関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第297話 プリンセス・クダラ

その日光州が全停止した。


うふふふ… あははは… ←イメージ的効果音
ク・ハラ「はぁー、今夜は楽しかったわ」
ヨン・ジュニョン「ワシもや。…気をつけて帰れよ」
ハラ「うん。ほな、またね(てててて)」
ジュニョン「はぁ、行ってもうた。…なんて可愛いんや。このまま追い掛けて、なにもかもワシのものにしてしまいたい」
声「そんなこと、されてたまるか」
ジュニョン「ん?」
ぱかーん!
ジュニョン「わーっ…(ぱたん)」


………
……


パッ
ジュニョン「はっ!(がばっ)」
ナム・ギュリ「ようやくお目覚めか」
ジュニョン「あ、あなたは元SeeYaのギュリさん? (キョロキョロ)ここは?」
ギュリ「ここは光州特別市の地下にある百済国の国会議事堂や」
ジュニョン「光州…? 百済国…? いったいどうゆうことや?」
ギュリ「まぁ落ち着け、ハラちゃんのグーよ。いまからじっくり教えてやるさかい」
ジュニョン「ハラちゃんのグー…そんな変な言い方やめてくださいよ」
ギュリ「ほんならBEASTのヨン・ジュニョン、昨夜のデートは楽しかったか?」
ジュニョン「そらもお、ハラ坊は世界で一番可愛いんちゃうかなぁ?(デレデレ)」
ギュリ「なにがハラ坊や。サザンか、貴様」
ジュニョン「とにかく、そんな娘と公認でデート出来るんやから楽しくない訳がないっす」
ギュリ「なるほど。将来は結婚してもええと?」
ジュニョン「えー、それはちょっと気の早い質問やないですか?」
ギュリ「こうゆう問題は早い方がええんや。今後の教育もあるしな。
  で、どうなん? 返答如何によっては貴様の人生、180度転換するで」
ジュニョン「てゆわれても、なにがなんだか…」
がちゃ
テヨン「(つかつか)ギュリ官房長官よ、その者の本気度はいかがかな?」
ジュニョン「わ、今度はテヨンさんや」
ギュリ「これは総理大臣(へへー)。まだどちらとも返事を貰っておりませぬ」
テヨン「うーむ、煮え切らぬ奴やな。いっそ拷問とかしちゃう?」
ギュリ「ええですね(ニヤリ)。ムン・グニョンが箪笥の下敷きにしちゃうとか、ペ・スジが相撲で投げ飛ばしまくるとか、いろいろメニューがありますが、どれにしまひょ?」
テヨン「面倒や。ふたりとも呼べ」
ギュリ「御意」
ジュニョン「ちょ、ちょっと、拷問ってなんですか? グニョンさんとかスジちゃんとかにそんなことされたら、気持ちよすぎてハラ坊のこと忘れるかもしれんやないですか」
ギュリ「万が一そんなことになったら、貴様の首はねて、金大中先生の墓に一緒に埋葬しちゃうからな」
ジュニョン「ひえーっ」
テヨン「ハラちゃんのグーよ、よお聞けや。今から貴様に、我々湖南人だけが知る秘密を教えてやる」
ジュニョン「湖南人の秘密…?」
テヨン「時は1400年ほどさかのぼる。三国時代末期、新羅・唐の連合軍に攻め入られた百済・倭の軍は、白江の戦いに敗れ百済の王朝は滅びた。だが、その血脈は密かに生き延びていたのや」
ギュリ「豊璋王の弟君”善光”が倭に逃れたんやな」
テヨン「この辺、適当にNHKスペシャルみたいな感じで、脳内でCG再現しながら聞いてや」
ジュニョン「出来ませんよ、そんな器用なこと」
テヨン「ほな字面だけで頑張って付いて来いや。
  その子孫の多くは日本人として東の島で生き延びることになったのやが、志高き一部の者は、数年後再び朝鮮へ戻った。何故なら、朝鮮半島全体が大陸からの圧力で危機を迎えておったからや」
ギュリ「つまり、新羅と唐の連合軍は百済に続いて高句麗も滅ぼしたが、結局唐が半島を支配しようとしたため、羅唐戦争が起きることとなった訳やね」
テヨン「ここで活躍したのが、倭から半島へ戻った、百済王の血を引く者や」
ギュリ「かつての遺恨を乗り越えて、朝鮮半島全体のために命を賭したんやで」
テヨン「羅唐戦争の結果は学校で習うたやろ?」
ジュニョン「へえ。確か新羅が唐を追い出して、半島を統一したと」
テヨン「その通り。百済王の血を引く者たちは羅唐戦争での活躍を認められた。そして密かに新羅政府と取引をして、旧百済の土地を取り戻したんや。
  ただし折角統一された半島を再び分裂させないよう、そのことは湖南人だけの秘密にするゆう約束になっている」
ジュニョン「マ、マジっすか?」
テヨン「マジっす。それから1400年も、百済国は光州市の地下でひっそりと存在し続けて来たんや」
ジュニョン「そ、それは朝鮮史の常識を覆す驚愕の真実や」
ギュリ「後百済建国、麗水・順天事件光州事件など、歴史の陰にはいつもウチら百済国の存在があったんやで。
  そして貴様の恋人ク・ハラ様こそ、なにを隠そう第67代目の百済王女なのである!」
ジュニョン「マジでー?(ぴゃー)」
テヨン「もちろん本人は知らないことや。ウチらの使命は、そうやって歴代の王女を陰から守り続けることでもある。
  だが、その王女をもてあそぶような男が現れたら、容赦なく首をはねる!」
ギュリ「永年守り通してきた血筋やからね、何処の馬の骨ともわからない血を混ぜる訳にはいかないんよ」
テヨン「貴様も南道の男、一応の資格はある。真剣にハラ姫のことを思っていればそれでよし。これから徹底的に王族としての教育を施して、百済女王の夫に相応しい男になっていただく。
  が、もし中途半端な気持ちでつきあっておるのやったら…」
がちゃ
ムン・グニョン「♪箪笥がよ〜、箪笥が150屯〜。おーい、拷問の準備出来たで」
ジュニョン「ひーっ」
グニョン「この箪笥の下敷きになったら体中の関節がメリメリ言っちゃうよ」
がちゃ
ペ・スジ「どすこ〜い、どすこい。ねえねえ、49手目のきまり技を考えてみたんやけど、ジュニョンにいさん相手に試したってもええかな?」
ジュニョン「わひゃーっ」
がちゃ(わらわら)
ユノ・ユンホ「ハラのグーを確保したって? なんか手伝うことある?」
コン・ミンジ「2NE1のウチも拷問なら自信あるで」
チュ・ヒョンミ「少女時代のソヒョンと『チャラジャチャ』をデュエットしたヒョンミです。意外に知られてませんが、ウチも光州出身なんですよ」
ユンソナ「どもー、ホンマは反日家のユンソナでーす。ジュニョンの奴を日本人と思っていぢめてやりまーす」
ジュニョン「た、たすけてーっ!(じょじょじょじょじょーーー)」


………
……


ジュニョン「はっ!(がばっ)」
ハラ「ようやく起きたん? DVD終わってしもうたよ」
ジュニョン「あ、ワシ、映画始まったとたん居眠りして…」
ハラ「疲れてたんやね。せっかく堤真一が格好良かったの」
ジュニョン「なんでおっさんなん? せめて岡田将生ゆえよ」
ハラ「あはは、さて次はなんの映画見ようかなぁ」
ジュニョン「まだDVD借りてたんか?」
ハラ「うん。えーとあとは『全州ホルモー』か『シカ男ぱんみょんす』があるけど、どっちがええ?」
ジュニョン「勘弁してくれ(げっそり)。もう全羅道シリーズはたくさんや!」







※『プリンセス・トヨトミ』…日本の小説家万城目学による長編小説。
 『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』に続く関西三部作のひとつだが、ファンタジー色は薄められている。
 2011年5月、東宝系で映画化された。
     『プリンセストヨトミ』予告編
    映画はタイトルに中黒がない。


※南道…光州を中心とした全羅南道一帯のこと。
 後百済の頃から中央政府によって虐げられ、差別化されてきた歴史を持つ。
 1980年の光州事件は、軍事クーデターを起こした全斗煥アメリカに対して権力誇示するため、もっとも犠牲にしやすい光州を目標としたと言われている。
 歴代の大統領で南道出身者は金大中しかいないのも、政治的に成功するのが難しい土地柄であることを示している。
 その分体制に対する批判精神を持ち、多くの文化人を排出しており、枚挙に暇がない。
 ヨン・ジュニョンの出身地を調べてもわからなかったのだが、彼が在籍する東新大学は全羅南道の羅州市にあり、これをもって南道の人間とした。