関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第117話 牝鹿刑事ユナの事件簿 <3段ブースター殺人事件> 解決篇

ユナ「名前は?」
ソニ「ソニ。韓国以外ではサニーと呼ばれとるから、好きな方でええで」
ユナ「偽証罪と(カキカキ)」
ソニ「判った判った、イ・スンギュでええんやろ。知っとるんやからゆわすなよ」
ユナ「おねえは先ほど『遺体を漢江に棄てて来い』とゆわはりましたね。あれはどうゆう意味です? 死体遺棄による証拠隠滅を図ったのではないですか?」
ソニ「いややわぁ。冗談に決まっとるやないの。なんかあったら『漢江に棄てて来い』てみんなゆうやない」
ユナ「そうかなぁ。案外犯人やからと違いますか?」
ソニ「動機がないっちゅうの」
ユナ「テヨンねえがゆうとったけど、動機はみんなにあるんよ。特におねえは事務所が大事やからなおさらや」
ソニ「はぁ?」
ソヒョン「(スライド)アイユの3段ブースター、『Oh!』どころか『Gee』に迫る人気らしいよ。明日にでも国中の女の子がカラーストッキング履いて歩くようになるかもしれん。
  そうなった時の経済効果はよお知っとるやろ? アイユがあらゆるメディアに登場し、数百億を売り上げる。なのに、ウチらと違ってあっちはひとりやから経費は9分の1。
  この調子であの小娘が売れ続けてみぃ、年間純利益でローエンがSMを上回ることも充分考えられるで」
ソニ「なんで自分がここにおるの?」
ソヒョン「面白そうなんで、ウチも捜査に協力しとるんよ」
ユナ「助かるわぁ」
ソニ「けっ、一番犯罪者に近い奴やないか」
ソヒョン「犯罪者こそ犯罪者の心を知る。ハンニバル・レクターみたいなもんや」
ソニ「否定しねえのかよ!」
ソヒョン「ぐえへへへ」
ユナ「ほら、笑い声さえ犯罪者っぽくなって。頼もしいわ」
ソニ「バカバカしい。事務所の心配は事務所がする。ウチがアイユを手にかける理由にはならへん」
ユナ「そやかて、いつもグループより事務所の都合を優先しとるやん」
ソニ「だから冗談やて。ウチがイ・スマンの姪やから、そうゆう態度をとるとみんな『やっぱりぃ』ゆうてウケてくれるかな、と」
ユナ「嘘くさいなぁ」
ソヒョン「うーん。そやけど確かにSMの後継者でゆうたらソニねえは序列が低いなぁ。
  スマン先生が経営を離れた後のSMの舵取りは理事会がとるゆうのが妥当やし、スマン先生が誰にSMの株を譲るかでその後の勢力図が変わってくる訳やけど、
  先生には家族がおるし、ソニねえの上にも姉ふたりおるし、あえて愛嬌しかないアホのソニねえに全権を譲渡するとは思えへんで」
ユナ「そやけど、アホ故にソニが全部貰えると錯覚しとったら、動機にはなり得るで」
ソニ「本人を前にアホアホて…」
ソヒョン「いったん動機は置いといて、手段はどうやろうか。おねえになんかアイユを殺す方法があったと?」
ユナ「それがすごい事実があるんや」
ソニ「な、なんや?」
ユナ「未だに死因が特定出来とらんから、手段の割り出しようもないんやわ」
ソニ「(ガク)だから警察呼べよ!」
ユナ「まぁそっちはテヨンねえのガサ入れ待ちで、搦手から攻めるさかい。ほな、スンギュさん、いずれまた呼ぶからあっちで待機しとって」
ソニ「史上希に見る無駄な聴き取りやな」
ユナ「次の方、どうぞー」
ソニ「歯医者かよ」


テヨン「ぶう〜ん! ぶぅぶぅ…、そこやインを刺せ!」
ジーッ、ゴロゴロ
テヨン「あかん、こけてもうた」
ティパニ「いやいや、チョロQ恐るべし。携帯電話をコントローラーにして、よお走るもんやな」
テヨン「そやろ。トルクも充分あるしな」
ヒョヨン「こらー! 遊んどらんと、片付けてゆうとるやん」
テヨン「まぁ、待てや。今、殺人現場を再現したるからな。誰か銃持ってへんか?」
ヒョヨン「アホゆうな。銃なんか誰が持っ…」
JOO「はーい、ウチ持ってます」
ヒョヨン「がくっ」
テヨン「お、MVで使うたシャボン玉銃か。ええで、実験にはこれで充分や」
ティパニ「撮影の小道具、持って歩くなよ」
JOO「そやけど久しぶりにMV撮れて嬉しかったんやもん。記念に貰うてずっと持っとるんです」
テヨン「このオモチャの銃をとりあえず柱に固定して、その引き金とチョロQをひもで結ぶやろ(クリクリ)。
  そんで射線上にターゲットが来た時、携帯をかけるフリをしてコントローラーを操作するわけや(ポチ)」
ジー。キュ。プクプクプク。
JOO「ああっ、引き金が引かれてオモチャの銃からシャボン玉が…!」
ヒョヨン「なるほど! これがホンマもんの銃やったら…」
テヨン「問題はこのチョロQが誰のものかやねん」
ティパニ「そいつが犯人やな」
ユリ「おねえ、ウチらの部屋からこんなもん見つけたで」
ジェシカ「なんや、浅草橋の花火問屋の紙袋やないけ」
ユリ「うん。ほんで中身が(ドサッ)こんなんや」
ティパニ「うわー、えらい大量のクラッカーやな」
スヨン「(ゴクン)」
ユリ「食う方のクラッカーやない。パンパンゆわす、パーティグッズの奴や」
スヨン「ちぇっ」
クリスタル「鳴らそ鳴らそ(うきうき)」
ジェシカ「やめれ。ウチは特効とか爆竹とか大嫌いなんや」
クリスタル「おねえ、すぐ悲鳴あげるもんなぁ」
テヨン「このクラッカーは誰のやねん?」
ユリ「ウチらの部屋にあったから、ユナのとちゃうの? こうゆう子どもっぽいモン大好きやから」
全員「牝鹿刑事の?」


ユナ「次の方どうぞー」
ティパニ「そろそろ診療時間は終わりやで。これを見てみい(ドサッ)」
ユナ「おっ、忘れとった。ウチが日本で買うてきた中国産のクラッカーやないか」
テヨン「やっぱり自分のか。ついでに訊くけど、このチョロQは?」
ユナ「あ、なくした思うてたヤマト号や」
ジェシカ「やっぱりか。牝鹿刑事が聞いて呆れるわ。自分がアイユ殺害の犯人やったんやな」
ユナ「は? 何ゆうとるねん?」
テヨン「そのチョロQが銃の引き金を引くトリックに使われたことは立証済みや。
  自分はアイユ殺害を目論み、このクラッカーの炸裂音に紛れて引き金を引いたんや。
  その後、刑事であると一方的に宣言して素直に警察を呼ばず、ウチらの誰かに罪をなすりつけようとした」
ユナ「ウチは本物の刑事やっちゅうねん。それにクラッカーの炸裂音なんかしてへんやろ」
ティパニ「そう。クラッカーの音に紛れて銃撃する予定が、あまりにもウチらが騒々しすぎて使う必要もなかったんやな」
ユナ「なんでウチがアイユを殺す必要が…はっ」
テヨン「動機なら全員にある。さっきゆうた通りやろ。
  それにウチらの中でホンモンの銃を持っとるとしたら、それは自分しかおらへんのやで、刑事はん(どーん!)」
ユナ「(ガーン!)ウ、ウチやないて」
ジェシカ「自分の身体検査をすれば銃を持っとるかどうか、すぐ判るこっちゃで(ポキポキ)」
ユナ「いやいやいや、特捜刑事の武器はヨーヨーだけやねん」
ティパニ「ホンマかなぁ(パキパキ)」


ブヒーッ
ユリ「な、なんや? なんの音や?」
JOO「た、大変や、アイユが息を…」
全員「なんやてえ(バタバタ)。生き返ったんか?」
ソヒョン「(そー)いや、やっぱり呼吸はしてへんで」
JOO「でも確かに今…」
ソニ「うーむ…確かにブヒーッみたいな変な音は聞こえたな」
ソルリ「ここか?(グッ)」
♪ブー
全員「おおっ!」
ソルリ「顔の下のここんとこを押すと音が出るみたいです(グッグッ)」
♪プゥ
♪ピー
テヨン「3段ブースターで呼吸を?(ポロ)」
ジェシカ「それがタイトルの由来か?(ポロポロ)」
ソヒョン「どうやら顔の真ん中の銃創から空気が漏れてるみたいやな(ポロポロポロ)。それより、この眼に滲みる刺激臭はなんやねん?」
ティパニ「いやぁ、この音、この臭いは普通にオナラやろ」
ソニ「ど、どゆこと?」
ティパニ「不可能を消去してゆくと、後に残ったものがどれほど奇妙に見えてもそれが真実である。つまりこれは顔ではなく尻やな」
全員「ええーっ!?」
ルナ「ほな、これは銃創やなく肛門か?」
ソルリ「ホンマや。最初に銃創ゆわれたからそう思い込んどったけど、よお見たらケツの穴や」
ヒョヨン「目ぇ小っちゃい思うたら、尻エクボかぁ」
ソヒョン「どうりでメタン臭がするはずや」
テヨン「なるほど。転けた拍子に上に干してあったマンネのカツラが落ちて髪の毛みたいに尻にかかったんやな」
ヒョヨン「ウ、ウチのせいやないで」
テヨン「わかっとるがな。見てみ、蒙古斑が顔のようや、これは見間違うわ」
ソヒョン「範馬勇次郎の<鬼の貌>みたいなもんか」
クリスタル「とゆうことは、ウチらが股と思とったここが顔…うわ、ぶっさいくやな。尻の方が100倍可愛いわ」
ティパニ「ちゃんと鼾かいとる。生きとるやないか」
ルナ「以前からケツみたいな顔した奴とは思うとったけど、ホンマに間違われるとは(笑)」
ソニ「絶対怒られる。シャレのきかんアイユペンからめっちゃ怒られるて」
ソヒョン「シャレのきく人かて怒るやろ」
ビクトリア「しかし、読み返してみると、ちゃんと伏線は張ってあるな」
クリスタル「これほどおバカなオチを堂々とやるとは、恐るべし」
ジェシカ「あまりにくだらないオチなんで、読者が”さすがにそれはないだろう”と思うところ、悪びれもせずやっちゃうんだもんなぁ」
テヨン「とにかく、これで一件落着やな」
ユナ「ちょっと待てや、こら」
テヨン「おっ」
ユナ「なにが一件落着や。ウチ、刑事なのに、もおちょっとで殺人犯にされるとこやったやんか」
テヨン「自分が意地張って警察呼ばんかったところだけは助かったわ。そやけど、あとの対応はカスやカス。『殺人の追憶』の警察ぐらい最低や」
ヒョヨン「よお、こんなカスを10年近く潜入させといたな。ソウル市警も大概アホやで」
ジェシカ「歌もツクツクやし、少女時代としてもこんな奴いりまへんわ」
ユナ「(ウッキー!)なんやてえ、毎晩枕元で子守唄代わりに寝るまで『イニスフリーデイ』歌うたろか」
ジェシカ「それはマジでご勘弁」
ユナ「自分ら、ぶっ殺す!(パン、パン、パン!)」
スヨン「わぁ、クラッカー乱射すんな!」
テヨン「仕方ない。応戦! 応戦!」
全員「おおーっ!(パン、パン、パン!)」
ドッタンバッタン


………
……


女マネージャー「ほんで乱痴気騒ぎの果てが、死屍累々のこの光景と…?」
IU「へえ。朝になってウチが起きた時には、みんな部屋のあちこちで折り重なるように倒れてはって」
女マネージャー「クッキーマンやのうて、ウチに連絡くれたんは幸いやったわ。全員下半身丸出しじゃ、事務所のもんでも男を入れる訳にはいかへんもんな」
IU「なんでこんなことに?」
女マネージャー「自分未成年やから、こいつらの宴会に参加したの初めてやろ? いつも大体こうなるねん。
  (拾い)このポドリくんヨーヨーが落ちとったからなんとなく想像つくけど、今回は牝鹿刑事パターンやな」
IU「牝鹿刑事?」
女マネージャー「ユナが泥酔すると、自分はソウル市警の特捜刑事やて言い出して、この手作りのヨーヨーを振り回すんよ。
  ほんでなにか事件をでっちあげては事情聴取とか始めるねん。
  その頃には他のメンボも訳わからんようになっとるから、なんとなく刑事ごっこみたいになるけど、端から見たらグダグダの展開や。
  他にはヒョヨンの『朝鮮名探偵キム・ジン』ゆうパターンもあるけど、大して変わらへん。
  昨夜はしこたま飲んで”美脚伝説”ゆうて踊り狂っとる内に、全員ぷつんといっちまったんやな。
  多分、起きたら記憶をなくしとるはずや。それも毎度の事やねん(溜息)」
IU「ウチ、どおしたらええんでしょう?」
女マネージャー「手伝う気があるならやって欲しいことがあるけどな。自分かてライバル減らすチャンスやし」
IU「はぁ?」
女マネージャー「こいつら全員、漢江に棄てて来て」







※2009年1年間でSMが少女時代に掛けた経費は衣装代だけで10億ウォンだと言われている。
 9人分の宿所費用、食費、移動費、アルバムの制作費、スタッフの人件費や経費、などを考えていくと数十億ウォンにはなるだろうし、
 これにメンバーのギャラ、練習生時代からの育成費まで含めると多少売れた程度では回収できないのではないか?
 もちろん少女時代は回収どころか多額の利益を生み出しているし、株価の上昇など側面での好影響も与えてはいる。
 しかし、IUやJOOが同じくらい売れるなら、その方がずっと経費が安くてすむのは確かだ。
 今後金のかかるグループを放棄して、ソロ歌手として新人をデビューさせるケースが増えるかもしれないな。


※チョロQ…最近のチョロQには、確かに携帯電話で操作できるタイプがある。
 しかし、操作性はかなり悪いという噂だ。
 作者は見たことがないのでよくわからないが、多分銃の引き金を引くほどのトルクはないだろう。
 触っただけで檄鉄が落ちるほど軽く調整しておかなければならないと思う。


※IUの臀部に蒙古斑があるという確証はまったくない。


※作者の知り合いの知り合いの人に、酒を飲むと毎回同じ話題を延々と繰り返すコンビがいる。
 まったく同じ事を朝まで繰り返した挙げ句、酔いが醒めると何も憶えていないのだという。
 そのふたりは元ボクサーでパンチドランカーらしいが、一般人にもそう言う人は多いかもしれない。


※『朝鮮名探偵』…正式には『朝鮮名探偵:トリカブトの秘密』
 ドラマ『白い巨塔』や『ベートーベン・ウィルス』などで印象的な演技を見せ、日本にもファンが多いキム・ミョンミンの最新映画。
 朝鮮初の探偵劇と銘打ち、李王朝時代のホームズとワトソンのような凸凹コンビが王宮深部に潜む恐るべき陰謀を暴く、と言うストーリー。
 これまで”陰気””重い”と言ったイメージの多かったキム・ミョンミンが、すっとぼけた天然ボケの探偵をコミカルに演じている。
 
    
    2011年1月27日公開。
    日本でも観れるといいけど。