関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第151話 ピラミッドの準備

Before OSAKA…


監督「(じゃーん)これ見て。登場用に3段のセットを作ったんや。ステンレス製やで」
スヨン「わぁ、すごいやん。見るからに高そう」
監督「高かったんや。そんでよお見たら判ると思うけど、ピラミッドの底にはこの丸い部分ギリしか穴開けてへんからな」
全員「は?」
監督「一番下の段担当は、丸階段がせり上がって穴を抜けるまで脚を段の上に引っ込めとかんとひっかかるちゅうことや」
スヨン「もし脚を引っ込め損なったら?」
監督「油圧にステンレスやからナァ、脚とか簡単にもげちゃうんやない?」
ジェシカ「(ムキーッ)貴様、美脚グループゆわれとるウチらの脚をエビやカニの脚みたいに…」
監督「初演は大阪やからそれもありかと思うて(いっしっし)」
ソニ「誰や、こんな奴監督に選んだんは?」
スマン「(ずーん)ワシや」
ソニ「わぁっ!」
スマン「こいつは優秀やぞ」
ソニ「そ、そうなんでっか?」
スマン「いつも一緒に飲みにいくと、3軒目には泣きながら舞台演出の理想を語るからな」
監督「ねー(きゃぴ)」
スマン「それはもお大層な理想や」
テヨン「理想を語るだけ? 実際にこのおっさんの舞台を見たことは?」
スマン「それはない」
全員「(ずる)あかんやん」
スマン「大丈夫。自分らが歌って踊れば、誰が演出したって受けるんやから」
ティパニ「やったら、こいつやなくてもよかったやないか」
監督「そんじゃ、この段に誰がどう座るかゆうことやけど、上から順に1人、3人、5人で座るで」
ユリ「なんか微妙にクラス分けの匂いがするな」
ヒョヨン「もお慣れっこや。どおせウチは最下段やモン」
スマン「そう腐るモンやないで。監督には監督なりの…」
監督「ヒョヨンは一番下ね」
スマン「(ずる)」
ヒョヨン「へいへい…と(すわり)」
監督「後はソニ、ユリ、ソヒョン、スヨン、自分らも最下段頼むわ。これは決して人気で分けてるんやないで。
  ピラミッドがせり上がるまで脚を引き寄せて辛抱出来る腹筋があるからこそや」
ユリ「はぁ(スヨンにそんな腹筋はないけどな)」
…すわり
監督「次に中段はティパニ、ジェシカ、ユナ…人気あるから自分らね」
全員「(ずる)す、すげえ、判っててもここまでベタやれる奴はおらん。大物かも?」
テヨン「ほな、ウチが一番上でっか?」
監督「なんやと?」
テヨン「ウチが一番人気やから、一番上でええでっか?」
監督「貴様は誰や?」
がっしゃーん! ごろごろごろ!
全員「(ボケすぎやろ)」
監督「ああ、テヨンか。はいはい、おったなぁ。すっかり忘れとったけど、まぁええわ、なら自分が一番上ゆうことで」
テヨン「…(ウチの存在を忘れて、誰をトップに据える気やったんやろ?)」
監督「全員座ってみた? ほな登場の時のポーズはこうね…そうそうみんな脚が一番キレイに見えるようにね。
  ヒョヨンは出来るだけソヒョンの陰に隠れて」
ヒョヨン「はいはい」
    
監督「で、せり上がりの間は脚を円の内側に引き込んで…」
スヨン「体育座りしようとするとパニの脚が邪魔やねんけど」
ユリ「ウチもシカの脚が邪魔やな」
ジェシカ「結局2段目のウチらも脚を引っ込めんとアカンのちゃうか?」
ティパニ「となるとテヨンの脚が邪魔やな」
テヨン「えー? ウチまで体育座りするんか?」
ぎゅうぎゅう
ユリ「かなり窮屈な姿勢やなぁ」
監督「その姿勢でせり上がるまで約1分、我慢するんやで」
スマン「む、無理や」
ソニ「バランスが…わぁ−」
ごろんごろん!
監督「ちょっと、稼働中に落ちたら挟まって首切られるで」
ユナ「ギロチンか!」
ソヒョン「箱の壁がパカって開いたら、首のない少女時代がゴロゴロ…大惨事やな」
ジェシカ「こんな装置を開発する奴はアホに違いない」
監督「アホとはなんや、これがワシの理想や。そう装置に伝えたはずや。ちょっと、だれか装置呼んできて」
スマン「ともかく作り直す時間も金もない。これで安全に登場出来るように工夫して頂戴よ」
テヨン「みんな立ってたらどうやろ。占有スペースが少なくなるで」
ソニ「そやな。上がり切るまでは全員立って、安定するように内側向いて手を絡めて…」
全員「チグムーン、ソニョシデー!!」
テヨン「いかん、つい癖で掛け声が出てしまう格好やな」
でででで
装置担当「呼びました?」
監督「ちょっと、これ登場が上手くいかへんのやけど」
装置「そんなアホな…、ん? あんたらなにやってんの?」
テヨン「なにて、監督にゆわれたとおりに」
装置「ちゃうちゃう。この円段は最初は面一なんやで。みんな広い円盤に乗って箱の中に上がったらええんや。
  それから順に2段目3段目と内側が上がってゆくから、落ち着いて腰掛けたらええだけやんか」
全員「(ぽん)なるほどー!」
監督「そ、それは教えてくれないと」
装置「言いました! それに装置の説明するときはワシ立ち会いでとも言いましたで」
監督「(しゅーん)す、すまん」
スマン「ん、呼んだ?」
ソニ「もおそれはええですから」
装置「とにかく今忙しいんやから、アホなことで呼び出さんといてください」


スマン「(とぼとぼ)装置さんいる?」
装置「あ、先生。今度は何か?」
スマン「監督がメンボにボートの説明してたら動かんようになったんやけど」
装置「(がーん!)あいつ、また勝手に…コロス!」
彼はそれから本番まで一睡も出来なかったという。