関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第119話 イ・ジウン

カン・ホドン「続いてのゲストはこちら! 我らが国民妖精、アイユさん!」
IU「よろしくお願いしまーす」
パチパチパチ
イ・スンギ「ボードに『ただアイユと呼んでください』と書いてあるけど、それは?」
IU「ウチ、デビューした時からゆうてるんですけど、将来は自分で曲を作って、それを歌いたいんです」
スンギ「アーティストってことかな?」
IU「アーティスト、シンガーソングライター、呼び名はなんでもええんですけど、その時のウチの自然な気持ちを言葉にして、旋律にのせて、その時のウチの素直な気持ちで歌う。
  それに共感して下さる方が少しでもいらしたら、ウチはそれでええと思うんです。
  それがアイユ…私とあなたが歌でつながったら、と言う名前の意味でもありますし。
  今はありがたいことに3週連続ミュティズンなんて身に余る人気をいただいてますけど、こおゆうメディアありきの売り方が正解なのか、ちょっと疑問でもあるんです」
ホドン「国民妖精ゆう愛称や人気は、むしろ邪魔やと?」
IU「そんなことはいいませんけど、でも…ちょっと重荷かも」
ティパニ「わかるわぁ。ウチもそお思うて韓国に来たのに、いつの間に薄汚れてしもうたんやろ」
ソニ「(けっ)最初からや」
ソヒョン「それにしても、上手いな。ジュねえさんのみっともないあがきの後だけに、この発言は真摯に聞こえるで」
スヨン「なに感心しとるねん。アイドルを否定するような奴がウサギの着ぐるみ着て踊るか?」
テヨン「いやぁ、ウチは今の発言、案外マジやと思うなぁ」
ソニ「ほな、いずれ奴は芸能界の一線から身を引くと?」
テヨン「ありえるで」
ユナ「まさか…」


2年後…


IU『少女時代のお姉さんたち、お元気ですか。アイユです。韓国にいた頃は本当にお世話になりました。
  ウチは今ニューヨークのプラット・インスティテュート大学で油絵や彫刻を学んでいます。
  その合間に世界中から集まった先鋭的なパフォーマーたちと音楽活動も続けていますよ。
  毎日がとても充実しています。
  沢山勉強して、いつかまた母国で皆さんとジョイント出来れば嬉しいです。
  成長したアイユの姿をお楽しみに!』
ユリ「…て、葉書が来とったな」
ジェシカ「アイユかぁ、懐かしいな」
スヨン「まさかホンマに芸能界に見切りをつけて留学するとは思わんかったで」
ソニ「さぁさぁ、思い出にふけっとる場合やないで。今日こそウチらの力でミュティズン取り戻さんと」
ヒョヨン「ホンマやで。いつまでもタイやピリビンのアイドルをのさばらせておく訳にはいかん。アジア最強は少女時代やゆうことを思い知らせてやる」
全員「おーっ!」


ネットニュース記事:『韓国歌謡界の歴史的大敗』
 昨晩のKBS2『ミュージックバンク』でタイのNeko Jumpがミュティズンを受賞した。
 これで10週連続となり、少女時代が長く保持してきた9週連続を上回る新記録となった。
 Neko Jumpは美国や欧州、日本でも旋風を巻き起こしており、我が国の少女時代やワンドゴルズがなし得なかった真の世界的アイドルに登り詰めたのみならず、
 最大のアイドル生産国である韓国に於いても猛威をふるっている。
 自国の威信を賭けて先週カムバックした少女時代は健闘したものの、Neko Jumpに対してはトリプルスコア以上の得点差となり、6位がやっとであった。
 以下、2位は同じくタイのKiss Me Five、3位は日本のやみん園長、4位はピリビンのPOP GIRLS、5位はインドネシアのAndienであり、
 ベスト10に入ることが出来た国内歌手は少女時代の他にわずかテ・ジナのみであった。
 (記者:コ・ヘジョン)
ネットニュース記事:『国民妹はどこに?』
 …ここで思い出すのは2010年末から2011年前半にかけて、ゴルグルブ全盛期にもかかわらず爽やかな風のように独自の存在感で歌謡界を侵略してみせたアイユの存在である。
 今我が国にアイユがいれば、果たして勢力図は書き換えられるのだろうか?
 いずれにせよ少女時代の歴史的敗退で、我が国が新たな救世主を必要としていることは明らかとなった。
 (記者:コ・ヘジョン)
 

4年後…


IU『ジュねえさん、ご無沙汰してます。
  東京は物価が高くて大変ですが、2年前から基地の街に比較的安い一件屋を借りてなんとかやってます。
  日本人のギタリストとペリカンズと言うバンドを組んで、ライブ活動を行っていますが、少しずつ認められて来たようです。
  今度映画の主題歌を歌うことになりました。もちろん日本の映画ですが、良い作品なのでとても期待しています。
  ところで、少女時代ねえさんが解散してもう3年になりますね。みなさん、お元気でしょうか?
  ジェシカねえさんやユリねえさんは、すぐ騙されて、妊娠してしまいそうなので心配です。
  テヨンねえさんとソニねえさんとティパニねえさんの三角関係は解決したのでしょうか?
  今でも歌を歌ってらっしゃるといいんですけど」


3年後…


ソヒョン「(ぴた)…イ・ジウンLIVE? なんか聞いたような名前やな」
ヨンファ「なに立ち止まっとるねん。早よ、行くで」
ソヒョン「はいはい。ただ、ここのライブハウスの告知な、今夜演るアーティストの名前がなんかひっかかって」
ヨンファ「イ・ジウン? さぁ、知らんわ。それより急がんと集会に遅れてまうで。主催者が遅刻したらシャレにならん」
ソヒョン「はーい(パタパタ)」


ネットニュース記事:『帰って来た国民妹。しかし…』
  イ・ジウンと言う外国帰りの歌手が、最近市内各所でライブ活動を展開している。
  ほとんどがギター一本の弾き語りで、自作の曲を語るように歌う。
  客席は満席にほど遠いが、訪れた客は一様に彼女の歌に聴き入っている。
  まだ高校生くらいの若者から老人まで、客層はさまざまだ。
  しかし、彼らは知っているのだろうか? 今目の前で歌っているアーティストが、かつて国民妹と称され、絶大な人気を誇ったアイドルであったことを。
  IU…2010年代のゴルグルブ全盛期に、ひとりソロ歌手として気を吐いていた少女は、突然商業的な売り方を否定し、人気絶頂の時期に舞台を降りた。
  その後、NYや東京、香港でさまざまな芸術家と交流し、独自の世界を模索していたようである。
  10年近く経って、再び祖国での活動を開始したのは、なにか得るものがあったからだろうか?
  ライブ後の楽屋を訪ねた。
  「得たものはもちろんたくさんあります。そのほとんどが人とのつながりでしょうか。すべてウチの音楽の血肉になっていると思います。
  ソウルに帰ってきたのは、これから腰を据えて音楽活動を行っていきたいと思ったからです。
  その場合、拠点が必要やろうし、となるとウチはやはり韓国人やから、ここが一番やりやすいのやないかと。
  若い頃のようにがむしゃらにやる気はありません。足下を見ながら、一歩一歩進んでいきたいと考えてます。
  アイユと言う芸名は自分でつけましたし、愛着もありますが、やはり今の素の自分を観て欲しいので、本名で活動しています」
  落ち着いた表情で語るその女性は、30歳前のアーティストである。
  国民妹と呼ばれたアイドルの姿はどこにもなかった。
  しかし、現在のその姿こそ、彼女がアイドル時代からなりたかったものなのだと感じられた。
  (記者:リュ・ムンス)


3年後…


作者「はぁー、沢尻エリカと結婚したいなぁ」
テヨン「(ブチッ)ウチならいつでも離婚したるで」


8年後…


ジェシカ「ええか、特売の卵はひとり2パックまでや。ひとりずつ卵の代金握らすから、それで必ず卵を買うように」
子供A「お菓子買うたらあかんの?」
ジェシカ「あかん。他のモン買うたらお金足りんようになる。卵だけ買い」
子供B「ええー、チョコレート食べたーい」
ジェシカ「わがままゆうな。帰ってからジョン焼いたるさかい。ほら、突撃!」
子供A「ジョンはもお飽きたわ(ぶつぶつ)」


ヒョヨン「ちょっとスマンちゃん、真面目に練習してや。そんなんじゃ発表会に出れへんで」
スマン「ボク、こんな曲で踊るのやだ」
ヒョヨン「ウチの教室ではロボットダンスは『Visual Dreams』の曲で踊ることになっとるんや。黙ってゆうことを聞きぃ」
ソニ「(カツカツ)ほ〜っほっほ、未だにそんな古い曲でダンスを教えているなんて、あきれた教室ね」
ヒョヨン「なんや自分、勝手に入ってくるなや」
ソニ「スマンちゃんとおっしゃるの? 名前が気に入ったわ。どお、ウチのスターライトダンスアカデミーに移らない?
  こんな化石のような少女時代の曲じゃなく、今流行の汎アジアポップで楽しく学べるわよ」
ヒョヨン「自分で化石とか言うか? てか、経営者を前に堂々と引き抜きするなよ」
ソニ「SMかて潰れそうなんや。なりふり構うてられるか」
ふたり「ガルガルガルー!」


スヨン「奥さーん、ジョン屋台の奥さーん。ちゅうかチョン・スヨン。オタクのクソガキ、卵代足りへんで」
ジェシカ「(ドタドタ)なんやて、そんなはずは…」
スヨン「ホンマやて。200ウォン足りへんよ」
ジェシカ「あ、こら、自分なにアメちゃん握っとるんや。卵以外あかんゆうたやろ」
子供C「やだー、アメちゃん食べるー(ベロベロベロ)」
スヨン「あーあ、舐めてもうた。これは買い取りやで。はい、あと200」
ジェシカ「ちょっと、いつも買いに来てあげてるやないの。たまには勉強してや」
スヨン「ウチ、パートやもん。そんな権限ないわ」
ジェシカ「嘘や。あんたが自分の子供の時は誤魔化してるの、ちゃんと知ってるで」
スヨン「な、なにいいがかりつけとるん?」
ジェシカ「なぁ、まけてえや。長い付き合いやないの」
スヨン「あかんて。ほら、さっさとせんとレジに人がいっぱい並んでるんやで」
ジェシカ「…この、ドケチ!」
スヨン「こっちの台詞や!」
♪〜〜〜〜〜
ジェシカ「ん? なんや、この曲は?」


♪〜〜〜〜〜
ふたり「ん?」
スマン「あ、ボク、この曲好きや。この曲でダンスの発表会に出たいわ」
ソニ「この音は?」
ヒョヨン「隣のボーカル教室からやな。最近この曲でレッスンする子多いねん」
ソニ「ちゅうか、隣の音が丸聞こえなダンス教室はあかんやろ。スマンちゃん、スターライトはこんな安普請やなくて、もっと立派な設備が整ってるわよ」
スマン「この曲で踊らせてくれるなら、ボクどっちでもええよ」
ソニ「わかったわ。さっそくこの曲のことを調べましょう。でも、この声は…?」


♪〜〜〜〜〜
ジェシカ「ん? なんや、この曲は?」
スヨン「店内放送の有線がどないしたゆうねん?」
ジェシカ「いや、なんか聞いた声やなぁ思て」
スヨン「誤魔化そう思うてもあかんで。はい、200ウォン」
ジェシカ「しつこいなぁ。…あっ、これアイユやないか? そや、アイユの声や」
スヨン「アイユ? あいつまだ生きとったんかい?」
ジェシカ「ウチも東海の藻屑と消えたと思うとったけど、歌手続けとったんやなぁ」
スヨン「望み通りアーティストになった訳やな。…うーん、なんや、ええ歌やな(ジーン)」
ジェシカ「ホンマやな。心にスッと入って来るゆうか、優しい気持ちになれるやんか」
スヨン「あの頃一緒に歌番組に出とったアイユが、いつの間にかこんな歌を歌うようになったんやな」
ジェシカ「うん。なんだか最近のウチら、子育てと生活に疲れて夢を見るのも忘れとった…そう思わん?」
スヨン「(グス)ほらなにしとるん、勘定すんだんやからサッサと行きぃ。他人の迷惑やで」
ジェシカ「そやかて、アメちゃんの代金をまだ」
スヨン「アメちゃん? さぁ、ウチは知らんな。あんたんとこの子供は卵だけ買うて行ったで」
ジェシカ「チェ・スヨン…あんた(涙)」


ヒョヨン「アイユ…」
ソニ「芸能界を飛び出して美国に行った時はアホやと思うたけど、これがあの子の目指していた世界やったんやな」
ヒョヨン「ああ、自然に身体が動く。なくしていたダンスへの情熱が蘇ってくるで(クルクル)」
スマン「先生、すごい! そのダンスをボクにも教えて下さい」
ソニ「ヒョヨン、あんたまだ踊れるやん。そや、ウチの所と一緒にならへんか。
  お互い妙な意地を張らんと、もっともっと沢山の子に、この曲を使ってダンスの素晴らしさを教えるんや!(涙)」
ヒョヨン「スンギュ…(涙)」
ソニ「だから、その名前で呼ぶなよ」


ソヒョン「なんかこの曲聴いてたら、毒ガス作って北に売るのが虚しくなってくるなぁ」
ヨンファ「そやな。ワシら長いこと間違った生き方をしてきたかもしれん」
ソヒョン「なぁ、あんたがええゆうんやったら、もお非合法な活動から手を引いて、平和に暮らさへんか?」
ヨンファ「ワシこそそうしよ思てたところや。今まで苦労かけたなぁ」
ソヒョン「あんたっ!」
ヨンファ「チュヒョン!(ひし)」


作者「なぁ、もお寝た?」
テヨン「(ごろん)んー、なんやねん?」
作者「一時は平山あやとか多部未華子とかトリンドル玲奈とかいっぱい浮気したけど、ホンマは自分が一番やと思てるんやで」
テヨン「今頃かい!」
作者「そやけど、この歌聴いとったら、ゆうた方がええかなーと思うて。ごめんな」
テヨン「…(ふんっ)ブー!」 ← 放屁


ネットニュース記事:『20年後の奇跡』
  今、静かに人々の心に染み込み、愛されている曲がある。長く汎アジアの毒々しい音楽にならされていた我々に、この国本来の気高さと美しさを感じさせてくれる曲である。
  歌っているのはイ・ジウン。オールドファンにとってはアイユと言った方が判りやすいかもしれない。
  かつて国民妹として愛されたアイユが芸能界から去って20年、今彼女は自らが目指し求めていた音楽を手に入れたようだ。
  その曲はかつてのようにマスコミにのることもなく、小さなライブハウスでひっそりと歌われ始めたが、やがて口コミで広がり始め、今では人々が集まる場所の多くで耳にするようになった。
  頑なにCD化を拒んでいたイ・ジウンだが、熱意に押され現在新たな音源を制作中だと言う。完成すれば、この国の人々すべてが口ずさむ愛唱歌となることは間違いない。
  中学生でデビューし、愛らしさで人々の心を捉えた少女が、20年後、本当の意味で国民すべての心を捉えるディーバとなって帰って来たのだ。
  (記者:ファン・ミヨン)


………
……


IU「…てゆうのが、ウチの夢なんですわ」
全員「(ガッターン!)な、長いわっ!」
スンギ「公共の電波使ってボケ倒すのもたいがいにし」
テヨン「ちゅうか、ところどころに挟まってる、ウチと作者が夫婦ゆう設定はなんや?」
IU「えへへ。どうせ夢やさかい、それぐらいのサービスはええかなと」
テヨン「気色悪いわ」
ホドン「アホなことに丸々1話使うてもうたな。さっさと次行こ」
スンギ「そっすね。ありがとうございました。イ・サンウンさんのお話でしたー!」
IU「イ・ジウンやって」
テヨン「こりゃまた誰にも理解されへんオチやなぁ…(呆然)」







※IUはデビュー当時からアーティスト志向であった。30歳頃には自作曲で活動出来るようになりたいと言っている。
 それだけにデビュー曲「迷子」が今ひとつで、その後アイドル売りになっていったのは内心悔しかったかもしれないが、
 ルックスがとにかくアイドルなので仕方ないかも。
 大ヒット曲『ええ日』を納めた3rdアルバムはデビューアルバムに近いノリで、アイドル臭が薄い。これが彼女が望む方向なのかもしれない。


※ウサギの着ぐるみ着て踊る…2011年1月9日に放映されたSBSのバラエティ『英雄豪傑』の中で、
 IUは罰ゲームとしてウサギの着ぐるみをまとい『ええ日』の振り付けを踊った。
    
    何という恐ろしいものを放映するのだろうか。
    こんなもの見せられたら、筋金入りのソシペンすら骨抜きになってしまうに違いないぞ。
    ちゅうか、作者がもう骨抜きですが。


※ここで取り上げている汎アジアのアーティストはすべて実在する。
 詳しくは鈴木妄想氏のブログを参考のこと。
 http://d.hatena.ne.jp/magma890/20110116#1295198480
 ただし、日本のやみん園長はプロアーティストではなく一般のブロガー。
 投稿した動画が話題となった。見事に天然(真剣)とおふざけの境界線がない。
 こう言う人が山ほどいるのが日本の恐ろしいところだな。
    


※イ・サンウン…李尚恩(Lee Sangeun)。1970年3月12日生。ソウル出身のシンガーソングライター。
 18歳でデビュー曲『ダムダディ』が大ヒットし、一躍スターダムにのし上がったが、あまりに商業的な売られ方に疑問を持ち、
 3年後にスターの座を棄ててNYフラット・インスティチュート大学に入学した。
 その後、NYや東京、ソウルなどでライブ中心に活動している。
 一時は韓国でもほとんど忘れられた存在だったが、最近はじわじわと浸透してきているようだ。
 日本にもファンは多く、Lee-tzscheと言う芸名で語った方が通りがよいかも。
 彼女のホームページ行けばその歌声を聴くことが出来るが、独自の世界を持った素晴らしいワールドミュージックのアーティストである。
 http://www.leesangeun.com/


     デビュー曲『ダムダディ』はこんな感じ


     10年後の『オギヨディオラ』
    第19話でも触れているが、
    名作映画『がんばっていきまっしょい』の主題歌として使用された。


     20年後の『私は私という私』
    アルバム『The 3rd Place』より