関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第123話 宇宙アイドル、襲来!


店員「お待ち! ソーセージ麺・豚の頭丸ごとトッピング」
テヨン「あ、こっちです」
スヨン「おにいちゃん、あとナマコ餃子3人前追加で(ズルズル)」
店員「へい、ありがとやす!」
ジェシカ「よお食うなぁ(ズズッ)」
スヨン「自分かてその原始肉ラーメン、特盛りにしとるやないか」
ジェシカ「アホか、特盛りは肉だけじゃ。麺は1玉半に抑えとる」
クッキーマン「たいがいにせんと、また活動前のダイエットがきつくなるで(ズルズル)。ちょっとそこの食べるラー油、とってくれへん?」
ティパニ「(ほい)わ、見て見て、あれUFOちゃうか?」
ユリ「どないした?」
ティパニ「店の奥のテレビでニュースやっとるんやけど、”東京上空に巨大宇宙船出現”やて」
ソニ「ホンマや。皇居の上に馬鹿でかい円盤が浮いとるで」
テヨン「ウチは幽霊やUFOは信じません」
ティパニ「信じへんのは勝手やけど、現実にUFO来ちゃってるやないか」
ジェシカ「すげー。でかすぎて端が見えへんわ。差し渡し何キロあるんやろ?」
ユナ「ドラマか映画とちゃうの?」
ソヒョン「いや、これは間違いなくニュースや。9.11以来の衝撃映像やな」
スヨン「ひゃー、宇宙人か。とんでもないことになったな」
ソニ「店の表でもみんな空見上げてなんか叫んでるわ」
クッキーマン「そういやさっきまでピーカンだったのに、今は曇っとるな」
ジェシカ「まさか、この上にまでUFOが…」
ティパニ「そんなにでかいんか? 恐ろしい科学力やな」
テヨン「そんな巨大宇宙船が東京上空を覆っているとすると、次に考えられることはただひとつや」
ジェシカ「なんや?」
テヨン「傘屋が潰れる(きっぱり)」
全員「(がく)その程度ですむか、アホ!」


アナウンサー:突如飛来した巨大宇宙船と思われる飛行体の数は全世界で22機。
  それぞれが単独で、ワシントンDC、パリ、モスクワ、リオデジャネイロ、ニュー・デリー、北京、東京、ソウルなど主要国の首都上空ほぼ2000メートルの位置に静止しています。
  宇宙船はほぼ円盤状をした金属製と見られる構造体で、直径はおよそ24キロ。多くの都市中心部がその影の下に入っています。
  ここソウル上空の宇宙船も中心は市庁舎の真上にあり、ソウルの大半が円盤に覆われた形です。
  円盤の影から逃れようとする人々が道路にあふれ、渋滞と暴動で現在都市機能は完全に麻痺しています。
  大統領は異例に早い時点で非常事態宣言を発し、市全域を軍の統制下に置きましたが、それでも市民のパニックを納めるには至っていません。
  大統領は引き続き声明の中で「飛行体が未だ攻撃して来ないところを見ると、友好的な相手である可能性が高い。
  市民の皆さんが落ち着いて行動することを望む」と述べましたが、状況は依然変わっていないようです。
  各国と国連はさまざまな手段で宇宙船とコンタクトを取ろうとしていますが、今のところ宇宙船側からの反応はありません。


記者:ソウル上空3000メートルのヘリコプターからリポートしています。今、ようやく謎の円盤の上側に出ました。円盤の厚みは数百メートルはありそうです。
  見渡す限り奇妙な構造体がフラクタルを思わせる模様を描いています。地上から見える円盤の下面とよく似ています。
  専門家ではないのでこの構造の意味はわかりませんが、今まで人類が築いてきたものとまったく異なっているという印象を持ちます。
  やはりこれは宇宙人の乗り物なのでしょうか? あ、前方から空軍の戦闘機が撃って来ました。早くこの空域を離れるよう威嚇しているようです。
RDR1:(ズコー)ロンデビフォー、こら、勝手に撃つな! 発砲許可は出しとらんで(ズコー)
RDR4:(ズコー)ロンデビワン、こちらロンデビフォー。そやかて隊長、あんなんにうろちょろされたら、いざというときに自由に動けまへんで(ズコー)
RDR1:(ズコー)民間ヘリなんか翼を振って誘導せえ。万が一円盤に弾が当たったらどないするんや。宇宙戦争になるで(ズコー)
RDR4:(ズコー)ロンデビワン、ロンデビフォー、AOK(ズコー)
  なんやつまらへんなぁ。せっかく宇宙人とのファーストコンタクトの機会やのに、ハエみたいに飛び回るだけかいな。…わっ、なんじゃありゃ!
  (ズコー)ロンデビワン、ロンデビワン! こちらロンデビフォー。2時の方向、構造体が動いてます。なんやハッチみたいなんが開いてるように見えまへんか?(ズコー)
RDR1:(ズコー)ロンデビフォー…ホンマや、視認した。あ、さっきのヘリが近いてるで。ロンデビスリー、ロンデビフォーと一緒に追っ払え(ズコー)
RDR3/4:(ズコー)AOK!(ズコー)
記者:たった今、円盤の上面に動きがありました。ご覧いただけるでしょうか? 奇妙な構造の一部が動いています。中から…(ぐらり)わーっ、危ないやないかお前ら!
  空軍の戦闘機が我々の取材を阻止しようと、周りを飛び回っています。乱気流でヘリが煽られて大変危険な状態です。
  ああっ、構造体の中から、今小型の円盤が飛び出しました! 陽光に負けないほど光り輝いています!
RDR1:(ズコー)報告しろ!(ズコー)
RDR4:(ズコー)ロンデビワン、ロンデビフォー。ちっこい円盤が出てきました。不思議な光を発しながら地上を目指しています!(ズコー)
RDR1:(ズコー)民間ヘリは?(ズコー)
RDR3:(ズコー)無事です。小型円盤は一切敵対するような行動を取りまへんでした(ズコー)
記者:小型円盤が我々のヘリを掠めて行きました。その時一瞬でしたが、光とともに何とも妙なる音楽を耳にしたような…あれは、なんでしょう? …天国の調べと言ったらよいのか。
  あんな音楽を奏でる存在が人類に敵対する訳はありません。なぜか判りませんが、そのことだけははっきり断言できます!


♪ピンポ〜ン
CA「当機はまもなく仁川国際空港に着陸しまーす」
スヨン「えーっ? 金浦に下りへんの?」
クッキーマン「上空にどっかり円盤がおるさかい、金浦は離発着禁止やて」
スヨン「仁川なんかに下りたら、晩飯遅くなるやんか」
クッキーマン「贅沢ゆうな。一歩遅かったら全面的に航行規制されるところやったんやで。ミュージックステーションの出演をドタキャンしてまで成田に行って正解やったわ」
ソニ「t.A.T.u.以来の出来事やゆうてプロデューサー、めっちゃ怒ってたけどな」
テヨン「勝手に怒らせとけ。頭の上に謎の円盤が浮いてるときに、誰がのんびり歌番組なんか見るか」
ヒョヨン「そやそや。一生国に帰れんようになるよりよっぽどええ。今回ばかりはあんたの行動力、見直したわ」
クッキーマン「自分らのおもり任されとるくらいや、ワシはやればできる子やねんど」
ヒョヨン「はいはい」
ティパニ「あ、あれやないか、例の円盤て?」
ユリ「どれどれ、わー、ホンマや。こんな距離からでもはっきり見えるわ」
ユナ「どんだけでかいんや」
ジェシカ「科学力が違いすぎる」
ソヒョン「あんなんに襲って来られたら抵抗のしようがないなぁ」
スヨン「わっ、なんか光った」
テヨン「んん?」 ← 近眼
スヨン「でかい円盤から光の粒がソウルに降りて行ったで」
ティパニ「マジで? いよいよ攻撃か?」


記者:こちらは小型の円盤が着陸した蚕室オリンピックスタジアムです。
  すでに軍隊と機動隊が周囲を封鎖し、我々ごく限られた取材スタッフだけが中に入ることを許されている状況です。
  スタジアムの外には、宇宙人を一目見ようと大勢の市民が詰めかけています。あたりは異様な緊張と興奮に包まれております。
アンカーマン:ハンさん、円盤の様子はいかがですか?
記者:着陸から20分ほど立ちましたが、今のところ動きはありません。
アンカーマン:映像では、こちら側の脚の上にハッチのようなものが見えますね?
記者:はい。あの脚のようなものが降着装置なのは間違いないようです。しかし、その上のアーチ状のものがハッチなのか単なる模様なのか、今のところは判りません。
  ハッチとすれば、この円盤を作った存在は人間とほぼ同じ位の大きさと思われます。
  あっ、今その構造物が動きました。どうやらハッチだったようです。…ハッチが開きます!
アンカーマン:ハンさん、兵士が邪魔でよく見えません。詳しく伝えてください!
記者:ハッチが開いて、内部から地上までスロープのようなものが降ろされました。そして人影が…。円盤の中から人が出てきます!
アンカーマン:人ですか? エイリアンではなくて、人ですか?
記者:判りません。人に見えますが、人と呼ぶにはあまりにも神々しく…う、美しい…。
アンカーマン:ハンさん、どうしました? リポートを続けてください!
記者:(はっ)失礼しました。現れたのはふたりです。どうやら男女1名ずつのように見えます。
  どちらもゆったりした光り輝く衣装を着て、長い髪にひまわりのような飾りをつけています。
  見えますでしょうか? 周囲を見回しながら、にこやかに手を振っています。友好的な態度です。
  チェ大統領代行がゆっくりと円盤に近づいています。両手を広げ、敵意がないことを示しています。
大統領代行:大韓民国を代表して、みなさんを歓迎します。我々の言葉が理解できますか?
記者:大統領代行の挨拶に頷きました。どうやら言葉はわかるようです。それにしても…(はぁはぁ)
アンカーマン:ハンさん、ずいぶん興奮されているようですが、大丈夫ですか?
記者:あれはやはり人間ではありません! 人間とは思えないほど完璧な姿をしています。今スロープを降りて大統領代行の前に立ちました。何か喋るようです。
宇宙人:♪あ〜〜〜
記者:なんだ、この声、この調べ…天使や…! うひゃ〜!
アンカーマン:ハンさん、ハンさん!


ファン「わー、少女時代や! 可愛いー! ティパニー! ユナー! サインしてー!」
クッキーマン「はいはい、ちょっと通してね。今急いどるからまた今度ね」
ティパニ「(てくてく)到着ロビーのテレビ見てみ、UFOのニュースやっとるで」
スヨン「(てくてく)えー? 蚕室に降りたんか? そこそこ事務所に近いやんか」
ユナ「あの円盤から女が出てきて歌い出したりしてな」
ヒョヨン「ヒョリ姐さんかよ!」
ソヒョン「あ、出て来た!」
テヨン「わ、スゲー美人! 人間か?」
ヒョヨン「しかもホンマに歌い出したで(ひえ〜)」
宇宙人:♪あ〜〜〜
クッキーマン「な、なんじゃ、この歌は?」
ジェシカ「アイユの3段ブースターどころやないな。まるで3万段ブースターのような…」
ティパニ「例え下手やなぁ」
ユナ「とにかく人間離れした美しさや」
ユリ「人間やないからな」
ファン「あはぁ〜(うっとり)」
ふらふら…
クッキーマン「見てみ。今までつきまとっとった自分らのペン、全員テレビの前に行ってもうたで」
ソニ「目の前の少女時代より、ニュース映像の宇宙人にかぶりつくとは…」
ソヒョン「ぎゃ、逆マクロス…(汗)」
テヨン「こりゃあ、シャレにならんぞ」


パーパー、パーパッパッパー! (Jeff Newmann And His Orchestra :『Positive Force』)
タワラ:今日の『朝から生テレビ』はもちろん先週地球に来た宇宙人のことがテーマやねんけど、イシハラさん、連中のこと、少しはわかったの?
政治家:それが連中がマスコミを通じてゆうとることそのままなんで、政治筋としては隠すことがありまへん。
タワラ:なんたらゆう星から友好のためにやって来た、ちゅうこと?
天文学者:オリオン座のミンタカゆう恒星ですわ。地球から900光年離れてます。
タワラ:なんや、世間では宇宙人を天使族と呼んでるらしいけど?
政治家:連中が呼んどる種族の名前は人間に発音出来へんので、ネットから勝手に流行りだしてしもうたんです。
  ただ、世界中でほぼ同じ意味合いの呼び名が定着しとるし、多分彼らを表すにはこれが一番ふさわしいかと。
  確かに男も女も桁外れの美形ぞろいで、実際天使みたいに見えますし。
宗教家:あれは天使です。間違いない。オリオン座の方角から来たことがその証拠です。
SF作家:アホか? 天使なんておるわけがない。あれは高度な科学力を有した宇宙人や。
宗教家:あの目も潰れんばかりの神々しさ、天使以外の何者でもありません!
SF作家:そやかて、本人たちが宇宙人やゆうてるんやから。
文化人類学者:天使なら羽があって、性別がない。そやけど連中には羽根がないし、ちゃんと雌雄二性別です。
物理学者:あれほど巨大な円盤を大都市上空に浮かべるテクノロジーがどれほどすごいか判りまっか? 連中は重力制御を可能にしとるんでっせ。
  聖書に出てくるような天使ならいちいちそんな機械は作らんでしょう。
タワラ:そんなすごい技術なの?
SF作家:人類はまだ重力の根本原理すら解明してへんのやもん、数百年は先行ってますわ。
物理学者:それに連中が使ってるコンピュータ、あれBEC量子タイプらしいけど、そこだけとっても我々に太刀打ちできる科学力やない。
SF作家:超光速航法も可能にしとるし、もお万物理論さえ解明してるんやないですか?
物理学者:連中にこそっと聞いた話じゃ、E8理論にスーパーストリングを応用すると万物理論になるらしいで。
SF作家:ホ、ホンマ?(大興奮)
物理学者:そやけど、今の我々の計算能力じゃ何億年かかっても解明出来んらしい。
SF作家/物理学者:BEC量子コンピュータ、欲しいなぁ(ため息)
タワラ:それほどの科学力を持った宇宙人が、我々を滅ぼす気になったら簡単やないの?
SF作家:そらもおあっとゆう間でしょう。
政治家:やのに、全然攻めてくる気配がない。友好のために来たゆう言葉を信じざるを得ないんですわ。
タワラ:その友好の手段が、あの歌でっか?
政治家:歌ゆうか、連中の言葉が歌みたいに聞こえるんですわ。そんで向こうの代表も”それやったら人間の歌を覚えてみよか。ワシらに合うてるかもしれまへんな”ゆうてます。
文化人類学者:つまりより高次なコミュニケーションの手段として、我々の文化である『歌』を活用しようゆう気になってるんですね。
タワラ:普通の話し声さえ天使の歌みたいに聞こえるのに、本気で歌い出したら世界中の歌手が廃業に追い込まれるかもしれへんな。
政治家:いや、もおそうなってますで。


ネットニュース記事:『世界を制する天使族アイドル』
 天使族が歌を覚えた瞬間から、地球人の歌手は生きる術を失った。あっさりお払い箱になったのである。
 それほど天使族のパフォーマンスは人間を凌駕している。一度見聞きしたら、もう人間の歌が雑音にしか聞こえないのである。
 記者もいまさら人間の音楽を聞こうと思わなくなった。悲しいことではあるが。 
 天使族の歌手は、もともとスポークスマンとして教育を受けた者が担当しており、各国に数十人ずつ配置されているようだ。
 それも各国の好みに合わせて微妙に異なるタイプが存在する。
 例えば、欧米では目鼻立ちのはっきりしたパワフルな天使族が多く、白人系も黒人系もいる。日本ではやさし気な草食系が主流だ。
 そしてわが韓国では、男はキリッとしたモムチャン系、女性は手足がすらりと長いモデル体系のアイドルが多い。
 女性天使族9人のユニット”天使時代”はたちまち韓国中のメディアを席巻してしまったし、ソロ歌手の”ウイユ”も彼女らに続く人気となっている。
 彼らの声を聞くたび、我々が至福の思いに浸るのは仕方がない。彼らはまさに天上の存在なのだ。
 そんな存在に、かつてどれほど人気があったか判らないが、たかが人間のアイドルが太刀打ちできるはずがないのである。
 地球人は今後自ら歌わず、享受して生きるのみとなったのだ。
 (記者:チェ・ハングン)


タモリミュージックステーションでーす。
竹内アナ:今夜のゲストの方々です。
ひらひら(入場)
竹内アナ:先週まで嵐が頑張ってましたが、今週から出演はすべて天使族のアイドルの方々になってしまいました。
タモリ:ま、仕方ないんじゃないの(笑)。女子アナも全部天使族になったらええのに。
竹内アナ:貴様、殺すぞ!
タモリ:それでは1曲目、天使族イージマリさんで『1G-LOVE』。準備お願いします。
イージマリ:ハーイ(ててて)
タモリ:おお、駆ける姿も夢のようやな(でれ)
ジャーン
♪1G-LOVE、1G-LOVE
 彼と宇宙旅行でやってきた〜太陽系の第3惑星、直径12700キロ
 久々の大地、嬉しいな〜太陽系の第3惑星、推定年齢46億歳
 1Gって素敵だな〜1Gって愉快だな〜
 1G-LOVE、1G-LOVE
 体がどっかり四股を踏む〜
観客:わー! キャー! イージマリッ! イージマリッ!(パチパチパチ)


ネットニュース記事:『地球人アイドルの苦難』 
 駆逐され行き場を失った韓国の地球人アイドルたちが、マスコミに対して行った抗議。それが発作的に暴動へと発展したことは双方にとって不幸としか言いようがない。
 その結果、アイドルたちは国内数箇所の居住区に隔離されることとなった。これは他の国では例のないことである。
 韓国のアイドルにとって不幸なのは、彼らの育成方法にある。これまで韓国のアイドルは幼い頃から徹底的に歌やダンスを鍛えられ、学校に行く暇もなかった。
 それがアイドルを廃業するしかない事態となっても、正常に社会に適応できない要因となっているのだ。彼らはお払い箱となった後も、歌い踊ることしか出来ないのである。
 その結果かつてアジアを席巻したK−Popの旗手たちは、今、大衆から隔離され荒んだ生活を送っている。
 鬱になり自殺を図ったアイドルも少なくない。
 天使族もこのことを憂慮し、天使族と地球人とのジョイントを試みたりもした。しかしその結果、天使族ミンメイと地球人チョン・ヒョンドンのユニット”InkyBlack Nest”による楽曲
 『私の彼はコメディアン』は、チョン・ヒョンドンと美人放送作家として知られる夫人のハン・ユラさんとの離婚という最悪の結果しか残さなかった。
 さらに、気がかりなのは反地球人アイドル勢力の台頭である。これはかつて熱狂的だったアイドルファンが転じるケースが多い。
 彼らは、かつて自分が崇拝したアイドルを糾弾することで、天使族への贖罪としようとしているのである。
 天使族もそのような行動を諌めてはいるが、反地球人アイドル勢力は日に日に過激さを増し、元アイドルたちへ攻撃を加えている。
 (記者:コ・ウニョク)


………
……


ヒョヨン「(ザバッ!)それ、そっち行ったで。一匹も逃すなよ!」
ソルリ「わー、速い!(あわわ)」
ジェシカ「もお、ドン臭いなぁ。そこどきっ。へっへっへ、いらっしゃい、オタマジャクシちゃん(さささ)。ようこそ、ウチの網の中へ」
ソルリ「すげー、シカねえ天才!」
ジェシカ「ふふ、ヒョヨンとウチは、現役のころからオタマジャクシ捕りやってたからな」
ヒョヨン「どれどれ…お、大漁やん。マッカチンまで何匹か入っとるで」
ソルリ「これでテヨンねえがカラスを2〜3羽仕留めて来れば、今夜は大宴会やね」
ジェシカ「そっちは心配いらん。テヨンの弓矢の腕はピカイチやから」
ヒョヨン「チュヒョンが仕込んどるコグマ酒も今夜あたり飲み頃やろ(ズル)」
ジェシカ「んだんだ、帰るべ」
♪ドンガードンガラガッタ、ドンガードンガラガッタ
ソルリ「ちょっと、おねえ。天使族以外が歌うたら警察に捕まるで」
ジェシカ「アホか、機嫌のええ時には大声で歌う、それが人間の自然な姿や」
ヒョヨン「そやで。第一こんな掃き溜めみたいなアイドル難民居住区に警察なんか来る訳ない。堂々と歌えばええんじゃ」
ソルリ「さすが、天使族襲来以前に頂点を極めてた人たちや。肝が座っとる」
♪ドンガードンガラガッタ、ドンガードンガラガッタ
スンヨン「お、旧少女時代やないけ。機嫌よさそうやな」
ジェシカ「これは旧KARAのスンヨンねえさん」
スンヨン「旧KARAとかゆうな。時節柄シャレじゃすまへんわ」
ヒョヨン「そおゆわれても」
スンヨン「まぁええ。何捕って来たんじゃ? ウチ、タニシ持っとるけど、いくらか交換せえへんか?」
ジェシカ「タニシかぁ…わかった、こっちはオタマジャクシやから、2対1ならええわ」
スンヨン「オタマ2のタニシ1で?」
ジェシカ「はぁ? タニシ2のオタマ1に決まってますがな」
スンヨン「アホか! この時期の足も生えとらんオタマにそんな価値あるか」
ヒョヨン「そっちこそ麦粒くらいの大きさのタニシのくせ…」
ばっ!(デデデデデ!)
ジェシカ「わっ!」
ヒョヨン「あ、オタマの魚篭が! ソルリ、追うんや!」
ソルリ「へえ! (ババババ!)誰かー! ひったくりやー!」


女の子「はぁはぁ…あっ(こけっ)」
ヒョヨン「(ドタドタドタ)はぁはぁ、やっと捕まえたで。ウチらの尊い労働の成果を掠め取ろうなんて不届きな奴じゃ。こりゃ魚篭を返せ(ばっ)」
女の子「あっ」
ソルリ「はぁはぁ…、結局ねえさんの方が全然足速いやないですか」
ヒョヨン「ゆわれてみればそうやな。ウチ、芸能界イチの韋駄天やったわ(はっはっは)」
ジェシカ「はぁはぁ…やっと追いついた。…ん? こいつ、よお見たらまだ子供やないか?」
ヒョヨン「子供やろうがなんやろうが、泥棒は泥棒。治安官に突き出してやる」
女の子「うえーん、ごめんなさい。もおしませんから許してください!」
ヒョヨン「泣いてもあかん。ウチらかて生活かかってるんやからな」
女の子「ふえーん!(グスグス)」
声「あっ…! 自分、またひったくりなんか…」
ソルリ「ん?」
男「(バッ!)すんまへん、ワシの妹がとんでもないことしでかしまして。謝ります、これ、この通り(土下座)。そやから、この件は許して貰えへんでしょうか?」
ジェシカ「そりゃあ虫の良すぎる話やな」
ソルリ「そのガキ、ウチらの食料パクッたんやで。ヒョリ姐さんの事件を例にとるまでもなく、パクリは重罪。半年間活動停止の刑が妥当や」
男/女の子「ひえー(がたがたぶるぶる)」
ヒョヨン「ん? あんた、ひょっとして…?」
男「え…? ああっ、ヒョヨン! ジェシカ!」
ヒョヨン/ジェシカ「ク、クッキーマン!?」
ソルリ「ひえー。こりはびっくり」


パチパチ(焚き火の音)
ユナ「どや、オタマジャクシ鍋、美味いか?」
女の子「うん!(もぐもぐ)」
ユナ「もっと食い。カラスの丸焼きも、マッカチンとタニシ煮たんもあるで」
女の子「おおきに、おねえはん(がつがつ)」
テヨン「それにしても、あんたもこの居住区におったとはなぁ」
クッキーマン「(もんぎゅもんぎゅ)ここに流れてきたのは先週や。それまでは川向こうにおったんやけど、生活がますます苦しゅうなってな」
ソニ「叔父さんの行方とか、知らへんの?」
クッキーマン「先生は…(グス)、先生はSMの本社から動こうとされなかったもんで、反地球人アイドル過激派のテロに遭うて(うえええーん)」
ソニ「そんな…叔父さんが…」
クッキーマン「川向こうはなまじ芸能事務所が多かっただけにひどい状況やねん。こないだまでアイドルにキャーキャーゆうとったペンが、手のひらを返したようにワシらを目の敵にして…(ううっ)。
  JYP先生もアメリカに逃げようとして生皮を剥がれたんやで」
ユリ「おえっ。皮被ってても不細工なオヤジやったのに」
スヨン「想像すんなよぉ。食欲なくなるやんか」
ティパニ「自分も大変やったんやなぁ。まぁ、飲めや。マンネが自分の唾液で作った口噛みのコグマ酒やで。味は最低やが飲んで忘れることは出来る」
クッキーマン「おおきに(ズルー)」
ジェシカ「そんな様子やったら、ジュやアイユも無事やないやろな」
クッキーマン「ジュ、ジュの奴…!(ゴホゴホ)」
テヨン「落ち着け、どないした?」
クッキーマン「ジュの奴、元アイドルのクセして反地球人アイドル勢力に取り入って、アイドル攻撃の急先鋒になったんや」
全員「えー!?」
クッキーマン「可愛そうに、シークレットもT-araも…アイユさえ捕まってしもうた。
  今、過激派の実質的なリーダーはジュやねん」
ソニ「マジか…(うーむ)」
ヒョヨン「不遇な時代が永かったから、性格が曲がってしもうたんやなぁ」
ユリ「たぶんJYPの生皮剥いだんもジュやで」
テヨン「(むかむか)こりゃあ川向こうの出来事やからとゆうてほっとけんなぁ」
ティパニ「どうする気ぃや」
テヨン「まず、捕まっとるアイドルたちを救い出す。そんでジュをとっ捕まえて”ごめんなさい”と土下寝させたるわ」
クッキーマン「そんなこと…。川向こうは想像以上に危険やで、自分ひとりじゃ無理や」
テヨン「誰かがケジメをつけねば地球人アイドルの価値がそれこそ地に落ちるわ(ドーン!)」
ソルリ「ひゃー、ねえさん、かっこいい!」
ヒョヨン「ひとりでええカッコするんやない。ウチら練習生時代からいつも一緒やったやないか。死ぬときも一緒やで」
テヨン「自分ら…?」
全員「(こっくり)」
クッキーマン「さすがや(泣)。これぞワシが青春をささげた真のアイドル、少女時代やぁ!」
ソヒョン「青春て…」






※ファーストコンタクト…人類が異星の知性体に初めて遭遇する状況を描くファーストコンタクトものは、SFのメジャーなテーマのひとつで
 小説においても映画においても、これまでさまざまな作品が作られている。
 中にはC級ホラーにSFの皮を着せただけの駄作も少なくないが、基本的には読者や視聴者の想像力を刺激する魅力的な作品が多い。
 宇宙人が神や天使のような存在というのはストレートな発想で、SF初期には多かった。
 これを180度捻って、見た目は悪魔そっくりだが、中身は中間管理職という非常に魅力的なエイリアンを作り出したのがアーサー・C・クラーク(『幼年期の終わり』1953年)。
 この作品は「人類の進化」や「宇宙人による人類の統治」と言うテーマも扱っており、しかも大傑作だったので、その後の作家が非常にやりにくくなった。
 『幼年期の終わり』ありきでアイデアを重ねるか、全く違う発想を強いられることになったのである。
 『関ソニョ』はもともとパロディなので、臆面もなくパクることは可能だが、ここでは『幼年期の終わり』をさらに180度ひっくり返した異星人としている。
 逆マクロスをやりたかっただけ、とも言われている。


※BEC量子コンピュータ…現在のノイマン型コンピュータより遙かに早く計算できる量子型コンピュータの研究は、世界中の多くの機関で行われ、試作にこぎつけたところもある。
 が、実用化に関してはまだ目処も立っておらず、そもそも当初の予想より万能ではないかもしれない(NP問題がすぐ解けないなど)、という研究結果さえ出て来ている。
 BEC量子タイプはこれまでの量子コンピュータの考え方と大きく違ったコンピュータで、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)と呼ばれる素粒子の不思議な現象を利用している。
 従来の量子コンピュータよりさらに高速で、かつ大施設を利用しないため、持ち運び出来るほど小型化できる可能性があるとされている。
 が、これも実用化までは、まだまだ遠い話だ。


理論物理学の現状…理論物理学が大きな関心を持っている領域は、宇宙論素粒子論である。言い換えれば、この宇宙をマクロ的に見るかミクロ的に見るかと言うことであり、
 マクロ的にはアインシュタインのふたつの相対性理論、ミクロ的にはニールス・ボーアらによる素粒子物理学として、ほぼ1世紀前にその分野が立ち上がっている。
 宇宙がマクロに見たときとミクロに見たとき、違う理論で動いているはずはないので、このふたつを統合しようとする研究も盛んだが、
 相対性理論素粒子論の相性は驚くほど悪く、アインシュタイン本人も失敗している。なかなか困難な研究のようだ。
 基本的にはこの宇宙に存在する根本的な4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、重力)を統一する必要があり、現在、理論的には重力以外の根本的力はほぼ統合されている(実証されてはいない)。
 根本的な力を統合することを大統一と言い、それでこの宇宙に働く力すべてが説明できるなら、それが万物理論となる。
 重力を統合するには(重力が他の力と未分化だったビッグバン直後の状態にするには)とてつもないエネルギーが必要であり、
 スイスで2008年に稼働を始めたLHC(大型ハドロン衝突型加速器)をもってしてもまだ足りないのである。
 そこでこの分野では、主に理論が専攻する形となり、パラダイムを支えている。
 ”超ひも理論(スーパーストリング理論)”などが有名だが、2007年になって”E8”と呼ばれる全く新しい理論が登場した。
 http://wiredvision.jp/news/200711/2007112123.html
 理論家は美しく簡潔な理論に惹かれる傾向が強く、提唱者がほぼ無名にもかかわらず、この理論は大歓迎を受けたようだ。
 が、これもまだまだ基本的な研究や、実証すべきことなど、多くの課題が残されている。