関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第172話 Direct Business PART.02

ずるずる、ごん、ずるずる、ごんごん
ユナ「ひゃー、相変わらず重いなぁ」
ソニ「(ごしごし)うきゅ〜、超ねむーい」
テヨン「またこんなバカな営業をする日が来るとは」
ヒョヨン「世間に知れたら国賊やぞ」
ユナ「みんなネガティブやなぁ。Day by Dayや、”ええことだけ考えよう”ゆうてね」
全員「むかー(この営業終わったらコロス)」


ジェシカ「鈍い後頭部の痛みと共に寝覚めると、私は飛行機に乗せられていました。
  ロシア製の超音速ビジネスジェットスホーイガルフストリームS−21です。
  公演だと聞かされていたのに、メンバーの他にはマネージャー陣もヘアメイクさんもスタイリストさんも乗っていません。
  黒服の男たち数名に囲まれて、メンバーはみな押し黙って冷たい汗をかいていました。
  再び寝てしまったのでよくわかりませんが、おそらく小1時間ほどの飛行の後、スホーイは静かな空港に着陸しました。
  歩きながら空港の看板を見ると、なにか漢字が書いてありました。そう、そこは韓国ではなかったのです。
  驚いたことに、私たちは税関を通ることなく空港を出て、中国製のリムジン”紅旗HQE”に乗せられました。 
  車内がとても快適なので三度寝てしまったのですが…」
スヨン「よくまぁあの状況で寝れるよなぁ」
ジェシカ「おそらく2時間ほど走ったと思います。リムジンは湖畔のとても大きな洋館の前に止まりました。どう見てもお城です。
  城の周りを重武装した兵士が警護していましたが、明らかに韓国軍の制服ではありません。
  このとき初めて、私は、自分が半島北部にいることに気づきました。ユナが勝手に取ってきた例の直営業のようです」
ソニ「もっと前に気づかんかい、ボケ」
ジェシカ「聞くところによると、このお城でこれから、半島の北半分を治めている偉い人たち相手に余興をするのだそうです。
  いつも通り『Gee』と『願いゆうたらんかい』と『運転手はん』を演ればいいと言われています。
  私たちの世話をしてくれる黒服の人たちは、みな言葉使いは丁寧で、腰も大変低いのですが、異様な威圧感があります。
  まだ私がちゃんと目覚めてないせいかもしれませんが、みなさんスーツより制服が似合うような気もします」
ユリ「気のせいやない」
ジェシカ「非常に変わった愛嬌です」
ソニ「それはもおええ」
ジェシカ「とにかく私たちは今、楽屋で待機しています。今度も無報酬に終わってしまうのか、それ以前に無事に国に帰れるのか。
  そう思うと、やる気出ないこと甚だしいです」
ユナ「えー、やる気だそうよ」
テヨン「ポジティブすぎるんじゃ、ボケ(ごつん)」
ユナ「きゃいーん、きゃいーん」
がちゃ
黒服「(ぬお)少女時代様、出撃お願いします」
ユナ「はーい!」
ティパニ「今出撃ゆわへんやった?」
ユリ「やっぱりスーツの中身は軍人かよ」
ソニ「危険やなぁ(汗)」


♪そうや ウチは自分を愛しとる
 いつでも信じてや
 夢も情熱も みんなあげまっせ
 ウチは 自分の願いを 叶えるで
スヨン「よっ、ほっ(すちゃすちゃ)」
ソニ「うーん、ご出席のお歴々がニコリともせえへんな」
ティパニ「この程度の脚上げより、金日成広場での行軍の方が揃てるからなぁ」
ユナ「アホか。栄養失調のにいちゃんらの脚上げより、ウチらのナマ脚の方が魅力的に決まっとる」
ジェシカ「北の奴らがなに考えてるかなんて、わかるもんか」
♪願いをゆうたらんかい(ジャーン)
観客「(ぺちぺちぺち)」
少女時代「あんにょんはせよ〜、少女時代でーす!」
ユリ「私はぁ、平壌冷麺が大好きでぇす」
ソニ「北側に来れてほ〜んとに嬉しいです」
観客「(しーん)」
テヨン「(ひそひそ)うひゃー、沈黙事件以来やな、こんな空気」
ティパニ「とにかく、さっさと演って帰ろうぜ」
ヒョヨン「んだんだ」
♪TOKYO PYEONGYANG LONDON NEW YORK
 気ままに 世界を Drive tonight (なんて出来ない国なのよ)
 各地で 披露する New Style (未だに女子アナが韓服Style)
 見たことないモノだけ 見せたげる (見たくもないモノばかり)
 …
 けど簡単にはいかないのよ (じゃーん)
観客「(ぺちぺちぺち)」
少女時代「ありがとごじゃましたー!」
スヨン「それ引き上げろ」
そそくさそそくさ
ソニ「うひゃー、なんとか演りきったな」
ヒョヨン「脇汗ハンパねえ」
テヨン「よし、ユナ、さっさと取っ払いのギャラ貰って来いや。一刻も早く帰還するぞ」
がちゃん
黒服「(ぬお)皆様方は、これから将軍様と会食の予定があります」
ユナ「え? そそそれは聞いてないんですけど」
黒服「将軍様が大変お気に入られて、是非一緒にお食事をされたいとのことです」
テヨン「気に入ってたん、あれで?」
ユナ「でも、あんまり時間ないんで」
黒服「将軍様に逆らうと銃殺ですよ。それにボーナスとしてあと1億ウォン支払うとおっしゃっています」
全員「い、1億?」
ジェシカ「一体いくらで受けた営業やねん。ウチらには100万ずつゆうて、大半を着服する気でいやがったな」
ユナ「ぴゃー、ばれた」
全員「貴様、粛清してやる!」
どったんばったん…


ジェシカ「それから私たちは偉い人たちと会食し、北の観光名所を無理矢理案内され、数々の枕営業をこなし…」
テヨン「してへんわ、枕営業なんか(ごちん)。適当に作るな」
ジェシカ「いててて。とにかくいつまでも帰してもらえそうになく、あげくに悦び組に入れられそうになったので、とうとう力尽くで脱出することにしました。
  油断した黒服を叩きのめし、武器を押収した後、メンボの思いは一つでした。”今度こそただ働きはイヤだ”
  そこで、労働党本部の金庫を襲撃して、ギャラ代わりに麻袋に詰め込めるだけの美ドルや韓国紙幣を略奪しました」
ヒョヨン「そうやって冷静に報告されると、ウチらがとんでもないヤカラみたいに聞こえるな」
ソヒョン「襲撃のシーンはサム・ペキンパー監督で映画化して欲しかったわ」
ジェシカ「まぁそんなヴァイオレンスを繰り広げつつ、これまた奪ったトラバントに9人乗りこんで、ひたすら国境を目指したのです。
  板門店を強行突破すると南側にも顔がばれてしまう可能性が高いため…」
ソニ「国境警備の若い兵士、ウチらのペンが多いからなぁ」
ジェシカ「かつて北が掘った第3号トンネルから侵入、国境真下の隔壁を蹴り飛ばして、やっと38度線の南側に逃れてきたのです。
  しかし、気がつくとここは地雷原のまっただ中。私たちは身動きがとれずに途方に暮れています」
テヨン「状況説明、再びご苦労さん。どうする? このまま突っ立っといても事態は好転せんで」
ソニ「ソン・ガンホが助けに来てくれるかもしれへんで」
ユナ「あの人は今『青い塩』に出演中やからそんな暇はないやろう」
テヨン「とりあえず、若いモンから順に並んで強行突破するか」
ソヒョン「いやや。ウチが真っ先に死んでまうやないの」
テヨン「げっへっへ。人は石垣人は城ゆうてな。最後にひとりでも生き延びれば勝ちや」
ソニ「アホか。ひとりでも欠けたら少女時代は終わりや」
ユナ「(おねえが欠けても大丈夫かも、と思うたけど黙ってよ)」
ヒョヨン「ここはウチにまかせえ」
ティパニ「ええ? どうすんの?」
ヒョヨン「走る!」
全員「は?」
ヒョヨン「ものすご速う走ったら、たとえ地雷を踏んでも爆発する前に殺傷半径外へ逃れられるはずや」
スヨン「なんか”沈む前に次の一歩を踏み出せば水の上も歩ける”ゆう理論に近い気がしますけど」
ヒョヨン「大丈夫や、ウチは芸能界一の韋駄天娘。地雷なんか屁でもないわ」
テヨン「じゃあおまかせします(あっさり)」
ユナ「止めへんのかい(やっぱりテヨンねえもひとりくらい欠けても平気思うてるんやな)」
全員「頼んだで」 ← みんなそう思ってる
ヒョヨン「ウチが通った後をついて来いよ。ほな行くでぇ!(どん)」
しばばばばば!
どかーん!
ソヒョン「わ、いきなり踏んだ!」
ユリ「ヒョヨンは?」
どかーん!!
ソニ「おお、その先でまた爆発が…」
スヨン「ちゅうことは、最初の地雷の殺傷範囲は無事駆け抜けたゆうことやな」
テヨン「さすがヒョヨン。ウチは信じとったで」
ユナ「(ウソつけ)」
しばばばば!
どかーん! どかーん!
ティパニ「すげえ。奴は今ウサイン・ボルトより速く走っとるで」
ヒョヨン「わはははは! ああ、神が見える…あっ(こけ)」
どかーん!
ソヒョン「わー、こけたところに地雷が!」
ジェシカ「これはさすがに死んだやろ」
ヒョヨン「ぶほっ、ごほっ…真っ黒になっちゃった」
ソニ「昭和のコントか!」


………
……


がちゃ
スヨン「ひゃー、やっと帰って来たで」
ユリ「一時はどうなるかと思うたわ。ああ、足痛い」
ヒョヨン「とりあえずシャワー浴びて火薬の炭を落としたいわ」
ソヒョン「結局あの後3発地雷踏んだからなぁ」
テヨン「普段から過酷な修練を積んどるウチらやなかったら、とてもDMZを抜けることはかなわんやったろう」
ソヒョン「そうゆう問題か? 漫画にしてもお粗末すぎる展開やないか」
ユナ「それより(ずるずる)この金山分けしようや。麻袋いっぱいやからひとりあたり何十億もあるで(うきうき)」
ジェシカ「アホか。もうちょっとで北に永住する羽目になったんやで。何十億でも安いっちゅうねん」
ソニ「ホンマや。そもそも自分がせこい小遣い稼ぎなんて画策するからこうゆうことになるんや」
テヨン「よって自分の取り分はなし。この金は8人で分けるわ」
ユナ「えー、また?」
ソニ「文句ゆうなら全部叔父さんに報告するで」
ユナ「そ、そんな(へなへな)」
スヨン「えっへっへ、金持ちになったなぁ。なに喰おうかなっと」


ネットニュース記事:少女時代のメンバー、ニセ札で逮捕
 昨夜未明、人気アイドルグループ少女時代のスヨン(本名チェ・スヨン/22歳)がハンバーガーショップで買い物をした後
 使用した紙幣に不審な点があるのを店員が気づき、警察に通報した。
 スヨン容疑者はその場で、通貨及証券模造取締法違反で逮捕された。
 スヨンが持っていたニセ札は、ひと目で偽造と判る粗悪品だった。
 警察では北側が製造した物ではないかと見て、入手ルート及び余罪の有無についてスヨン容疑者を追及する方針である。







※「ああ、神が見える」…小山ゆうの漫画『スプリンター』より。
 100mを10秒切るスピードで走ると、脳内麻薬の過剰な分泌により神の世界が見える、と言う無茶な設定だった。
 その理屈だとウサイン・ボルトは完全にあっちの世界の住民てことになる。