」
全員「うりゃーっ!!」
ザッパーン!
スヨン「…300kgもあるクロマグロが釣れました」
ソニ「松方弘樹か!」
ブーッ!
ユナ「わ、またブザーが!」
クッキーマン「そんなマグロ、ボートに上げるからや」
ユリ「あかーん、船が沈むぞーっ!」
ソヒョン「♪う〜み〜ゆ〜かば〜」
ティパニ「やめなさいって」
全員「うひゃー…ゴボゴボ…」


………
……


スヨン「…てゆう夢見たんで、忘年会のネタにどうかと思って」
テヨン「却下じゃ、このボケ!(裡門頂肘!)」
スヨン「げへぇ!(がく)」







※『冷たい方程式』…アメリカのSF作家トム・ゴドウィンが1954年に発表したSF短編。
 SF史における金字塔的短編とも呼ばれ、最近でも同名のアンソロジーが編まれる(早川書房)など、有名且つ人気のある小説である。
 ストーリーは…致死性の疫病が発生した植民星に血清を届ける緊急宇宙艇に密航者が乗っていることが判明する。
 宇宙艇には乗組員以外を生かしておく余剰物資も動力もなく、密航者は発見次第艇外に放出し、殺してしまう規則になっている。
 そうしなければ宇宙艇は時間内に目的地にたどり着けず、より多くの死者が出てしまうからだ。
 が、今回の密航者がそんな厳しい規則も知らず兄に会いたい一心で飛び乗った18歳の美少女であったことから、主人公のパイロットは苦悶する羽目になる、と言ったもの。
 この作品がSF史における極めて重要な作品と言われるのは、ストーリーそのものより、こうした困難な条件を設定したことにある。
 生き残るために誰かを殺さねばならないとしたら…という条件は多くの作家の創作意欲をかき立て、この困難に立ち向かう小説をいくつも生み出した。
 言ってみればミステリーにおける密室殺人のようなもので、SFでは”方程式もの”と呼ばれるジャンルとなっている。
 今回の場合、困難を回避するよりも、少女時代の中でひとり外すとしたら、と目先を変えて、もっとも選ばれそうもないテヨンを外してみたのだが、
 考えてみると私はテヨンがやめる話ばかり書いている。ちょっと反省した。