関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第748話 そに散歩 〜日南編〜(その2)




02:城下町 飫肥



ソニ「てことでまずやって来たのは、日南駅からすぐ近くの飫肥(おび)って町や」
ユナ「オビ? …ワン・ケノービ?」
ソニ「全然ちゃう!」
アイリーン「ここは城下町。大昔にサムライが闊歩してた土地って意味ではあながち大ハズレともゆえんのでは?」
ソニ「それ言い出したら日本の大概の街が該当するやないか。とにかくここは江戸時代以前からの古い町並みが遺るちょっとした観光地ゆうことや」



本町商人通り


ユナ「確かに古色蒼然とした雰囲気の町やな」
ソニ「うむ。ではポンコツ飫肥の説明を」
アイリーン「へえ。んーと……んーと……(検索中)」
ユナ「アクセス、遅っ」
アイリーン「(♪チーン)ここはこんな山の中にありまっけど、三方を川に囲まれた要害ちゅうことで戦国時代から飫肥藩の城下として栄えた土地ですねん。今でも城跡や武家屋敷跡、古い商家などが連なり九州の小京都と呼ばれておりやす」
ユナ「ほー、ウリナラでゆうたら韓屋村みたいなとこかいな」
アイリーン「そおでやんす」
ソニ「やんすとかゆうな、ポンコツが。どや、ちっとは興味湧いたか?」
ユナ「いんや、ちっとも」
ソニ「(かくん)あら〜」
ユナ「日本の歴史はよお知らんよって、まだ韓屋村の方が親しみあるし、そもそも小京都行くらいならホンマモンの京都に行ってみたいわ」
アイリーン「それは道理でおますなぁ(はっはっは)」
ソニ「企画を根本から否定すんじゃねぇ。とにかく『そに散歩』ゆうくらいやからちっと歩いてみよう」
ユナ「どっちへ?」
ソニ「そやなぁ。じゃあ城跡を目指すか」
アイリーン「ええ判断でおます。飫肥の観光の目玉は飫肥城趾やとWikiにも書いてありやす」
ユナ「倭城かぁ。蔚山で見た気がするけど、まぁええか(ビギンズ第73話参照)。行くべ」
てっくてっく…





ユナ「なんやらやたらと厚焼たまごと書いた店があるよおな」
ソニ「そやな。この辺りの名物なんかなぁ」
アイリーン「(検索)そないだす。厚焼たまごとおび天は飫肥の二大グルメですわ。飫肥の厚焼たまごはいわゆるだし巻き卵と違うて、大量の砂糖とみりんを使用して炭火でじっくり焼き上げた、甘くてプリンのよおな食感らしいっす」
ユナ「プリンのよおなたまご焼?(ごっきゅん)」
ソニ「そんで、おび天ゆうのは?」
アイリーン「西日本では魚のすり身を揚げた奴を概ね天ぷらゆうんですが、その内のひとつですな。鹿児島には有名なさつま揚げがありまっけど、それの親戚みたいなもんです」
ソニ「なるほど。じゃあ帰りに空港でさつま揚げ買えばええか」
通りすがりの地元民「なん言うちょるか、こんバカたれが!」
ソニ「わっ」
通りすがりの地元民「おび天とさつま揚げじゃあ味も食感も大違いじゃっど。むろんおび天の方がうめぇのであん」
ソニ「はぁ」
通りすがりの地元民「こっじゃけんジーソ者は好かんたい(ぷい)」
ソニ「しえー、なんか知らんけど怒られた(よおな気がする)」
アイリーン「お武家様はプライド高いですさかいなぁ」
ソニ「まったく。ウチらが一回のコンサートで集めるファンの数より人口少ない田舎モンのくせに…(ぶつぶつ)」
ユナ「とにかく厚焼たまごを食うてみよう」
アイリーン「もおっすか?(呆) ウチのことすぐ電池切れするポンコツとかゆうてるくせに、燃費悪すぎですよ」
ソニ「確かにまだ20mも進んどらんのに、いきなり物を食うのもなぁ。も少し歩いてからにしたらどないや?」
ユナ「えー?」
ソニ「それにこのたまご焼屋の多さから見て、この先にも店はあるやろ」
ユナ「うーむ、仕方ない、もちょっと行ってみっか」
アイリーン「はいはい。城趾へはこの角を曲がりますよっと」
てけてけ
ソニ「なんか立派な家が多いな」
アイリーン「飫肥藩は石高五万一千の中大名やから、街の規模の割にはそこそこ豊かやったみたいでんな」
ユナ「お、なんか記念碑みたいなんがあるで」




アイリーン「(検索)ここは小村壽太郎の生家跡でんな。飫肥が生んだ最大の傑物で、明治の初期にハーバード大学に入学し、外交に明るく、ポーツマス条約を取り決めた会議では日本の全権大使になったお人や」
ソニ「て、ゆわれてもなぁ」
アイリーン「その小村の師匠に当たるのが小倉処平で、このお人は西南戦争で活躍し、異名を飫肥西郷とゆうらしい」
ソニ「なるほど。なんでこの町がロケ地になったか、なんとなく判った気がするど」
ユナ「いかにもここのスタッフが思いつきそおな…(呆)」
ソニ「そんで? その飫肥西郷とやらの資料館があるとか、そおゆうことかいな?」
アイリーン「いんや。小村壽太郎の遺品とか展示してる国際交流センターちゅうのはあるけど、小倉処平に関する資料はここにはほとんどありまへん」
ソニ「(かくん)あかんやないか」
アイリーン「スタッフの企画倒れでしたな」
ユナ「まぁえーわ、どーせウチも視聴者も日本の歴史に興味はない。適当に散歩して美味いモン食い散らかそう」
アイリーン「なんとも雑なロケ番組ですなぁ」
ソニ「毎度のことじゃ。もお慣れたわ」



ソニ「お、鯉の泳ぐ池やて」
アイリーン「さっきもゆうたけど三方を川に囲まれた土地なんで、町中に掘割を巡らして、水には不便しないとこやったよおでおま」
ソニ「それも古くから栄えた要因なんやろな。…おー、おったおった(笑)」




ユナ「人影に寄って来るで。かわええなぁ」
アイリーン「餌を貰えると思うとるんでしょうなぁ」
ソニ「ちゅうてもなんも持ってないけどな(ぶらぶら)」
ユナ「やはり厚焼たまごを買うておくべきやったか」
ソニ「鯉ってたまご焼食うんかいな?」
アイリーン「どーでっしゃろ? さすがにそれはWikiにも載ってまへんな」
鯉「……(ぷい)」
ユナ「あ、餌がないと判ったらすぐ離れて行きよった」
ソニ「現金な鯉やなぁ。情がない」
ユナ「ホンマやで。洗いにして食うてまうど」
アイリーン「そら、いちいち観光客に情なんか感じへんでしょうよ。そやけど、なんやらのんびり風情があって住みやすそうな町やおまへんか」
ユナ「そおかなぁ。こんな道端に蓋もしてない堀割が口を開けとる。危険や。居酒屋で一杯やった自転車の帰り道、転落してまうかもしれん」
ソニ「えらい限定されたシチュエーションやな」
ユナ「それに堀割に落ちて骨折したとしても、その拍子に鯉を潰してもおたら、同情されるどころか石を投げつけられかねん。そんな町、住みづらいとは思わんか?」
アイリーン「よおそこまでネガティブなことを考えられまんなぁ(呆)」


ナレーション:などと言いながら3人は飫肥城趾の方へ、ぶらぶらと。



アイリーン「正面に見えるのが飫肥城の大手門とのことです」
ユナ「ん〜、遠くてよお見えん。ちゅうか雨降ってきたやないけ」
アイリーン「まぁ山ん中でっから天気は変わりやすうおま」
ユナ「いややなぁ。これ、私服やねんで」
ソニ「貴様の服なぞどおでもええが、確かにこれではテレビ的に厳しいな。仕方ない、そこの茶店で雨をやり過ごそう」



アイリーン「ほー、これは運がええ。ノボリに“おび天”て書いてありますわ」
ユナ「マジか?(喜) やったーっ、これは恵みの雨かも」
ソニ「いやはや、食欲魔人の執念が奇跡を呼んだか(呆)」
ユナ「とにかく入ってみよう。雨宿り雨宿りっと」
がらがら…
店番のおばちゃん「よう来っくいやったなぁ」
ユナ「オモニ、おび天ちょーだい」
店番のおばちゃん「これはおおきんね。いくついりじゃひか?」
ユナ「えーっと、ウチら3人やから…」
ソニ「ふたつでええわ」
ユナ「(かくん)あらっ」
ソニ「そこのポンコツはいらんやろ」
アイリーン「えー? 一応ご飯食べる機能はついてまっせ」
ソニ「そらボッコちゃんかて酒くらい飲むわ。そやけど実にならんのなら銭の無駄じゃ」
アイリーン「げー、すっかりスタッフの飼い犬みたいになって」
ソニ「じゃかぁしい。制作費浮かさにゃギャラが出らんのじゃ」
ユナ「どんだけ低予算の番組やねん(呆)」
店番のおばちゃん「じゃあおび天ふたつね(はい)」
ユナ「おおきに。ちなみに厚焼たまごは置いてへんの?」
店番のおばちゃん「ありますとも。切ってしんぜましょうかね」
ユナ「わーい。それは一切れでええわ」
ソニ「おいっ」
ユナ「なんやねん?予算ないんやろ?」
ソニ「そおとも。そやから厚焼たまごは自腹で買えや」
ユナ「えーっ」
ソニ「当たり前やないかい」


ナレーション:これがかつて女子アイドルで一番稼いでいたグループの会話でしょうか? 落ちぶれたくはないものですねぇ。



おび天



厚焼たまご


ユナ「(もんぎゅもんぎゅ)うん、美味い」
ソニ「(むんぎゅむんぎゅ)そやな。やっぱこおゆうもんは揚げたて焼きたてに限るわ。そやけどえらい甘おないか?」
ユナ「うん。厚焼たまごだけやなく、おび天も甘い」
店番のおばちゃん「それがこの辺の味の特徴ですじー」
ソニ「よお糖尿病にならへんな」
店番のおばちゃん「なるじなるじ。てげーなりよるが」
ソニ「さにあらん」
ユナ「それにしても、こないに甘いとすぐ腹一杯になってまうな。残りはポンコツに食わせてやろうか」
ソニ「やめなさいよ。後輩ゆうても犬やないんやから」
ユナ「いーや。歳はイッコしか離れてへんけど、デビュー以来重ねてきた齢はウチの方がずっと長い。実績においては更に大きな差がある。これほどの先輩は神と一緒や」
アイリーン「…」
ユナ「その神さまが手ずから食い残しを恵んで差し上げよおとゆうんじゃ。チンチンでもお座りでもして感謝の意を表すのが後輩の義務というものやろう」
ソニ「よおそんなアホな理屈を思いつくなぁ。自分、食わんでええぞ。回路がショートしたら大事や」
アイリーン「………」
ソニ「ん?」
ユナ「あかん。電池切れとる」
ソニ「(ずこっ)もうかいっ」
ユナ「お定まりのヒキやなぁ(呆)」






※おび天と厚焼たまごの写真は日南市のHPよりお借りしております