関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第67話 暗くなるまで待って

ソニ「ココマ、あんた、何も感じんか?」
テヨン「なにを?」
ソニ「なんかこの部屋、気配がするねん。昨日も夜中にカサカサ音がして…」
テヨン「そ、そうか? ウチは気付へんかったなぁ。爆睡しとったから」
ソニ「コンサートの準備とかでくたびれとるのはウチも一緒やけど…なんか気持ち悪うて、よお寝つけんかったわ」
テヨン「気ぃが高ぶっとるんや。今夜から焼酎でもひっかけて寝たらええわ」
ソニ「いやや。ウチ、洋酒派やもん」
テヨン「そ、そうか。ならブランデーでもなんでも好きなの飲んで寝たらええよ」
ソニ「そうするわ(へんやな、いつものココマなら『贅沢ゆうなー!』て突っ込んでくるのに)」


ムジ鳥「アサー!」
ソニ「ほな、行ってくるわ」
テヨン「おお、今朝も園児の引率ごくろうはん」
ソニ「なんの話やねん(がちゃ)」

テヨン「(こそこそ)スズキさん、ご飯やで」
スズキ「(ごそごそ)ま、毎度申し訳ない」
テヨン「それはええんやけど、昨夜ソニの奴がな…」
スズキ「ああ、聞いてました。すんまへん、チョンジュがなかなかジッとしとらへんもんやから、どうしても多少の音は出てしまうみたいで」
テヨン「チョンジュかぁ。もういっそ食うてまう?」
スズキ「そ、それはちょっと…」
チョンジュ「キュウーン(がたがたぶるぶる)」
テヨン「ははは、冗談やがな(ちょっと前のウチなら食うとったけどな)。あんた遊び盛りやもん、仕方ないか。そや、外に行きまひょか?」
スズキ「そと?」
テヨン「もう宿所には誰もおらんからリビング通って外に出れます。公園でも行って身体動かさんと、チョンジュもスズキさんも身体なまってまうやろ」


テヨン「ま、待ってーな。ハァハァ…。こんなん、は、反則やん」
スズキ「あははは。テヨンさん、普段からハードな練習してたんやないんですか? チョンジュにも負けてますやん」
チョンジュ「わん(ふりふり)」
テヨン「ハァハァ…。ダ、ダンスの練習に走り込みはないんよ。それにしても、スズキさん速すぎやわ」
スズキ「いやー、牢屋暮らしが長かったから結構なまってましたね。ホンマはこんなもんやないんやけど」
テヨン「これ以上速いんですか? もうついて行けへんわ」


ソニ「昨夜もカサカサ聞こえたで。絶対この部屋なんかおるわ」
テヨン「(ギク)な、な、なんかってなによ? ゴキブリ? ネズミ?」
ソニ「いや、あれはそんなんやない。人や、人間の気配や」
テヨン「そそそそそんなああああほな…(あかん、もう終わりや。スズキさん、逃げて)」
ソニ「今まではなんも感じんかったけどなぁ。それに訳あり物件ゆう話も聞いたことないんやけど。
  悪さする気配はないからええ人なんやろうけど、成仏でけへんのはなんか理由があるんやろな」
テヨン「そ、そう、そうやね(そっちかよ、ふうう。そらそうやな、リアルに人が隠れとるとはさすがに思わんか)」
ソニ「男の人やったら恥ずかしいから、女の霊ならええな」
テヨン「ホ、ホンマやね、はははは(好都合やからこのまま幽霊のせいにしとこ)」
ソニ「…(またや。普段なら『幽霊なんかおるか−い!』てどつくはずや。どないしたんや、ココマの奴)」


テヨン「ジャーン! 見て、これ」
スズキ「自転車やないですか、どないしたんです?」
テヨン「昨日ドンキで買うて来たんです。これでスズキさんの走りにもついていけます」
スズキ「補助輪付いてる…(笑)」
テヨン「(照)そやかて、ウチ自転車乗れへんもん。丁度ええからこれで練習するわ。ほな行くで〜(ガラガラ)」
スズキ「あ、待ってくださいよお」
チョンジュ「わんわん(てててて)」


ソルリ「あれは…テヨンねえさん?」
ルナ「ホンマや。男と一緒に走っとるで(チャリやけど)」
ソルリ「めっちゃ楽しそうやなぁ」
ルナ「てゆうか、ええんか?」
ソルリ「なにがです?」
ルナ「ウチの事務所、恋愛禁止やんか。スマン先生が『男出来たら歌が下手になる』て上沼恵美子みたいなこといつもゆうてるやろ」
ソルリ「そやけど、あれ、彼氏かどうかわからんし」
クリスタル「(スライド)いーや、あれは絶対に恋する女の眼ぇや」
ソルナ「わっ!、いつの間に」
クリスタル「あの女のあんな顔、初めて見たわ。幸せそうな顔して憎いわぁ。…そやけど、そんなしてられるのも今のうちだけやで。
  いつもいつもウチらチョン姉妹の前に立ちふさがり、邪魔ばかりしてきたチンチクリン女テヨン、あんたもこれで終わりやで、ふふふ、あはははは!」
ソルリ「こ、怖いわ」
ルナ「てか、この子のキャラ設定、絶対間違えてる思うけどな」


テヨン「スズキさん、今日はこれ買うて来たで」
スズキ「なんですか、これ?」
テヨン「なんかアラミドゆう繊維で編んだ縄ばしごで、めっちゃ丈夫なんやて。これをベランダから下げれば、ほれ、いつでも外に出れるやん」
スズキ「わーい、ホンマや! …て、下までだいぶんありますやん。ワシ高いところは苦手で」
テヨン「えー、ウチがせっかく買うて来たのにぃ?」
スズキ「い、いや、絶対無理って訳やないけど」
テヨン「ホンマにウチのこと思うとるなら、このぐらいの高さ、なんてことないはずやけどなぁ(チラッ)」
スズキ「ううう…(結構Sな娘やなぁ。まぁそれも魅力やけど)。わかりました、清水の舞台から飛び降りるつもりで利用さしてもらいますわ」
テヨン「良かった(ニコ)。これから部屋にソニがおるときは出来るだけ外に出とったがええ。
  それからこれ(ごそごそ)、はい、ウチのキャッシュカード。さすがにテレビ局は買えんけど、ご飯食べるぐらいは不足ないから。暗証番号は893…」
スズキ「いや、それはあきまへん。さすがにそこまでは…」
テヨン「ええて。ウチもこれからほとんど部屋におられんようなるし、ご飯くらい自分で食べてもらわんと」
スズキ「コンサートの練習、追い込みなんですね」
テヨン「合同練習、個別練習で、もう毎日朝までやね。そやからスズキさんにもあまり構ってられへんねん。ごめんな」
スズキ「謝ることなんかありまへん。こんなワシを拾うてくれただけでも感謝の言葉もないぐらいや。その気持ちだけでわし充分幸せですわ」
テヨン「スズキさん…(うる)。そや、ほんなら今から外行こか? 今夜はまだ時間あるから」
スズキ「風邪ひきますよ」
テヨン「寒かったら、あんたが温めてくれたらええねん。あ…(カァァ)」
スズキ「(か、かわええ!)」


ばびっと「マンネがヨンファ君と恋に落ちていたその頃…(第65話参照)」
ど〜ん、どど〜ん
スズキ「わぁ、花火やぁ」
テヨン「綺麗やなぁ…」
ひゅう、ぱ〜ん
スズキ「…」
テヨン「………(なんやねん、こんなにロマンティックなシチュエーションやのに、なんでなんもせえへんねん。この人ウチのこと好きとちゃうんか。
  それとも日本人てみんなこんなんやろか?)」
スズキ「あの…」
テヨン「は、はい」
スズキ「さ、寒くないですか?」
テヨン「それは、もちろん寒いです」
スズキ「(こ、これは言語としては単純な言葉かも知れへんけど、ふたりにとっては偉大な飛躍や by ニール・アームストロング。勇気を出せ、ワシ!)
  じゃあ、もうちょっと…あの、こっちに」
テヨン「はい(なんやこの中学生みたいな…かえって恥ずかしいやん。でも、ま、この人らしゅうてええか)」
ピトッ
スズキ「(わ、テヨンさんの頭が肩に。息が頬に。甘い。震えてる。ワシか。テヨンちゃんか。どっちや。どないしたら。もう理性が…。
  全世界のテンペンのみなさん、すいません!)」
ぎゅっ
テヨン「あ…」
スズキ「テヨンさん、好きです! アイドルやのうて、ひとりの女性として」
テヨン「うん…スズキさん、あったかい…(こうしとると結構ええ身体しとるな。肩幅も広いし…、ドキドキがとまらへん)」
チョンジュ「わん(ふりふり)」


ばびっと「しかしそんな幸せが長く続くはずもなかったのです。どうなる紗奈ちゃん、どうする秋人くん?」
バキューン
ばびっと「あれぇ〜(バッタリ)」
クリスタル「そんな照れ隠しのボケ許さへんで。これからの関ソニョに待っているのは地獄のような展開だけじゃ!」
♪絶体絶命 こういう時に使うのね
 四苦八苦しながら 返事を待っていた
 ずっと前から練ってた告白 シナリオ通り
 心を決めるけど 頭の中は  パニック!(スティル・スモール・ヴォイス:パニック!)
クリスタル「いや、エンディングの曲流されても。まだ先はあるんやけどな」


………
……


ムジ鳥「数日後のアケガター!」
スズキ「ハァハァ…、運動した後のこのハシゴ登りは結構きくで。ん、窓に灯り? テヨンちゃんかソニちゃんが帰って来とるんか?」
テヨン「スースー」
スズキ「(覗き)あ、机の前にテヨンちゃんが…。ファンレター読みながら寝てもうたんやな。ちゃんとベッドで休まんと疲れとれへんのに」
テヨン「あんにょんはせよー! きゃははは!」
スズキ「わ、びっくりした、寝言か。そやけど、今後のこと考えたら、この寝言にも慣れないとな。…うーむ、恥ずかしいこと考えてしもうたで(照)」
チョンジュ「わん!」
スズキ「しー!」
チョンジュ「わんわん!」
スズキ「鳴いたらあかんて。…ああっ、カーテンがストーブの上に! 燃えてる! テヨンちゃんが危ない!」
ガラガラ、ダダダダッ!
スズキ「(バサバサバサ)くそ、なかなか消えへん! あちちちち! このままやったら火事になるで」
チョンジュ「わんわんわん!」
テヨン「(はっ)ス、スズキさん! どないしてん?」
スズキ「ストーブの火が、いや、ええからそこの毛布とってください!」
テヨン「は、はい」
スズキ「あっちちち(ガバッ、グルグル…しゅううう)…ふうう、やっと消えた」
テヨン「スズキさん、火傷して…」
スズキ「ワシのことはええです。テヨンさんが無事でなによりでした」
バタバタバタ! バーン!
ソニ「ちょっとなんやのココマ、朝っぱらから!? 人がババしとる間になに大騒ぎ…ひ、ひやあああ、男!!!」
ヒョヨン「(バタバタ)わぁ、男や。男が部屋に」
ばたばたばた
全員「男やて? なんでこの部屋に?」
テヨン「こ、これは違うんや。じ、自分ら誤解したらあかんで」
スヨン「わ、よお見たらスズキさんや」
スズキ「これはヨロブン、おひさしぶりーふ」
ヒョヨン「ダンディの真似しても誤魔化されへんで。なんでここにおるんでっか?」
テヨン「ス、スズキさんは悪うないんや。ウチがちょっと歌の練習手伝うてもらおう思て…」
スズキ「テヨンさん、あきまへん。悪いのは全部自分です」
テヨン「違う、スズキさんはなんも悪うないよ!」
全員「(こ、このふたり…)」
♪タンターカーター ターカ タータータター(ジョン・ウィリアムズ:帝国のマーチ)
スマン「まさかホンマにこういう事になっとるとはな」
クリスタル「そやからウチゆうたやないですか。キヒヒ」
テヨン「おっちゃん…」
全員「(どっから湧いたんや、こいつら?)」
スマン「スズキさん、あんたとはええ取引が出来る思てたんやけど」
スズキ「はぁ、力足らずですみませんでした」
スマン「それはええわ。もう済んだことや。そやけど、ウチのタレントに手を出すゆうんは、また全然次元の違う話でっせ」
スズキ「…言葉もありません」
スマン「話は第69話でじっくり聞きまひょ。それまで誰かスズキさんをもうちょっと快適な部屋に案内したってや」
クッキーマン「へえ。さ、スズキさん、こちらへどうぞ」
テヨン「いやや、スズキさん、行ったらあかん!」
バシーン!
テヨン「あ!」
スマン「あんまり失望さすなや(怒)。しばらくはこの部屋で反省しとき。外はパパラッチだらけやゆうのに、よおバレへんかったわ。あぶないあぶない」
テヨン「うわーん、スズキさん!(号泣)」
ティパニ「…(あのテヨンがこんなになるなんて。恋って怖いわ)」
ばびっと「でも憧れちゃったりして」
ティパニ「まあね(てへ)。て、自分撃たれて死んだんやないの?」
ばびっと「板垣死すともばびっとは死なず!」
全員「なんやそら!」






※『暗くなるまで待って』…アメリカの舞台劇を原作としたサスペンス映画(1964年)。
    

 監督は007シリーズのテレンス・ヤング
 オードリー・ヘップバーンが、麻薬密輸犯に狙われる盲目の人妻を演じ、
 アカデミー賞にノミネートされた。
 原題は『Wait Until Dark』で、邦題の『暗くなるまで待って』は見事な翻訳と言えよう。
 さまざまなパロディやオマージュを生んでいるが、最近では乙一の小説『暗いところで待ち合わせ』が有名。
 2006年に田中麗奈主演、天願大介監督で映画化されている。
    
 


※が、今回のネタ元はそれとはなんの関係もなく…
    


 ソウルは坂ばかりだし、実際に自転車の普及率は韓国全体で20%と日本の3分の1以下だが
 『少女 in Tokyo』のDVDを観るとティファニー以外はみんな乗れるようだ。
 そういえばユリが自転車広報大使をやっていたな。


※Still Small Voice『パニック!』…
    


※スライド…アニメの技法のひとつ。歩行などの作画がなく、止め絵のまま移動すること。


※ストーブのくだりだけ、『暗いところで待ち合わせ』からいただきました。