関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第306話 トンカス

こんこん、がちゃ
女の子「(にゅう)おはよーございます。今日もよろしゅうに」
ティパニ「むっ…自分、誰? 新人? カンナさん?」
女の子「新人て…(トホホ)。アイユですがな、今日スペシャルステージやらして貰う予定の」
ソヒョン「アイユやてぇ? えらい太ったなぁ」
テヨン「一体その腹はどうした? マジでぽんぽこ狸になってしもうたやないか」
IU「日本に行ってる間、毎食トンカスばっかり食べてたら、こんなんなっちゃいました(えへへ)」
ティパニ「えへへ、やないで。コンサートが終わったもんやから油断したな」
テヨン「そんなキム・ミンソンな体でスペシャルステージに上がったら、国中のサムチョンペンがショック死するで」
ソヒョン「うむ。シカねえカニばさみ事件の再来やな」
IU「キム・ミンソンゆうたら映画『美人画』で濃厚な濡れ場を演じたあの女優? ウチ、そんなに色気が?(ぽっ)」
ティパニ「脳みそまでフライになったか? Piggy Dollsのミンソンに決まっとるやろう(ぽかっ)」 
IU「ええ? でもでも、そこまで太ってないでしょう?」
テヨン「似たようなもんじゃ」
IU「がーん!」
ティパニ「ウチも以前えらい太ったことあったけど(第113話参照)、あんときは怪我で療養中ってことになってたしなぁ。
  この後すぐステージに立つとなったら、自分マジでやばいで」
IU「ひえー、ピーンチ!
  それとゆうのも日本のトンカスが美味しすぎるのがあかんねん。あんな美味しいもん楽屋弁当で出されたら誰かて病み付きになるに違いないわ」
がちゃ
ユリ「楽屋弁当のトンカスゆうたら”まい泉”やね?」
ティパニ「わ、びっくりした」
テヨン「部外者が何の必然性もなく『音楽中心』の楽屋に入ってくるなよ!」
ユリ「まぁまぁ、細かいことは置いといて。話の流れからしても、ここは日本の食文化研究家クォン・ユリの出番やないの」
ティパニ「いつから食文化研究家になったんや。コンサートでご当地の名物を発表してただけやん」
ユリ「(無視)”まい泉”とは渋谷区神宮前に本社を構える井筒まい泉株式会社が展開するチェーン店で、現在はサントリーの傘下にある。
  箸で切れる程柔らかいトンカスとお土産用のカスサンドが売りの専門店やが、このスタイルはもともと上野のトンカス店”井泉”の専売特許やった。
  ”まい泉”は実ははこの”井泉”から暖簾分けされた店なのである」
IU「へぇ。ほんなら今度は”井泉”にも行ってみなくちゃ」
ティパニ「また太るって」
ユリ「芸能界において”まい泉”が有名なのは、ロケ弁当・楽屋弁当として手頃で美味しく、かつ高級感もあるということで広く利用されるようになったこと。
  楽屋への差し入れなどでカスサンドを持って行くと喜ばれたこと。
  店舗が駅ビルやデパート内、またその近辺にあり利用しやすいこと、などが考えられる。
  つまり、楽屋弁当を食って味をしめ、店に通うようになると言うパターンやな」
IU「まさにウチはそのパターン! 初めて”まい泉”の弁当食った時から、日本ではトンカス以外食ったことないわ」
テヨン「そんなに美味かったんか?」
IU「だって今まで韓国で食ったトンカスと全然違うんやもん。肉が分厚くて、ジューシーで、脂が甘くて…(じゅるじゅる)
  ああ、あれが本物のトンカスやったんやね。食いたい! ”まい泉”のトンカスが食いたいよーーー!(バタバタ)」
ユリ「いかん、禁断症状や。すぐラードを与えねば!(さっ)」
ティパニ「そんな大層なもんなんか?(呆)」
IU「(ペロペロ)…はぁはぁ、なんとか落ち着きました」
ソヒョン「気持ちわるっ」
がちゃ
キム・ヨンミン「(すぅ)トンカツとゆえば、ワシも日本に住んでる頃よお行ったなぁ」
ソヒョン「社長まで…(呆)」
ティパニ「なんでみんな勝手に入って来るねん?」
ユリ「これもトンカスが持つ恐るべきパワーのせいや
テヨン「うそつけ」
ヨンミン「ワシが子供の頃、出来たばかりの新宿アルタの近くに”和幸”があってな。親父にねだって週一で通ったで」
IU「(ピクッ)”和幸”?」
ユリ「これも有名なトンカスチェーン店やな。社長がゆうてるのは紀伊国屋ビル店に違いない」
ヨンミン「リーズナブルな価格やのに、お米はコシヒカリ、味噌汁はしじみ汁と高級感があってな。しかもご飯のおかわり自由やねん」
IU「ああ、”和幸”行ってみたい!」
ヨンミン「あの壺に入ったチョコレート色のソース。それを揚げたてのトンカツにかける時のトキメキ。
  キャベツにかけるとソースに混ぜられた黒ごまが緑色に映えて、これもまたステキ。
  もちろん食べたらこの世の至福やねん。炊きたてのコシヒカリが何杯でもおかわり出来ちゃうんよねー」
IU「うう、もおたまらんわぁ(ペロペロ)」
ユリ「”和幸”のメニューはテイクアウトも出来るよ」
IU「ぴゃー、これから日本土産はトンカスに決まりですね!」
ヨンミン「そうとも。ま、ワシは日本育ちやから、ちゃんと”トンカツ”と発音出来るのだけれども(ほっほっほ)」
ティパニ「次元の低い自慢やなぁ」
テヨン「てか、この話、何処へ向かってるねん?」
ヨンミン「それはそうと、アイユよ、日本では一日三食トンカツを食うてたらしいな?」
IU「へえ」
ヨンミン「若いなぁ。ワシなんか、さすがに三食は無理や。一日二食、それもどちらかは茶漬けにしてあっさり食してるで」
ティパニ「うげ。トンカスをお茶漬けで?」
ソヒョン「気持ち悪いことしてるなぁ」
ヨンミン「アホ抜かせ。日本のトンカツ文化は奥深いんやぞ。新宿歌舞伎町の名大とんかつ”すずや”が60年も前からメニューに載せている伝統的な食い方や」
テヨン「理解出来んわ」
ヨンミン「うなぎにひつまぶしがあるように、トンカツにはトンカツ茶漬けがあるんじゃ。
  熱せられた鉄板の上には揚げたての美味しいトンカツと荒く切ったキャベツ。
  それに茶漬けに合うように調合された醤油ベースのソースがかけられて、ジュージューゆってるのをおかずに、まずご飯を一膳いただく。
  これがめっぽう美味い!」
IU「ひーっ」
ヨンミン「ご飯をおかわりしたら、半分ほど残しておいたトンカツとキャベツを上にのせ、迷うことなく急須のお茶をドバババっと。
  そしてこれぞ日本食の醍醐味、器を手に持ち口をつけ、箸で一気に掻き込むのじゃ」
IU「ああー、そんな食べ方が…。まさにトンカスの3段ブースター!」
ユリ「このトンカツ茶漬け、あっさりとしていくらでも食べられると、マニアの間では評判です」
ソヒョン「何のマニアや?」
ティパニ「いくらあっさり食えてもトンカスはトンカスや。美容食やないやろ?」
ユリ「もちろん食っただけ太りますよ」
ティパニ「駄目じゃん(がっくり)」
IU「ふ、太ってもええ。一日一食はそのお茶漬けを食いたい!」
テヨン「あとの二食は?」
IU「日本中の美味しいトンカスを探して食いまくる!」
ティパニ「だめじゃこりゃ」
ソヒョン「いずれ『トンカス』って自作曲をリリースしそうやな(笑)」
がちゃ
PD「(ぬっ)話は聞かせて貰った」
ティパニ「今度は『音楽中心』の監督かよ」
テヨン「なんなんだよ、この楽屋」
PD「美味いトンカス食いたかったら、大規模展開のチェーン店じゃあかん。いたずらに規模を広げず、常連に支えられて続いている個人店こそ本物や」
ユリ「それは確かに一理ありますね」
PD「ワシも日本に何年かおったさかい、うまいトンカス屋なら、多少心当たりがありまっせ」
IU「そ、それはどこですか?」
PD「例えば、目黒駅前の”とんき”」
ヨンミン「…! さすがや、そう来たか」
IU「ドンキ?」
PD「ドンキちゃう、”とんき”や。
  店内の中央を占めるのは厨房、その周りを囲むようにカウンターが数十席。
  ランチ時となると行列が出来る店だから、空いた席にはどんどん次の客が座りてんでに注文していく訳やが、店員さんは作業しながらこれを聞き分け、間違えることがない。
  しかも忙しく立ち働きながらも、ひとりひとりの客に目配りし、絶妙のタイミングで”ご飯おかわりしましうか?”などと声をかけて来るんや。
  そのサービスを見ているだけでもファーストフードやコンビニのマニュアル通りのサービスしか知らない人間には衝撃に違いない。
  『美味しんぼ』の原作者である雁屋哲氏もこの店のことを”サービスを見るだけで価値がある”と評した程や」
IU「そ、それほどの名店…行ってみたい」
PD「アイユよ、トンカス店にとって主役はなにか判るかね?」
IU「それはもちろん豚肉…いや、揚げ油か…まさかソースかも?」
PD「パボ野郎、お客様に決まってるやろうが!(ばちーん!)」
IU「うきゃあ!(ビターン)」
PD「どれほど有名になろうと、忙しかろうと、客商売である以上目の前で食事されているお客様が何より大切なのは疑うまでもない。
  ”とんき”の従業員はこの基本を忘れず、いかに気持ちよく食事をして貰うか、気配りを忘れることはないのや。
  トンカスの食い過ぎでぶくぶく太った今の自分に、どれほどペンを大事にする気持ちが残っているのかな?」
IU「…(ガーン!)」
PD「今夜のスペシャルステージかて、誰にでも与えられる名誉やないんやぞ。
  そやけど、自分はそのありがたさを忘れて”ちゃっちゃと済ませて美味しいトンカスの店を探しに行こう”などと考えていたのではあるまいな?」
IU「お、お見通しや、なにもかも…(がっくり)」
がちゃ
JUNIEL「目黒にはまだまだ美味しいトンカツの名店がありますよぉ」
PD「あ、ジュニエルちゃん(トローン)」
ティパニ「どんどん人が増えるなぁ」
テヨン「いっそ木戸銭とか取ろうか?」
JUNIEL「おはよーございます! 韓国の木村文乃ことジュニエルちゃんです(きゃぴ)」
IU「自分でちゃんづけすんな(シャーッ)」
JUNIEL「目黒駅から少し降りた権之助坂の途中には”とんかつ大宝”という小さなお店がありますけどぉ、ここは隠れた名店ですよ」
PD「あ、それは知らなかった」
JUNIEL「食通で知られる峰竜太さんや東MAXさんなどの下町芸人の方がよくお見えのようです」
ティパニ「峰竜太って芸人か?」
JUNIEL「テレビで紹介されることはあんまりないみたいなんですぅ」
IU「峰竜太が?」
JUNIEL「”大宝”ですよ。
  峰さんは一度なにかの番組で”日本で一番美味い”と口を滑らせ、慌てて”ここだけは教えたくなかった”とおっしゃったことがありました。
  つまり、そのっくらいホントにホントに美味しいお店なのです」
IU「あかーん、もおちびりそう」
テヨン「漏らすなら涎にしとけよ」
JUNIEL「実は作者の人も以前からここに通っていて、これまで食べたトンカツの中では一番美味しいと思っていたので、下町芸人の意見には納得したそうですよぉ」
ヨンミン「ジュニエルちゃんもちゃんと”トンカツ”ってゆえるんやな(感心)」
PD「そんなこと今更どうでもよくないすか?」
IU「そ、それで、その店のトンカスの特徴は?」
JUNIEL「それがぁ(ぴょん)特にないんですよぉ」
全員「はぁ?」
JUNIEL「メニューも普通、肉の厚みも普通、揚げ方も普通なんですねぇ。奇を衒ったところが何処にもないんです。
  ところが食べてみるとビックリするくらい美味しいんですよぉ」
ヨンミン「自然食材とかそゆうこと?」
JUNIEL「もちろん素材は良いもの使ってると思いますけど、それを特に強調する訳でもなく…なんてゆうかぁ自然体の良さなんですよ」
IU「自然体の良さ…」
JUNIEL「板前さんはお二人で交代制なので、特別な技を持った天才のみが出せる味って訳でもないようです。
  当たり前の材料を当たり前に調理して出してるだけってゆう泰然とした態度がとっても好感が持てると思いませんかぁ(見つめ)」
PD「(ぽっ)持てる、持てる。超好感やで」
ソヒョン「いちいち媚びを売るな」
JUNIEL「だからジュニも、ことさら奇を衒って才能をアピールしないで、思ったままの気持ちを歌にして、感じるままに歌っていこうと思ってるんです。
  そうしたら、いつかきっとそんな自然体の良さを判ってもらえるんじゃないかと…」
PD「うんうん、きっと判ってもらえるよ。ことさら脚を露出したり、高音張り上げて3段ブースターをしたりしなくても、ジュニちゃんには”大宝”のような本物の魅力があるって」
JUNIEL「ホントですか(ぴょ〜ん)、ジュニ、嬉しいですぅ」
PD「えへへへ」
テヨン「…やっとれんわ(呆)」
ソヒョン「そんなことより、MCとして一応訊くけど、アイユのスペシャルステージ、どうする気?」
PD「この狸腹じゃ無理やろ。中止や中止」
IU「ええっ?」
ソヒョン「そやけど、空いた穴どうすんの? ウチらのおしゃべりだけじゃもたへんよ」
PD「ジュニちゃんの自然体ライブに変更しよう」
テ/ティ/ソ「はぁ?」
PD「今のジュニちゃんの話でひらめいたんや。これからは自然体が一番。国民の自然体が第一や!」
テヨン「こいつ、思いつきで適当に喋ってやがるな」
ヨンミン「テレビ関係者はみんなそうやからね」
JUNIEL「ジュニ、嬉しいです!(ピョンピョン)」
ユリ「ちょっとアイユ、新人に出番奪われたで。どうする気?」
IU「う〜ん、せっかく時間空いたから、明洞の”さぼてん”にでも行こうかなぁ」
全員「(がくっ)懲りてへんやないか!」







※「なにか」さんの記事によると、IUは日本でトンカツばかり食べていたらしい。
 それであのお腹なのか、とちょっと納得。
 http://snsd3.blog112.fc2.com/blog-entry-539.html


※キム・ミンソン(女優)…映画『美人画』で大胆な濡れ場を演じて話題になった。
 が、とびきり美人という訳ではない。
    


※和幸って昔はアルタビルの上にあったような気がするな。