関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第717話 そに散歩 〜釜山編〜(その5)




前回に引き続き、グーグルアースさんにベース画像をお借りしております。



10:釜山港


ナレーション:空中庭園からの眺めを堪能したソニさん一行は、ロッテ百貨店を後にしました。
 建物から一歩出ると、そこは名高い釜山港です。



影島大橋から見たユラリ広場と家族像


ソニ「おー、護岸もきれいなもんやな」
ウンジ「港の中心はもっと北の方ばってんね。あっちには世界中から大型の船がよお来よる。太平洋戦争終結の時は引揚船が大勢の日本人ば乗せて帰って行ったとばい」
ソニ「もはや『応答せよ1945』の世界やな」
ウンジ「いずれ製作されるかもしれんけん郷土史ば勉強しよっとたい(えへへ)」
ソニ「されるか、ボケ」
ウンジ「で、この辺りはもっと小型の船やら漁船が多かったと。岸も整備されとらんで砂利浜やったとよ。
 朝鮮戦争の頃、戦乱を逃れて来た人たちや、戦争未亡人、在日朝鮮人たちがこの浜に魚を並べて売買したり、露店で海産物の取引や加工ばしよったことから、“チャガルチ魚貝類処理場”て呼ばれよったと。チャガルチゆうんは小石とか砂利の意味たい」
ユリ「それが今のチャガルチ市場の前身て訳か」
ウンジ「そがんたい。その、人と海鳥とネコだらけでごちゃごちゃしとった市場も、今じゃおしゃれビルに収まり、護岸もこげんきれいに整備された」



アホ面のイルボニンと影島大橋


ソニ「ふむ。アホ面の日本人が記念写真なんぞ撮ってやがる。平和や」
ウンジ「あのアホ面が立っとる場所が、避難民家族の像があるユラリ広場たい。その後ろに見える橋、あれが影島大橋(ヨンドテギョ)ちゅうて、避難して来た人たちの落ち合う場所として有名やった昔からの釜山名所やね」
ユリ「どゆこと?」
ウンジ「『国際市場で逢いましょう』ば思い出してみっとわかろうもん。北から逃げて来た家族は途中で離ればなれになってしまうことも多かったと。そがん時“釜山に着いたら影島大橋で落ち合おう”ゆうとば合い言葉にしたとたい」
ユリ「あー、なるほど」
ソニ「てか、自分もナレーターも、さっきからやたらと『国際市場で逢いましょう』を推してくるな。なんかあるんか?」
ウンジ「そら、この番組が『そに散歩』やけんね。ねえさんをリスペクトして、ことあるごとに紹介しとるとばい」
ソニ「ウチになんかゆかりが?」
ウンジ「覚えとらんとね? あの映画で、主人公の弟の名前はスンギュ、おとんの名前はジンギュやったろーもん」
ユリ「うわっ、だっせぇ(げしっ)うげぇ」
ソニ「なるほど。ウチとおねえの名前かぁ」
ウンジ「そうたい。プロデューサーか誰かが知り合いとね?」
ソニ「いや全然」
ウンジ「案外おねえのペンかなんかかもしらんばい」
ソニ「そーかなぁー(てへへ)」
ユリ「スマンは出て来んの?」
ウンジ「スマンもスヨンもユリも出て来ん」
ユリ「ちぇー」


ナレーション:陸と影島を結ぶ影島大橋は、朝鮮半島では初めての跳ね橋として植民地時代の1934年に開通しました。長さ214m、幅18mで、珍しい片跳ね式の跳開橋です。当時は、半島全土からその光景を見物しようと観光客がつめかけたそうですよ。
 開通からしばらくは、船の往来時間にあわせて一日に何度も開閉が行われていましたが、さまざまな事情から1966年に開閉が中止になり、橋を通っていた路面電車も廃止されました。
 それから40年近くを経た2000年頃には老朽化も目立ち、新しい橋を作ろうかという話が持ち上がりました。しかし、これに反対したのが港周辺の住民たちでした。


ウンジ「やっぱ影島大橋は慣れ親しんだ存在やし、分断の象徴でもあるけんね。なくしてしまうには忍びなかったとたい。
 そやけん復元工事ばして、4年前にリニューアルしたと。それも47年ぶりに跳開橋として開通したとばい。今じゃもちろん観光のためばってん、日に一回お昼頃に橋の跳ね上がるとよ」
ユリ「ほえー。それ見たかったな」
ウンジ「それ見てたらデジカルビの食われんかったでしょーが」
ユリ「あー、そおか。それじゃ仕方ねーわ。橋の開閉は次の機会に見るとしよう」
ソニ「ところで、この橋を渡るとなにがあるんや?」
ウンジ「なにて言われても、影島は石器時代から人が住んどるし、陸といっちょん変わらんばい。あとは射撃場とか温泉とか海女さんがやってるテント食堂とか…」
ユリ「あとでチャガルチ行くから食堂はなしやな。それに少女時代は入浴シーンの撮影はNGやから温泉も無理」
ウンジ「貧乳揃いやけんNGな?(バチン)いてて」
ソニ「ウチは貧乳ちゃうわ。事務所の方針じゃ」
ウンジ「バチバチ叩かんちゃよかろーもん。カミナリのたくみくんか! …あ、そやった、蓬莱山(ポンネサン)のあったばい」
ユリ「やま?」
ウンジ「影島ば形作っとる独立峰で標高は400m足らず。トレッキングコースとして人気が高かとよ」
ソニ「そこ登るとなにがある?」
ウンジ「山頂からは釜山の街がよお見えるし、アイスキャンディ売りもおるよ」
ソニ「アイスキャンディはともかく、景色がええのはテレビ的にウケるかも」
ユリ「そこまでどのくらいかかるん?」
ウンジ「登山口のある高神大学までタクシーで行ったとして、往復5時間くらいかなぁ」
ユリ「日が暮れてしまうわ、ボケッ!(がおー)」
ウンジ「じゃあ太宗台は? 有名な展望台で対馬の見えるばい」
ソニ「そこは近いの?」
ウンジ「島の反対側(あはは)」
ソニ「ええ加減にせぇ! もお影島は却下や!」


ナレーション:あっは。とうとうソニさんもぶち切れちゃったみたいですね。影島は風光明媚でいい観光地ですが、時間に余裕を持って訪れたいものです。
 夕飯まではまだ時間があると言うことで、一行は光復路を戻って国際市場へ向かうことにしたようですよ。


ユリ「今来た道をまた通るのは番組的にいかがなものか(とほほ)」
ソニ「仕方がないから、行きとは違うポスターを見ながら歩こう」
ユリ「うむ。もおチャン・ウンホンはいらんしな」



ソニ「お、女優のチェ・ジンリ発見」
ユリ「ホンマや。他人を巻き込む天才のポスターや」
ウンジ「関係なさそうに言うばってん、一緒に練習した仲やなかとね」
ソニ「いんや、あれはもお芸能部やなく俳優部の所属。所属が違えばもはや他人」
ユリ「巻き込まれたないし」
ウンジ「冷たかねぇ」



ソニ「今度はジースーがおった。よおやく見つかったな」
ユリ「奥のメガネの子か?」
ソニ「そうそう。よおわかったな」
ウンジ「ボケが無理矢理すぎるばい(呆)」



ユリ「ん?(ぴた) これは」
ウンジ「む、奴らやな。一流店の広告なんぞ出やがって、生意気ばい(怒)」
ソニ「やぁ。これはウチらのポスターやないか」
ウンジ「は?」
ソニ「華やかで品のある9人組。これはもおウチら以外考えられん」
ユリ「そやな。そおゆうたら、こんなポスター撮った気がする」
ウンジ「待たんかい。ねえさんら今は8人組やなかとか」
ユリ「ユナもジェシカも、センターで輝いとるなぁ」
ソニ「いんや、ユリも負けてないで」
ユリ「ぴゃー、嬉しいことゆうやないの。そおゆうソニかて可愛ええ笑顔やで」
ソニ「おおきに(にへら〜)」
ウンジ「だ、誰のことをゆうとるんかいね? 人気者なら他のグループまで自分らのことにしてしまうとは、寄生虫みたいなアイドルばい(呆)」
ソニ「やかましい。帰省中なのはオノレの方やろ」
ウンジ「く、くだらんばい」
♪ちゃんちゃん


11:国際市場


ナレーション:なんてことを言いながら、一行がやって来たのは国際市場の入り口です。



ユリ「おや、ええ匂い」
ソニ「なんやら食い物屋台がやたら多い道に出たな」
ウンジ「ここがBIFF広場たい」
ユリ「ビーフ広場? それで美味そうな匂いがするんか」
ウンジ「バカチン、それでも女優の端くれか! BIFFゆうんは釜山国際映画祭(Busan International Film Festival)のことやなかね」
ユリ「ええっ? ここがあの有名な…?」
ウンジ「そぎゃんたい」
ユリ「ぴゃー、この道に敷かれたレッドカーペットの上をスケスケのドレスを着て歩くのがウチの夢なんや」
ソニ「スケスケが前提かいっ」


ナレーション:そう、ここはアジア最大の映画祭・釜山国際映画祭の会場の一部となっている広場なんです。
 今でこそメイン会場は海雲台エリアのセンタムシティに移されていますが、映画祭が始まった20年前にはここがメイン会場でした。
 普段はこのように屋台がひしめくデートスポットになっていますが、期間中は世界中のスターが訪れる夢の舞台となります。
 路面にはロスのチャイニーズシアターのように、スターや監督達のサインと手形が埋め込まれていて、ひとつひとつ見て回るのも映画好きにとってはたまらない楽しみです。



ソニ「実際に立ってみると、意外に狭い場所やね」
ウンジ「そおたいね。映画祭の時はペンと取材陣でぎゅうぎゅう詰めになるばい」
ユリ「ここで出川から変な英語混じりで写真撮ってくれてせがまれたら一流の証やな」
ソニ「妙なもんで一流を測るなよ(呆)」
ウンジ「で、ここを北に抜けて行くと…(すたすた)」



ウンジ「ここが国際市場たい(じゃーん)」
ユリ「おおっ、ここが…?!」
ソニ「なんちゅうか、普通」
ウンジ「(かくん)まぁ韓国名所ちゅうても、庶民の生活に密着した市場な訳やし、こげんもんやって」
ソニ「そやけど、ずーっと『国際市場で逢いましょう』を推してたから、つい期待しちゃうやないの」
ウンジ「あの映画のタイトルは分断後の釜山を象徴する意味でつけられたもんやから。国際市場を舞台に大スペクタクルが展開される話やなかとよ」
ユリ「確かに、主な舞台はドイツとベトナムだったよおな」
ウンジ「本来の国際市場はこの2棟の2階建て6区画を指すとばってん、広義にはその周辺一帯も国際市場て呼ぶとたい。日用品から家電、コスメ、革製品まで何でもあるばい」
ソニ「このブランド品はホンマモンなんか?」
ウンジ「そげん訳なかろーもん。ここは国際市場。本物以外なら何でもあると」
ユリ「(かくん)どおゆう自慢や」
ウンジ「ばってん本物そっくりなら、わざわざ高い金出して本物買わんちゃよかでしょーもん」
ソニ「なるほど。そおゆう市場か」
ウンジ「夜になると道の真ん中に食い物屋台も出るばい」
ユリ「なんか南大門と東大門と明洞を混ぜて100分の一に圧縮したような通りやな」
ソニ「お、見ろ見ろ、CDショップがあるで」



ユリ「あ、ホンマや。ウチらのCDもあるかな。ちょっと覗いたろ(すたすた)」
ソニ「やめろよ。店主や客にサイン求められたら面倒くさいやん…もお、強引やなぁ(すたすた)」
ウンジ「あんまりいやがっとるようにも見えんばってん」
ユリ「頼もう!」
店主「はいはい、いらっしゃい」
ユリ「アイドルのCDを見せてちょーだい」
店主「HIGHLIGHTはこっち、NCTはこっちにあるですばい。で、こっちはBIGBANGね、TOPは抜いてるあるばってん。で、その横がカンインとソンミンを外したSuper Juniorたい」
ソニ「露骨な店やなー(呆)」
ユリ「男アイドルなんかいらん。女子アイドルを所望いたす」
店主「は? 女子が欲しいなんて変わっとらすねー。お客さん、百合ね」
ユリ「いかにもユリやけど、もおばれたか」
ウンジ「うんにゃ、多分違う意味やと思うばい」
店主「とにかく女の子はここですばい」



ユリ「わー、またこいつだ!」
ソニ「釜山、IUのこと大好きやな(呆)」
ウンジ「人気があるだけの話じゃなかとね」
ユリ「他にはTwice、I.O.I、Red Velvet…おっちゃん、少女時代は置いてないん?」
店主「少女時代、ありますよ。ほら『Wonderland』」
ユリ「ジェシカじゃねーか!(うきーっ) そっちじゃなくて、本隊の方」
店主「本隊?」
ユリ「そおそお、8人組の」
店主「あの娘らはもう解散したとじゃなかとですか?」
ソニ/ユリ「してねーわ!」
ウンジ「まぁまぁ。もし少女時代のCDがあったとしても、どうせ中身は違うとるばい」
ソニ「マジで?」
ウンジ「ここは国際市場、本物はイッコもなかとよ(えっへん)」
ソニ「威張るような事か!」
♪ちゃんちゃん


ナレーション:あっは。上手くオチがつきましたね。3人の釜山散歩はまだまだ続きますよ。


ユリ「いつまで引っ張るつもりや? 日テレか!(ぷんすか)」





※釜山国際映画祭をよりよく知るには、長年BIFFの執行委員長を務めたキム・ドンホ氏の『世界のレッドカーペット』がオススメ。
 各国の映画祭の実情がわかるし、読み物としても楽しいよ。
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