ユリ「はぁ、疲れた」
ヒョヨン「まだリハーサル終わったばっかやで」
ユリ「そやけど、毎度毎度『ミュージック・バンク』の収録は気ぃ使うもん」
ビクトリア「ホンマやなぁ。相変らずセットぐらぐらで踊るのが怖いわ」
ユナ「音楽番組で一番予算あるくせになぁ」
ルナ「エムボが筋痛めたんもKBSのせいですわ」
ユナ「パニねえもやで」
ヒョヨン「それは言い過ぎやけど、確かにスタッフの仕事ぶりは雑やな」
ジェシカ「今日かてウチらとf(x)、同じ楽屋にぶち込みくさって」
スヨン「(う〜むむ、みんな日本の番組作りの水準知ってしもうたからなぁ)」
ソヒョン「雑ゆうか、あきらかに敵意があるで」
ソニ「ココマの一件以来、特にウチらには当たりがキツイ気はする」
テヨン「(ぷん)ウチは間違ったことはしとらんで」
ユリ「聞いたか、聞いたか? あの女PD、今度局長に昇進するらしいで」
テヨン「マジか? あの女にこれ以上権力与えたら、この国の歌謡界は駄目になるど」
ユナ「ウチらの得票も操作されるかもしれん」
ユリ「そりゃいかん。事務所を通じて手をまわさんと」
ソニ「それはどうやろ? 局とは今までもさんざん対立してきたけど、アーティストの得になったことはなかったし。
それに、どんな局でも今のSMを無視できへんのやから、逆にことを荒立てる気が事務所にはない思う」
ソルリ「泣き寝入りしろってことですか?」
クリスタル「いっつも損をするのは現場やもんなぁ」
ジェシカ「こうなったら直訴するか?」
ソルリ「直訴も何もKBSのお偉いさんがバカPDの昇進を決めた訳でしょう? そんな上層部になにゆうても無駄ですわ」
ビクトリア「ジンリのゆうとおりや。ここは実力でPDを潰すしかないで」
テヨン「実力で?」
ビクトリア「大体自分ら韓国人は何百年もの間ぬるい王朝が続いて、お役所体質に慣れすぎとるんや。
天下を獲るには大将の首をバッサリ切り落とすのが確実で早道。単純なことや」
ユリ「さすが戦ばっかりしとった大陸人。野蛮や」
テヨン「いや、ビクねえのゆう通りや。
ぬるい王朝の時代にも、本当にアカン奴は燕山君のように謀反におうとる。今がまさにその時や。
その話、ウチはいっちょ噛まさして貰いますで」
ビクトリア「(ニヤリ)自分ならそうゆうと思てたで。で、どおする?」
テヨン「女PDが局舎入るところを襲撃し首を刎ねる(キッパリ)」
ジェシカ「首を刎ねるぅ!?」
テヨン「しーっ、…声がでかい」
ビクトリア「さすが宇宙最高小鬼リーダー。そのくらいせにゃKBSのお役所体質は変わらんやろう」
ソニ「こ、こわい奴らや」
ソルリ「おっとねえさん、今さら抜けるなんて考えんことでっせ。テヨンねえ、ウチも喜んで仲間に入れさせて貰いますわ」
ソヒョン「殺すんやったら、ウチがええ毒草分けたげるのに」
ルナ「世界一のスナイパー紹介しまっせ」
テヨン「誰が殺ったか判らんのじゃ意味がない。ウチらトップアイドルが堂々と襲撃し、堂々と勝ち名乗りを上げる必要があるんや」
ビクトリア「そのためにウチらは芸能界から抹殺されるかもしれんけど…」
ソニ「殺人犯なんやからシャバから抹殺されるわ」
ソルリ「後に続く後輩たちのために、正しい芸能界を作るんです。そのためならこの命、惜しくはありまっしぇん」
ビクトリア「決まりやな。ルナ、得物を持てい!」
ルナ「へへーい!(ささ)」
ビクトリア「(ズバー)これなるは、かの曹操が張邈一族の首を刎ねたと言われる青竜刀。これであのバカPDを一刀両断」
テヨン「それよりこの剣の方がええでしょう。
(スラ)これはかの高句麗中興の祖・広開土王タムドクのおとんが、我が子を王位に付けるために自らの胸を刺した剣ですわ」
ソニ「それがホンマやったら博物館行きやぞ」
ソルリ「これなんかどうです? あの沖田総司の愛刀”菊一文字”。これでもってバカPDの喉を三段突きの餌食に…」
ソヒョン「全然役不足やな。これやこれ、使徒も恐れる黒い剣士ガッツが使ってた”ドラゴン殺し”。大体200キロくらいあるで」
ユナ「誰が振れるねん、そんなクソ重い鉄板」
ジェシカ「剣ゆうたらやっぱこれやないの? アーサー王にしか使えんとゆう聖剣エクスカリバー!(ギラリ)」
ヒョヨン「どこで売っとったんや?」
ジェシカ「昨日鐘路の骨董品屋で偶然手に入れてな」
クリスタル「嘘つけ」
ビクトリア「まぁ、これだけの得物にその首を狙われたら、何人護衛がおろうがあの女に未来はない。
待っとれよ、バカPD。 ウチら13人の美脚が明日とゆう日を自分の命日にしてやるからな、がっはっは!」
ソルリ「ん…13人?」
ルナ「そうか、パニねえが療養中やからな」」
ジェシカ「アホか。療養中でもパニはウチらの仲間や。頭数には入れとる」
ビクトリア「エムボかてそうや」
ルナ「すると、一体誰が仲間外れに?」
ビクトリア「自分や」
ルナ「え?」
ビクトリア「女子プロレスラーならまだしも、そのぶっとい脚は美脚の範疇に入らんやろう。よって員数外や」
テヨン「どうしても仲間になりたかったら、事件のきっかけとして、KBS社長の家の前で割腹してこい」
ルナ「ひえー、殺生な」
こんこん、がちゃ
AD「みなさん、そろそろ本番の収録です。スタンバイお願いします」
全員「はーい!」
ぞろぞろ
スヨン「あー、だいぶスッキリしたなぁ」
ソルリ「想像だけやのうてホンマにクビ刎ねたらよろしいのに」
ソニ「アホか、ウチら犯罪者ちゃうぞ」
クリスタル「KBSの奴ら、どうせ楽屋カメラで監視しとるはずやから、これはちょっとした仕返しやねん」
ジェシカ「これであのバカPD見ても笑てられるわ、しっしっし」
ビクトリア「(笑)なぁ、明日は誰を粛清しようか?」
テヨン「そうですなぁ、MBCにもSBSにも生意気な奴はおるからなぁ(うきうき)」
ルナ「…結局ウチだけが傷ついた訳やね(しくしく)」
ユリ「泣くなや。自分も『四十七人の美脚』やるときは仲間に入れてやるから」
ルナ「時代劇知らん人にはさっぱりな回ですな」
※『十三人の刺客』…1964年公開の時代劇映画。東映、工藤栄一監督、主役は片岡千恵蔵。
将軍の弟であるバカ殿が老中に抜擢されることを知った旗本・島田新左衛門は
そんなことになったら世の中の一大事と、13人からなる暗殺部隊を組織し、
参勤交代で帰国途上のバカ殿一行を待ち伏せし襲撃する。
13人対53人の殺陣シーンは未だ映画史に残る名場面とされている。
2010年に役所広司主演でリメイクされ(三池崇史監督)、これも傑作と話題になった。
リメイク版の予告
※『四十七人の刺客』…『十三人の刺客』がジャンル立てした集団抗争時代劇で、赤穂浪士の討ち入りを題材とした時代劇。
1994年東宝、市川崑監督、高倉健主演。
市川崑の作品としては凡作だが、高倉健演じる大石内蔵助が真面目な顔して部下の妻(宮沢りえ)にちゃっかり手を付けて
妊娠させちゃうあたりのコミカルさはさすがだった(笑)。