関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第751話 そに散歩 〜日南編〜(その5)




04:モアイ




ナレーション:鵜戸神宮からクルマで北へ向かうこと約10分。やって来たのは…


ソニ「待て待て〜い!」


ナレーション:は?


ソニ「前回から気に…ちゅうかロス編辺りから気になってたんやけど、これって『そに散歩』だよね?」


ナレーション:そうですけど、それがなにか?


ソニ「『そに散歩』ってことは元ネタが『ちい散歩』な訳やんけ。狭い場所をブツブツ言いながら散歩するのがそのコンセプトな訳であって、ロケ場所変わる度にクルマ移動やったら、むしろ『ぴったんこカン・カン』なんやないかなぁと思うて」
ユナ「そやけど『ぴったんこカン・カン』ほど頻繁にメシ喰うてないで。ウチとしてはあまり歩かんでメシばっかり食うてる方が嬉しいんやけど」
ソニ「それはウチかてそおや。そやけどこんなに当初のコンセプトから逸脱してええもんかと、ふと疑問が湧いたもんで。これやったら『ぴったんこソニたん』とかタイトル替えて、コンセプトも豪華ゲストとグルメ三昧にした方がええんやないかな?」


ナレーション:それは構いませんけど、食費の予算がないので取材飲食店のタイアップは自分でとってきてくださいよ


ソニ「ええっ?」


ナレーション:それとも散歩にこだわって常に目的地まで歩きますか? 今回の場合だと約6キロ、1時間半かかる計算になりますが?


ユナ「それはやだなぁ。撮れ高とは関係ないもんな」
アイリーン「そうですよ。陽が落ちたら照明代払えとか言われかねないし」


ナレーション:照明代どころか、スタッフの夕食代もギャラからさっ引きますよ


ソニ「さっ引かれる程ギャラ貰うてないがな。…わかったわかった、クルマ移動で構いませんて。ちょっと疑問に思うただけやないか。まったくもお」


ナレーション:判りゃいいんですよ。だいたい韓国のリアリティ番組にリアリティを求める方が間違ってるわ。
 …てことで3人がやってきたのは太平洋を臨む広大な斜面に作られたこちらの施設!



どーん!


ソニ「おー、雨も完全に上がってええロケーションや」
ユナ「斜面登るのしんどそおやけどな」
ソニ「アホか、ソウルなんて街全体がこんなもんや。坂なんてケンチャナ。歩け歩け」
ユナ「意地になってへんか?」
ソニ「つーん」
アイリーン「ここはサンメッセ日南ゆうて太陽と南洋のテーマパークですぅ。全体的に中南米っぽいテイストとなっております」
ソニ「中南米っぽいとは?」
アイリーン「斜面に沿って太陽の丘、太陽の塔、太陽の階段、地球感謝の鐘なんてのがあって、春分の日秋分の日には太平洋から昇った朝日が、太陽の塔のわずか10cmの隙間を通って太陽の階段を駆け上がり、地球感謝の鐘の中央に差し込む様に作られておったりしますね」
ソニ「おー、なんかアステカっぽい」
アイリーン「でもモアイ像もあったりするんですよ」
ユナ「それは渋谷っぽいな」
ソニ「アホか、モアイならチリやないか」
ユナ「そやったっけ?」
ソニ「間違いない。渋谷にあるのはモヤイの方や」
アイリーン「“もやい”は水俣でしょ?」
ソニ/ユナ「はぁ?」
アイリーン「ん〜…(整理中)すんまへん、Wikiのデータがごちゃ混ぜになったみたいで」
ユナ「曖昧さ回避システムを強化せえや。紛らわしい」
ソニ「とにかくここにはいろいろ変なもんがあるみたいやから歩いて廻ろう」
アイリーン「へい」


ナレーション:映像ではなかなか伝わらない、結構な急斜面。それを登って行くポンコツ3人組。すると…



太陽の丘



蝶の地上絵


ソニ「ヒーヒー」
ユナ「ぜえぜえー…うおっ、なんじゃこりゃ? 蝶?」
ソニ「昔ココマが来てサインして行った跡か?」
アイリーン「ちゃいます。ここは太陽の丘って場所で、モザイク模様のこれは“天地望蝶”、通称“蝶の地上絵”ゆうそおですわ」
ユナ「今度はペルーか?」
ソニ「なるほどアバウトに中南米っぽい(笑)」
ユナ「そやけど、なんで蝶なん?」
アイリーン「中南米は蝶の区分では新熱帯区ゆうて、世界で最も種類が豊かな地域なんです。おおよそ8000種の蝶が生息しとるとゆわれております。そんでどーやらこのテーマパークもそれに乗っかって、蝶をコンセプトのひとつにしてるっぽいんですわ。この上には世界の蝶展示室みたいなんがありますし、もっと登ると蝶の楽園ゆう庭も。行ってみます?」
ソニ「いや、これ以上登るのはしんどいし、もとより毛虫の親に興味がない」
ユナ「メシでも食えれば話は別やけどな」
アイリーン「蝶の展示室の横にレストランありまっせ」
ユナ「マジか? うーん…どおしよお(苦悩)」
ソニ「まだ食う気か?」
ユナ「そのレストランてなにがあんの? アルパカ料理?」
アイリーン「いえ、ハンバーグとか海老フライとか」
ユナ「(かくん)いたって普通やん」
ソニ「ウチは行かんからな。そんなもんのために坂登りたない」
ユナ「えー? さっきは歩け歩けゆうてたくせに」
ソニ「わざわざこんな場所来てハンバーグなんか食いたないもん」
アイリーン「もう夕方近いし、晩飯まで我慢しなはれ。それじゃレストランはパスして、横に移動しまひょ」
ユナ「ああっ、ウチのご飯が遠ざかる(涙)」
ソニ「ご飯ご飯やかましいな。悟空の嫁か、自分」


ナレーション:太陽の丘から真横へ延びる道を辿った一行。そこに現れたのは…



ぬーん


ソニ「うげ。なんじゃこりゃ?」
ユナ「気持ち悪っ」
ソニ「顔色悪い奴らやなぁ」
アイリーン「これは“モアイと海をみるヴォワイアン”ちゅうアート作品やそおです」
ユナ「5番アイアン?」
アイリーン「voient! “見る人”ちゅう意味のフランス語ですわ」
ユナ「なんで中南米風味のテーマパークで急にフランス語?」
アイリーン「知りまへんがな」
ソニ「モアイと海をみる、ゆうたな。さっきから話題のそのモアイ、一体どこにあるんや?」
アイリーン「それはヴォワイアンになった気持ちで一緒に海を見たら判るんとちゃいまっか?」
ソニ「そら道理やな。ほなこの気色悪い像の目線で…。うおおおおっ!」



じゃん!



じゃじゃん!


ソニ「見えたっ!」
ユナ「あれか!」
アイリーン「そおでおま。この7体のモアイ像は、イースター島の長老会と島民の正式な許可を得てこの地に復元されたもんやそおです」
ソニ「へー、さすが日本。中国と違うて著作権関係はちゃんと尊重するんやな」
ユナ「妙なとこ感心しよるな」
ソニ「そもそもなんでこんな場所にモアイなん? もちろん太平洋つながりってことは判るんやけど」
アイリーン「それはですね、ヨーロッパ人がイースター島を発見したときには、モアイはすべて倒れたり傷んだり土に埋まったりしておったのです。現在見れるよおな直立してるモアイ像は、近年になって立て直したものなんですね。日本からも1992年から3年かけて修復チームが出向き、15体のモアイを立て直したんでやんす」
ソニ「(ちっ)やんすってゆうなって。ちびっ子人気に便乗すんな」
アイリーン「その奉仕と友情に対して、世界で唯一イースター島長老界が復元を認めたのがここのモアイなんやそおです」
ユナ「へぇ。そんならイースター島以外でモアイを見れるのはここだけ?」
アイリーン「正式なものはその通り」
ソニ「そもそもなんでオリジナルは全部倒れてたん? 台風?」
アイリーン「ちゃいます。一説によると18世紀頃に島民による“モアイ倒し戦争”なる諍いがあったとゆわれております。なんでそんな闘争が起きたかとゆうと、この島で人口が爆発的に増加した時期があり、食糧難から耕作地域や漁場を巡って部族間に武力闘争が生じたためらしいですわ。モアイの目には霊力が宿り島民を守っていると言われてまして、そのため対抗部族はモアイをうつ伏せに引き倒し目を破壊したそおです」
ユナ「アホやなぁ。そんなに人口が増えたんなら他の島に移ったらよかったのに」
アイリーン「それが、イースター島の周囲には移住できるよおな土地がないんすよ。大昔にこの島に漂着したポリネシア人は運良く文明を育みましたが、地理的には入ってきても出てはいけない袋小路の島。さらに作ったモアイを海辺に運んで並べるためには大量の木材が必要で、そのために森林を伐採しまくったよおですね。それで土の栄養分が海に流れ出して土地が痩せ、数十年で4〜5倍、約2万人にも膨れ上がった人口を養うことが出来ず、ますます深刻な飢餓状態に陥ったらしいです。島民の多くは飢え死にしたり、戦いに明け暮れた結果、文明は崩壊。生き延びるためにカニバリズムが行われていたという説も…(にやり)」
ユナ「怖い怖い怖い! ニヤニヤしながらそんな話すんな。ソヒョンか、貴様」
ソニ「そんな話聞かされたら、モアイに対するイメージが全然違うて来るやないか」
ユナ「そやで。青い海とまぶしい太陽の元で観光客を歓迎しとるもんやとばかり思うておったのに」
アイリーン「ちゃいますねん。呪いの像なんですわ(ひっひっひ)」
ソニ「ひーっ」
管理どん「ウソばっかい言(ゆ)な、こんバカどんが!」
アイリーン「わっ。モアイみたいな顔のおっさん」
管理どん「オイはこの斜面ば掃除したり管理しちょりもすが、あんまいえ加減な解説やっど、つい口ば挟んでしまいもした」
ソニ「ほな、事実はちゃうんでっか?」
管理どん「さごちゃっ。モアイとは現地の言葉ラパヌイ語で“モ”は未来、“アイ”は生きるっちゅう意味。つまいのはて“未来に生きる”ちゅう意味で、まっで呪(まひね)の像などではありもはん」
ユナ「なーんだ。こら、貴様、なんでねえさんに嘘つくねん?」
アイリーン「ウチのせいちゃいますて。全部Wikiが悪いんだす」
ユナ「そんな訳あるか。貴様のポンコツ脳が混乱しとるに決まっとるやろ」
アイリーン「えー? ウチの頭脳はあのアシモフ博士が開発したポジトロン脳でっせ」
ソニ「(かくん)設定が古いわ〜」
管理どん「ないがなし、こげん遠(と)うから見とってもらちがあきもはん。ここんモアイはいろいろな運気を上昇させっパワーを持っちょっで、さいも近(ち)こに行って見てみたらどげんと?」
ソニ「それもそやな。登るのはしんどいが、降りるなら楽ちん。行ってみっか」


ナレーション:てことで、一行は管理どんにお礼を言ってモアイ像の元へ




ユナ「おおー、結構でかいな」
ソニ「これ、実物大なん?」
アイリーン「そおでしょうね。資料によるとモデルにしたアフ・アキビのモアイと同じサイズで全高5.5m、重量20tやそおです」
ソニ「ふーん。マンネがおったら『ボトムズ』くらいの大きさ、とかゆいそおやな」
ユナ「確かにゆいそお」
アイリーン「ちゃいますよ。『ボトムズ』の主役メカ・スコープドッグは全高3.8m、乾燥重量6.4tやからこれよりだいぶ小そおまっせ」
ソニ「うへー、データが細かい分、マンネより始末に悪い(苦)」
ユナ「ところで、さっきのおっちゃんがゆうてた運気を上昇させるって、どーゆーこと?」
アイリーン「あ、それはこの看板に書いてありまっせ」



ソニ「ちんぷんかんぷんじゃ。読んでみろや」
アイリーン「向かって右から学力アップ、金運、結婚運、全体運(夢叶う)、恋愛運、健康運、仕事運と書いてありますな。それぞれのモアイに触るとその運気が上がるそおで」
ソニ「なんか胡散臭いなぁ」
ユナ「ウチは真ん中のモアイに触ろうっと。夢叶うのはある意味万能やからな」
ソニ「じゃあ他のモアイは御利益ないんかい、とかちっとは疑問に思えよ」
アイリーン「まぁまぁ、ジンクスてわざわざ書いてありますよって、軽く考えておきましょうよ」
ソニ「さっきも鵜戸神宮で運試ししたばっかりやないか。今回そんなん多すぎるで」
アイリーン「そらぁ宮崎ゆうたら天孫降臨の地、どおしても超自然的になるのは仕方ありまへん」
ソニ「てんそんこうりん?」
ユナ「テンソル系後輪駆動?」
ソニ「やかましい」
アイリーン「神の子孫が降り立った土地って意味ですわ。日本発祥の場所とゆうてええでしょう」
ユナ「ファヌン様が降り立ってチュシンの国を作ったようなもんか」
アイリーン「そおですが、天孫はファヌン様みたいに天に帰って行かず、ずっと日本を支配した訳で」
ソニ「なんかイヤな予感が」
アイリーン「今で言うところの皇室ですね」
ソニ「うわぁ、やっぱり(ひー)」
ユナ「もしや、このテーマパーク自体が宗教がらみやないやろな?」
アイリーン「あ、そおでっせ。ここは西田天香さんゆう宗教家の先生が作られたテーマパークですわ。その人の働きかけで、日本の神道、仏教、キリスト教など18の団体が協力して塔を建てたりメッセージを寄せたりしてますな」
ソニ「あかーん!(泣)」
ユナ「そおでっせやないがな。また放送出来んやないか」
アイリーン「そんなゆうたって、ウチみたいなアンドロイドには宗教関係ありまへんもん」
ソニ「自分にとって人間が創造主やからな。…て納得しとる場合やないど。このままでは撮れ高が不安や。せめてこの園内に宗教とは無縁の施設はないんか」
アイリーン「そおでんなぁ。んー…(検索)ありました。この先にナナちゃんとスミスの家ちゅうのがおます」
ソニ「ナナちゃんとスミス?」
アイリーン「へぇ、園内で飼われとるケヅメリクガメですな」



ユナ「おー、亀石ならぬリアル亀(笑)」
ソニ「(かくーん)もお亀はいらんちゅうーの!」