関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第790話 そに散歩 〜フィリピン編〜(その2)


02:バコロド

ムジ鳥「あさ~~~(げへー)」
ソニ「時を告げるムジ鳥も今回は元気ないのぉ」
ウェンディ「朝からメチャクチャ暑いですからね」
アイリーン「ピリピンの年間平均気温はおおむね27度(摂氏)もありますし、今は雨季ですから湿気が多くて不快指数も高くなっております」
ソニ「そやけど土着民はみんな元気に動きまわっとるで」
ウェンディ「土着民ゆうたらあきまへんて(汗)」
ソニ「空港のロビーも人だらけやし」

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ソニ「空港内は冷房効いとるから、全員涼みに来てるのかも」
アイリーン「んな訳ないやないでっか。みんな飛行機乗りに来てるんですよ」
ウェンディ「駐機場や乗降ゲートにすごい数の旅客機が駐まってますもんね。しかもその大半が大型ジェットで、全部国内線」
アイリーン「ピリピンは7000以上の島で構成された島嶼国家でっから、島々の移動には飛行機は欠かせませんのです」
ソニ「確かにKTXでちょろっと移動するって訳にはいかんよな」
ウェンディ「よその島に嫁いだりしたら、実家戻る時に瀬戸の花嫁の10倍くらいお金かかりそお」
ソニ「いらん心配せんでええ。で、ウチらもこれから飛行機乗ってどっかの島へ移動する訳やな」
アイリーン「へえ」
ウェンディ「セブ島やったらええなぁ」
ソニ「それはいずれ判る。ここまで来たら考えても仕方ないわ」
ウェンディ「腹くくってるなぁ」
ソニ「アホスタッフにはなにも期待しておらんちゅうことや」

ナレーション:昨日からの度重なるアホ発言。もうすっかり慣れてしまいましたよ。そうこうしてる内に出発の時間が来たようです。お三方、早く飛行機に乗ってください。

…(んが~)
……(んご~)
……………(ぱちっ)

ソニ「てことで機内で爆睡すること小一時間。旅の目的地にやってまいりました」
ウェンディ「やったー(拍手)」
ソニ「ちゅうか、ここはどこやねん?」
アイリーン「PDの説明ではここはセブ島
ソニ「マジ?」
アイリーン「…の隣にあるネグロス島やそおです」
ソニ「(ずるっ)知らん。聞いたこともない」
アイリーン「そこそこ有名な島なんですけどねぇ(国内では)」

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ウェンディ「目の前には美しいビーチが拡がってますねぇ。さすがリゾートアイランド」
ソニ「目ん玉にカビでも生えとるんか? どこが美しいビーチやねん。一面のサトウキビ畑やないか」

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ウェンディ「ビーチとでも思わんと哀しくてやってられまへんのや(涙)。せっかくピリピン来たのに、こんな田舎臭い景色しか見れんとは」
アイリーン「自分を誤魔化してもなんの解決にもならへんよ」
ソニ「それは確かにそおや。現実を見つめろ。水着とはほど遠い、作業服に身を包んだ歯のない土着民が、黙々と収穫作業をしとる」

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ウェンディ「黙々としとったら歯がないかどおか判りまへんやん」
ソニ「口答えするんじゃねぇ。貴様の歯もなくしたろか!」
ウェンディ「ひ~」
アイリーン「ネグロス島は別名シュガー・アイランドと呼ばれ、ピリピンの砂糖の約70%を生産しておるのです」
ソニ「そんなに砂糖だらけやったらすぐ虫歯で歯がのおなってまうやろな」
ウェンディ「歯にこだわるなぁ(呆)」

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アイリーン「収穫されたサトウキビは、島の北部にあるヴィクトリアスちゅう町に運ばれます。この町には製糖工場が集中しております」
ソニ「ふーん」
アイリーン「工場へ続く道にはサトウキビを満載したトラックが何台も連なり、それは壮観でっせ。また工場の敷地内に線路が引き込んであり、サトウキビ列車と呼ばれる貨物列車が直接乗り入れたりもしているのです」
ソニ「それは判ったが、そのこととウチらと何の関係がある? 何故ウチらはショボい空港の前でサトウキビ畑を見ながらボーッと突っ立ってないとあかんのや? 今回の『そに散歩』はサトウキビの収穫がテーマなんか?」
アイリーン「それをウチに訊かれても…」
パフパフ~
ソニ「ん?」
ウェンディ「あ、PDがタクシーつかまえてきた。このクルマでロケ場所に移動するんやと思いますよ」
ソニ「ロケ場所ってどこや? こんな野っ原やなく、散歩にふさわしい街中なんやろうな?」
アイリーン「ヴィクトリアスやったりして(へらへら)」
ソニ「(うきーっ)イッコもおもろないんじゃ、ポンコツめ」

ナレーション:あまりの暑さにイライラしっ放しのソニさんですが、砂糖でも舐めて気を落ち着かせて欲しいものですね。てことで、タクシーは信号のない道を30分程走り、古い西洋風の建物が並ぶ街にやってきました。

ソニ「着いたんか?」
ウェンディ「そのよおですね」
ソニ「えらい風情のある街やないか」
アイリーン「ここはバコロド・シティゆうて、ネグロスで一番大きな街やそおです」
ウェンディ「なんでこんな西洋風なんでっか?」
アイリーン「かつてピリピンはスペインの植民地やったんよ。バコロドはネグロスの政治経済の中心地やったから、当時の名残が色濃く残ってる訳」
ウェンディ「へー。目の前にある市庁舎もオシャレやおまへんか」

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ソニ「見た目はそおでも、中で働いてる職員は全員歯がなくて、タガログ語でぺちゃぺちゃ喋ってるに違いない」
ウェンディ「しつこい(呆)」
アイリーン「この辺はタガログ語やないんですよ」
ソニ「え、そおなん? ピリピン人はみんなタガログ語喋ってるって『宇宙の戦士』に書いてあったで」
ウェンディ「ウソつきなさい」
アイリーン「ピリピンには170もの言語があって、ネグロス島のこっち側ではイロンゴ語って言葉が現地語ってことになりますね。そやけど英語もちゃんと通じますよ」
ウェンディ「マジで?」
アイリーン「英語が公用語でほとんどのピリピン人が日常会話程度なら英語を喋れます」
ソニ「そりゃ助かった。ほんなら土着人とのやりとりはこの貧乳に任せよう」
ウェンディ「放送できる単語を使うてくださいって(怒)」
アイリーン「で、まずはどこに行きまっか?」
ソニ「オススメは?」
アイリーン「この近くやったらネグロスミュージアムがええかと。この島の歴史と文化が学べますし」
ソニ「そやなぁ。変に路地裏ウロウロして襲われても馬鹿らしいし、そこにするか」
アイリーン「バコロドではそんな心配いりまへん。ピリピン一治安がええ街ってゆわれてますから。人も良くて穏やからしいです」
ソニ「いや、歯がない奴は全員信用出来ん。用心するにこしたことはない」
ウェンディ「この番組、ホンマに放送できるのかなぁ(呆)」

ナレーション:てことで、3人は地図を片手にネグロス博物館へやって来ました。途中タカリが寄ってくることもなく、本当に穏やかな土地柄のようですね。

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ソニ「ここか」
ウェンディ「意外にちっこいな」
学芸員「いらっしゃいませ~。ようこそネグロス博物館へ~」
アイリーン「どおやら入り口で入館料払うみたいです」
学芸員「そーです。おひとり様50ペソとなっております~」
ソニ「ペソ?」
学芸員「この国の通貨はフィリピン・ペソ(PHP)なんですよ」
ウェンディ「そゆうたらスペインの植民地やったってゆうてたな」
ソニ「ペソでゆわれても高いのか安いのか、さっぱり判らんな」
アイリーン「ん~(検索中)、今日のレートでは1ピリピン・ペソが21ウォンくらいですね」
ソニ「ほな入館料が1000ウォンちょっとか」
ウェンディ「まぁまぁ安いかも」
ソニ「それは展示物の質と量にもよるやろ。とにかく入ろう。スンワン、銭を払え」
ウェンディ「ウチが?」
ソニ「安いゆうたんやから自分が払えや」
ウェンディ「タカリと一緒やん。ねえさんも歯がないんちゃいまっか?」
ソニ「アホゆうな。歯が丈夫すぎて毎日ヤスリで研いどるわ」
ウェンディ「フレッド・ブラッシーか(呆)」

ナレーション:結局ウェンディさんが全員分の入館料を払い、3人は博物館の中へ。二階にわかれている展示スペースにはネグロス島の歴史資料や特産物などがそこそこ並べてあります。

ソニ「そこそこてなんやねん。こおゆうところは普通所狭しと並べてあるモンちゃうの?」
学芸員「そんなに詰め込むのは国民性にそぐわないのです」
アイリーン「確かにゆるめの国民性ってのが忍ばれますね」
ソニ「そもそも展示するモンが大してないだけや」
ウェンディ「このでかい油絵はなんでっか?」
学芸員「それは19世紀末の独立戦争時の英雄を描いたものです~。スペインの艦隊を砲撃するため、この島の岬の突端まで大砲を引っ張っていったんですよ」
ウェンディ「えらい地味な英雄やな」
学芸員「とんでもない。あなた方の国で例えれば、イ・スンシン将軍のよおな」
ウェンディ「それは言い過ぎっしょ」
学芸員「いいえ。ネグロス島の住民にとってはそのくらいのヒーローなのです(きっぱり)」
ソニ「いずれにしろピリピンの歴史にはあんま興味湧かんなぁ」
学芸員「そうですか~。フィリピンの歴史は戦いの歴史。スペインからの独立闘争、アメリカからの独立闘争、日本占領時代の抗日ゲリラ、ベニグノ・アキノ氏暗殺に続くエドゥサ革命、フィリピン紛争、とここ150年ばかし闘いっぱなしなんです~。そのせいかフィリピン兵は世界一強いと言われてるんですよ。日本の自衛官も“あいつら目つきが違う”って言ってますもの」
アイリーン「全然ゆるめの国民性ちゃいましたわ(呆)」
学芸員「基本的にはみんな穏やかで人が良いんですけど」
ソニ「嘘つくな、嘘を」
ウェンディ「(きょろきょろ)こっちのお面はなんでっか?」

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アイリーン「『ルパンの娘』で深田恭子が被ってる奴や」
学芸員「それはベネチアン・マスクではありません~。マスカラ・フェスティバルで人々が着ける微笑みの仮面です。統治時代や内紛時代の苦しみをこの仮面を着けることによって隠しているのです。マスカラ・フェスティバルは毎年10月に行われる、それはそれはド派手なお祭りなんですよ~」

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マスカラ・フェスティバル

アイリーン「今ググったらバコロド・シティは“微笑みの街”ってゆわれとるそおですよ。人々が穏やかなのと、この仮面の祭りからそお呼ばれるようになったとか」
ソニ「微笑みどころか大笑いしとるやないか」
ウェンディ「(うろうろ)あとはあんまりたいした物は展示してないなぁ。植林の写真とか絹のハンカチとか地味目のモンばっかり」
学芸員「その辺はOISCAのコーナーになってます~」
ウェンディ「オイスカ?」
学芸員「世界30カ国以上に組織を持つ国際NGOで主にアジアや太平洋地域で農村開発や環境保全活動を展開しているんです~。ネグロス島にも拠点があって、養蚕を指導してたりします」
アイリーン「あー、それで絹の織物が」
ウェンディ「恵まれない人たちのためにそおゆう地道な活動を続けてるってステキ」
学芸員「こちらの売店オイスカ絵葉書とかハンカチを売ってますよ」
ソニ「いらん」
学芸員「売り上げは地域のために還元されます」
ウェンディ「ううっ、それは是非とも協力せねば」
ソニ「かー、これやから慈善家気取ってる奴は(呆)」
アイリーン「スンワンホイホイとかすぐ作れそおですね(笑)」

ナレーション:あっはっ。情にほだされて、絵葉書やハンカチに加えて名産の砂糖などバコロド・シティの特産物を大量に買わされてしまったウェンディさん。旅は始まったばかりと言うのに、この先が思いやられますねぇ。この荷物をずっと抱えて歩くんでしょうか?

ウェンディ「まぁ荷物はペジュねえが持つからええけどね」
アイリーン「マジで?(がーん)」