関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第513話 自殺は痛くない(後編)

ざわざわざわ…
スヨン「大変お待たせいたしました! ただいまより少女時代クォン・ユリの入滅式及び葬儀及び火葬を行います!」
ぱちぱち
ヨンミン「一気に火葬まで? スピード成仏やな(笑)」
スヨン「司会は少女時代の明朗姫チェ・スヨンが務めさせていただきます。
  解説にはこの企画の運営者であります少女時代キム・ヒョヨンを招いております」
ヒョヨン「よろしくお願いします(ぺこりん)。
  言い出しっぺは占い師の清渓川の母なんやけど、ウチに運営を振られたので解説させていただきます(自作自演やけどな)」
スヨン「会場の蚕室総合運動場メイン競技場に作られました、こちら特設葬儀場には、すでに大勢のペンや関係者が詰めかけております」
ヒョヨン「本日17時までしか借りてませんので、終了後は素早く撤収してください。特に美術班、特効班は迅速にお願いします」
スヨン「いきなり内情をぶっちゃっけましたね」
ヒョヨン「超過すると1時間に付き400万ウォン請求されますからね」
スヨン「なるほど、それは深刻ですね。急いで進行しましょう。
  それでは本日の主役、クォン・ユリの入場です!」
ヒョヨン「死ぬ気のある奴、出て来いやぁ!(反り返り)」
♪ジャーン
スヨン「さぁ、スポットライトが照らすその先は、スタジアムの入場口。それはもはや冥界の入り口であります」
しずしず…
スヨン「さぁ登場して参りましたのが…見えました、クォン・ユリです!」
会場「うわわーーーーんん!」
ユリ「♪愛の力は偉大やで〜
   どない辛うても、いつか笑いに変えるんやで〜
スヨン「おっと、いきなり女子高生の衣装にギターを弾き語りながらの登場だー!」


    


ヒョヨン「これはユリが去年出演した映画『ノーブレッシング』の挿入歌ですね」
スヨン「へー、そんな仕事してたんですね?」
ヒョヨン「はい。ユリが歌うこの映画のOSTはもう1曲あるんですが、2曲とも関ソ歌謡祭はおろかAIEAでも全く触れられることがありませんでした」
スヨン「それはもお黒歴史では?」
ヒョヨン「もうひとつ。ユリと元EXOのクリスをカップリングした、こんな動画もあるのです」


     


スヨン「………。
  あまりの暗黒ぶりに言葉を失っておりました。そんな闇曲を選ぶあたり、今のユリの心境が伺えますね」
ヒョヨン「はい」
♪じゃーん!
ユリ「おおきに、おおきに(ぺこぺこ)」
スヨン「さぁ、こちらへどうぞ、クォン・ユリさん。いかがですか、今のご気分は」
ユリ「し、死にそうです(ど緊張)」
ヒョヨン「そらまぁそうやろうな」
スヨン「最後を見届けに来られたペンのみなさんにご挨拶をお願いします」
ユリ「みなさん、今まで少女時代のユリを応援していただき、ありがとうございました!」
会場「わーわー」
ユリ「ですが、みなさまの期待に応えられず、人気は上がらず、ソニパイにも負け、ウチは生まれ変わることを決心しました。
  本来ならユリ卵様となって、コンサートのステージ脇で1年ほど孵化期間をいただきたかったのですが…(涙)」
会場「泣くなー!」
会場「オレがついてるぞー!」
会場「太もも見せろー!」
ユリ「みなさま、ユリは今日召されますが、きっと帰ってまいります。
  前世より強く美しくなって蘇ることを、ここに誓います!」
会場「うおおおーーー!」
会場「脱げー!」
会場「デブー!」
スヨン「さぁ、それでは登壇です。
  会場中央のステージにひときわ高く設置された棺に向かって、ご自分の足で一歩一歩登って貰います」
ヒョヨン「さぁ、特効班、雪を!」
しゅわわわわー
会場「おおーっ」
スヨン「なんと言うことでしょう。6月にもかかわらず、会場には雪が舞って参りました。
  そしてユリがいつの間にかドレス姿に」
クッキーマン「流行りものにはすぐ乗っかりますな(呆)」
ヨンミン「生まれつき恥というものをしらんからな(笑)」
スヨン「さぁ、ユリが棺へと向かいます!」
♪ちゃらんちゃらん(前奏)


     ←こんなイメージでお読みください


ユリ「♪降り始めた雪は足跡を消して
  真っ白な世界に独りの私…
ヨンミン「真っ白て…肌は黒いけどな」
スヨン「外野はお黙りください」
ユリ「♪風が心にささやくの
  このままじゃダメなんだと…
スマン「ま、確かにこのままじゃダメやな(笑)」
ヨンミン「そやからこの企画が出た訳でして」
ユリ「♪ありのままの姿見せるのよ
  ありのままの自分になるの
クッキーマン「今更なにゆうてる。今までかて、さんざ好き放題やって来たやないか」
ヨンミン「ありのままであかんから自殺するんやろうが」
スマン「矛盾してるど」
ヒョヨン「やかまし!」
ユリ「♪れりごー、れりごー
スヨン「さぁ、ユリの足が棺の置かれた最上段へ到達します!」
ドーン!
スヨン「おおっ、最上段がさらにせり上がり、まるで氷で出来た城のように!」
ヨンミン「パクリにしてはよお出来てるな」
ヒョヨン「1stコンサート登場の時の油圧ジャッキ借りて来たんや(笑)」
ヨンミン「なるほど」
ユリ「♪少しも寒くはないわ!
♪ジャン
クッキーマン「そらそや。6月やし、カポック削った作り物の雪やし」
スマン「見とる方はだいぶ寒かったけどな」
スヨン「さぁ、ユリには棺に入っていただきましょう。
  入棺の儀! 介添えのユナさん、よろしくお願いします」
ユナ「了解しました。まず右足をこっちに置いて、ドレスの裾に気をつけて縁をまたいで…」
ユリ「よっこらしょ」
ユナ「そうそう、それで…ちょっとおねえ、スカートの脇のチャックが全開やで」
ユリ「あれ?」
ユナ「こんな姿で登って来たんかい(呆) そやからウチがついとらんと…(ぶつぶつ)」
スヨン「おや? ステージ上で何かトラブルがあったようです」
ヒョヨン「ユナはメンバーの衣装の不備を見つけるのが上手いですからね」
スヨン「てか、最後の最後まで抜けてますな、ユリは。
  さぁそれでは次の儀式に参りましょう」
ヨンミン「いよいよ自殺という段取りやな」
ヒョヨン「ユリが服用するのはあのASKAも常用していたというMDMA、通称エクスタシーです。これを大量に服用することで、あっという間に気持ちよくなって天国にいけまっせ」
スマン「へー、今度試してみよ」
ヨンミン「よしなはれ」
スヨン「投薬の儀!」
♪ぽろんぽろろ〜ん
TTS「♪朝靄の中に不条理を見た 
  真実がウチを苦しめてるんや
  それが世の中やし、わからんこともない
  自殺は痛くない
  気分転換にもなるしね
  それにやるかやらないかはウチ次第やし
スヨン「少女時代テティソが厳かに歌い上げますのは、かの名曲『Suicide is painless』です」


    

  
TTS「♪人生ゲームはなかなか大変
  いつかは破産の目にとまっちゃう
  どうせ負けるならこれだけはゆうておく
  自殺は痛くない
  気分転換にもなるしね
  それにやるかやらないかはウチ次第やし
ユリ「(ぐび)ごっくん」
スヨン「さぁ、ユリが薬を飲み込みました。これでもお後には戻れません」
会場「♪後は死ぬだけ、後は死ぬだけ
スヨン「妙な合いの手はやめてください」
TTS「♪時の剣がウチらを突き刺す
  始めはわかんないけど、老けるにつれてジワジワ効いてくる
  歯を食いしばってどんどん痛くなってくる
  自殺は痛くない
  気分転換にもなるしね
  それにやるかやらないかはウチ次第やし
スヨン「歌はそのままに、式はお別れの儀へと移行します。
  生前のユリに縁のある人たちが、棺を訪れて声をかけ、あるいは記念品を渡していきます」
ヒョヨン「記念品は避妊具が多いですね」
スヨン「みな考えることは一緒なんでしょう」
ヒョヨン「あ、でも中には熊テウにいさんの写真やヨガの教本、脱毛剤を渡す人もいますね」
ジェシカ「ウチからはこれや」
ハニ「わん!」
ユリ「うわっ」
ジェシカ「あの世でも仲良うな」
ユリ「アホか! ハニまで一緒に燃やす気か、ボケ!」
TTS「♪『重要な質問や』とある時勇者がウチに尋ねた
  『「トゥ・ビー? オア・ノット・トゥ・ビー?』
  ウチは答えた。『それ、何でウチに訊くねん?』 
  自殺は痛くない
  気分転換にもなるしね
  それにやるかやらないかはウチ次第やし…
♪ぽろろ〜〜〜ん
スヨン「さぁ、厳かな雰囲気の中お別れの儀が終了いたしました。
  それではクォン・ユリが永遠(とわ)の眠りにつく間、祈祷を捧げましょう。
  ハイチ共和国から司祭のボゴを招いております」
クッキーマン「なんでブードゥー教やねん?」
ヒョヨン「そらやっぱ、少しでも蘇りやすくするためですわ」
ボゴ司祭「(どんどこどかかか、どんががごかかか…)」
スマン「太鼓うるさい!」
ボゴ司祭「はいっ! はいっ!(ぱー、ぱー)」
ヨンミン「ソンビパウダーとか撒くなや! 目に入るやんか!」 
スヨン「とかふざけている間にも、ユリが永遠の眠りについたようです」
クッキーマン「やっぱり悪ふざけか」
スヨン「続きまして、封棺の儀でございます。
  二度と出られないように棺を釘で打ち付けてしまいます」
ヨンミン「”蘇るように”ゆうたり、”二度と出られないように”ゆうたり、どっちやねん?」
スマン「コンセプトがぶれぶれやがな」
スヨン「さらに心臓に当たる部分には太い杭を」
ユナ「ぐさーっ!(どん!)」
ユリ「ギャー!」
スマン「今度はドラキュラ伝説か?」
ヨンミン「なんでもありやな(呆)」
ヒョヨン「火葬の儀!」
スヨン「さぁ、いよいよ本日のハイライト。棺にたっぷりの油をかけ」
ユナ「(ばちゃばちゃばちゃ)」
スヨン「そこに火をかけます」
ユナ「ちゃっか(ぼっ)」
めらめらめら…
スヨン「おおー、最近空気が乾燥気味のせいか、よく燃えますな」
ヒョヨン「これではさすがのユリもひとたまりもありますまい」
ユナ「ああ、岡村さーん! 岡村さんが燃えてまうー」 ←矢部浩之の真似
ヨンミン「今度は日テレの年越しか!?(呆)」
パチパチボーボー…
スヨン「それにしてもよく燃えますね」
ヒョヨン「まぁ豪華に見えてもベニヤで作った棺ですから」
スヨン「ちょこちょこ予算のこと愚痴るの、よしなはれ」
ユナ「あー、あー、こちら特設ステージのユナです。放送席のスヨンさん聞こえますか?」
スヨン「はいはい、なんでしょうか?」
ユナ「ユリねえさんが収まっていた棺桶ですが、もうすっかり燃え尽きたようです」
スヨン「よく見えております。遺骨などは確認できますでしょうか?」
ユナ「それがですね、避妊具やヨガの教本の燃えかすはたくさんありますけど、人間の痕跡はまったくありません」
スヨン「なんですって? 完全に灰になってしまったのでしょうか?」
ヒョヨン「いやいや、この短い時間では無理でしょう」
スヨン「するとユリはいったい何処に?」
ユリ「わはははは! わははははは!」
スヨン「あっ! どこからかユリの声が!」
ヒョヨン「まさか?」
ユリ「こっこでーす! こっこ、こっこー!」
ぴょーんぴょーん
スヨン「ああーっ! カメラさん、あそこを映してください。特設会場の遙か北、漢江の対岸に五体無事なユリの姿が!」
ユリ「わははは! やーいやーい、騙された!」
スヨン「完全に灰になるどころか、ハイになってますね」
ヒョヨン「やはり薬が効いてるんでしょう。上手いこと適量分服用した模様です」
スヨン「それにしても、この短い時間に箱抜けし、漢江の向こう岸に現れるなど、ものすごく高度なイリュージョンですね」
ヒョヨン「そうですね。衣装もいつの間にかキンキラキンの派手なドレスになってますし、これではまるで引田天功のようです」
スヨン「(ぴーん)…! なるほど、少女時代のユリは死に、イリュージョニストとして生まれ変わったと言う訳ですね」
ヒョヨン「はい。これまでもふざけてメンボにいたずらするのが好きだったユリですから、今度の人生、まさに天職を得たと思います」
スヨン「みなさま、生まれ変わったクォン・ユリを、これからも応援してくださいね!
  それではまたの機会にお目にかかりましょう」
スヨン/ヒョヨン「バイバイキーン!」
全員「ええ加減にしなさい!」
♪ちゃんちゃん






※少女時代の明朗姫…今ではもう言わなくなって久しいが、デビュー当時、スヨンは自己紹介の時に必ず自分のことを「明朗姫」と言っていた。



※『ノーブレッシング』のOST…紹介した『Twinkle Twinkle』の他に『Bring Star』がある。
    
 どちらも最近知ったので関ソ歌謡祭の話題に載せ損なった。
 が、どこからも「待った」がかからなかったので、読者の人もみんな知らなかったんじゃないかと思う。
 両曲ともなんとも新鮮味のない”普通”の曲である。


※『Suicide is painless』…朝鮮戦争の移動米軍外科病院(Mobile Army Surgical Hospital)を舞台にしたハチャメチャお馬鹿コメディ映画『M*A*S*H』の主題歌。
     『M*A*S*H』予告
 主演のドナルド・サザーランドは『24』で有名になったキーファー・サザーランドの父親。もちろん私にとってはキーファーの方がドナルドの息子なのだが。
 リチャード・フッカーが実体験に基づいて書いた小説を、鬼才ロバート・アルトマンブラック・ユーモアたっぷりに映像化した。
 実際20世紀フォックスのお偉方に何を撮っているかばれないように撮影したらしい。
 また朝鮮的な部分はあえて少なくし、ベトナム映画と受け足られるように意図したとも言う。
 内容は、MASHの外科医4人組が繰り広げるばかばかしい事件の数々なのだが、それは苛烈な環境に置かれた者が正気を失わないために必死にもがく姿であり、
 真の命の尊さを知る者が権威主義や人種差別などを否定し貶めようとする姿でもある。
 居たたまれなくなると同時に、爽快でもある。結局思うところは腹に収めて、ニヤリと笑うしかない大人の映画と言えよう。
 当然初めて見た中学の頃はさっぱり判らなかったが、10年に1回くらいは無性に見たくなり、見返している。