第98話 3回公演
ぶぅー
ユリ「わぁ(喜)、なんかでっかいビルが見えてきた。球が宙に浮いとる」
ソヒョン「あれはスカイラーク号ゆうてな、銀河中を旅できる宇宙船や」
ユリ「マジでぇ? 日本の技術スゲー」
スヨン「嘘に決まっとるやろ。テレビ局舎や。ウチらも何日かしたら、あっこの下の階段でパフォーマンスすることになっとる」
ユリ「わ、階段デケー。日本人てみんなチェ・ホンマンみたいなんかなぁ?」
ソニ「舞い上がり過ぎや、恥ずかしいなぁ」
テヨン「明日はこの地でショーケースか。うーむ、ついにウチらもここまで来たなぁ。
♪は〜るばる来たで、い〜るぼんへ〜。さーかまく波を乗り越えて〜(しみじみ)」
ソニ「実際には東海をひとっ飛びやったけどな」
ユナ「それにしてもだだっ広いところやな。真っ平らやで」
ティパニ「これが関東平野や」
ユナ「へえ、詳しいなぁ、パニねえ」
スヨン「なんでも感心するなよ。ここはただの埋め立て地や。平野はもっと何万倍も広いわ」
ユナ「テジョンの田園地帯より広いん?」
スヨン「比較にならん」
ユリ「すげー、日本、デケー」
ソヒョン「温暖で水に恵まれていて、山も平野もあって、周囲は海に囲まれ外敵と遮断されとる。まさに理想郷やな」
テヨン「こんなところでノホホンと育った奴らに、ウチら半島民族の屈折した精神は理解できまいな」
ヒョヨン「そやな。だが、それも今日までや、日本人!
ウチらが上陸したからには、これからたっぷり教えてやる。卑屈さに満ちた”恨”の世界を!」
スヨン「燃えてるなぁ」
ヒョヨン「これが燃えずにいられよか。
さぁ、みんなで歌おう、独島の歌を!」
全員「おーっ!
♪ウルルン滞在記のため 東南方向へ 船に乗って200海里
島がぽっつり 鳥ばっか…」
クッキーマン「やめんかー! 自分らなに口走っとるねん。
あ、通訳さん、こんなんユニバの人に訳さんでええから。
大好きな日本に来て、みんなハイになっとるんですわ」
ティパニ「人を譲渡会場の犬みたいにゆうな」
ざわわわ
ジェシカ「(覗き)うわぁ、おるわおるわ。日本中の小娘が集合したんやないか?」
ティパニ「(覗き)ホンマや。韓国とはだいぶ客層が違うな」
ソニ「空港でも『オンニー! オンニー!』黄色い声上げとったで」
ヒョヨン「あれ、オンニゆうとったんか。ウチはてっきりオナニ…(パシッ)イテテ」
ソニ「言わせねえよ」
ユナ「ほぼゆうとったけどな」
ヒョヨン「連中の発音が甘いから、そういう風に聞こえるっちゅうねん」
ユリ「オンニぐらい普通に聞き取れるやろ」
ティパニ「見て見て、あの子ら『Oh!』の格好しとる」
ジェシカ「あっちには軍服っぽい子がおるで。『ソマル』のコスプレやろか?」
ソヒョン「まぁ、コスプレは日本発祥のオタク文化の一つやからな」
ユナ「はぁ? コスプレの起源は韓国て聞いたで」
ユリ「うん。そんで四・三事件で逃げた済州島の住民が日本に伝えたゆう話や」
ヒョヨン「そらそうやな。日本人がやることはみんなウチらの真似や」
テヨン「これから披露するウチらの完璧なパフォーマンスで、奴らは思い知るやろ。真に優れた民族はどっちかを」
全員「♪イカ、イイダコ、タラ、メンタイ、海ガメ
イクラ、水鳥の卵、食いこみ海女の待機小屋…」
クッキーマン「やめれって!」
うわぁあああ!
ジェシカ「少女時代のジェシカでーす!」
ユナ「わたしはユナでーす!」
ティパニ「わたしの脚はホントに大丈夫ですからー!」
どわー!
スヨン「それでは次が最後の曲なんですけれども…」
イヤー! キャー!
スヨン「聞いてください、独島の歌です」
♪ジャーン
全員「♪ハワイはカメハメハ 冬馬は由美
とくどぬん うりたん〜!!」
クッキーマン「いい加減にせんかー!!」
スヨン「(がばっ)はっ」
ソヒョン「あ、やっと起きた」
ソニ「クッキー7枚入りそうなくらい大口開けて寝とったで」
ヒョヨン「これから日本で最初のパフォーマンスするゆうのに、お気楽なもんやな(笑)」
スヨン「ゆ、夢か…。ああ、よかった。折角の日本デビューが恐ろしい結果になるとこやった」
ティパニ「なんのこっちゃ」
テヨン「(鼻歌)♪ふんふん…」
スヨン「(ぎっくぅ!)そ、その歌は『函館の女』とはちゃう…」
ヒョヨン「当たり前や。ウチらの公演のシメは必ずこの歌やんか」
ソニ「さすがココマやな、直前まで練習を欠かさんとは」
テヨン「ふふふ、朝鮮民族の優越さを教えてやらにゃあらんからな」
全員「そうやそうや!
♪荒野のイサム少年は 地下で笑ってるだろう
とくどぬん うりたん〜!!」
スヨン「ひえーっ!(ぶるぶる)」
ユリ「わぁ(喜)、なんかでっかいビルが見えてきた。球が宙に浮いとる」
スヨン「(がばっ)はっ」
………
……
…
★以上3回繰り返すこと
※3回公演…2010年8月25日午後、少女時代は東京の有明コロシアムに於いて、お披露目公演となるショーケースを行った。
当初は1万人規模で1回と言われていたが、入場券同封のDVDが予想外に売れたたため、2万人規模3回公演で行われた。
そのため1回の公演が短められたかどうかはわからないが、彼女らのコンサートが約3時間であることから考えると、
5曲+MCで(約30分)かなり短いステージだった。
また携帯電話を利用した電子チケット制を導入したため、入場口ではかなりの混乱が見られた。
観客の多くは携帯の扱いに慣れた若い女性だったが、実は若い女性というものは普段お財布ケータイという機能を使わないらしい。
今後全国ツアーなど行う際には、電子チケットはもうやめていただきたい。
※スカイラーク号…アメリカのSF作家エドワード・エルマー・スミスの小説『宇宙のスカイラーク』に登場する宇宙船。
大手外食産業とは何の関係もない。
同小説は1928年に発表され、宇宙船が初めて太陽系を飛び出して活躍した、スペースオペラ不朽の名作と言われている。
機知に富みあきらめを知らない若い科学者、美しいその婚約者、次々に登場する宇宙人、派手な宇宙戦闘、蔓延るご都合主義、
とまさにスペースオペラの代表格として、初版から80年以上たった今でもファンが多い。
真のSF者なら、この建造物を初めて見たとき、当然スカイラーク号を連想したはずである。
ただ、スカイラーク号は直径12メートルの球形で(1,2号)、フジテレビの球体展望台(直径32メートル)よりだいぶ小さい。
ピラミッドブックス版
最近ではこんなジュブナイルも…ステキ
※クッキー7枚…ドラマ『ベートーベン・ウィルス』のヒロイン、トゥ・ルミ(イ・ジア)の高校時代の得意技。
だが、大人になったルミはこの技に失敗している。