関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第87話 カルメン故郷に帰る(モノクロ版)

◎この回も湖南弁はこの世界の標準語に翻訳しています


テヨン「ほな行ってくるわ」
おとん「道は憶えとるな? おじいはん、だいぶボケが来とるけどいちいち逆うたらアカンで。あの世代は女子供にはやたら威張るからな」
テヨン「わかってるがな(はぁ、気ぃ進まへんなぁ。帰って来んならよかったわ)」
ティパニ「あれっ、どっか出掛けるん?(ひゃー、行き違いになるとこやった。危ない危ない)」
テヨン「わっ、なんでこんなとこに?」
おとん「パニやないか!? さっそく選挙の応援に来たんか? 気が早いなぁ」
テヨン「(なわけないやろ)」
ティパニ「おじはん、お久しぶりですぅ。またいっときやっかいになりますわ」
テヨン「自分、アメリカ帰ったんやなかったん?」
ティパニ「そのつもりやったんやけど、連絡してみたらおとんは仕事でヨーロッパ行ってるし、友達もみんな更正施設にぶち込まれとって遊び相手がおらへんねん。
  ひとりで宿所におってもしゃあないし、他に行くとこゆうたらここしか思い浮かばんかってん」
テヨン「けっ、寂しい女やな」
おとん「そや、パニもおじいはんの家に挨拶に行ってき。久しぶりやろ。帰って来たら晩飯にするさかいな」
ティパニ「ウチいま着いたとこやのに…すぐに出るん?」
テヨン「礼を欠くとおとんが怒られるからな。自分、気が進まんかったらここで待っててもええんやで(すたすた)」
ティパニ「待ってや、一緒に行くがな(てけてけ)。あんたの写真だらけの店でぼーっと待っとるのもアホみたいやしな」
てくてくてくてく…
ティパニ「今思い出したけど、あんたのおじいはんて、お客にやたら犬料理食うてけて勧めへんやったか」
テヨン「よお憶えとったな。そうゆうお人や」
ティパニ「(ぞっ)ウ、ウチはあかんよ。あればっかりは食われへん」
テヨン「大丈夫や、今夜は家でサマプするて知ってはるから」
ティパニ「(げげ)サマプも食われへんがな。むしろ、サマプ食うたあんたと一緒に寝るんやったら、その方がダメージでかいわ」
テヨン「しゃぁないな、自分には別の食いモン用意するわ。シュールストロミングでええか?」
ティパニ「なんで食いモンが『もやしもん』的世界限定やねん」
商店会長「おっ、キム・テヨンやないけ? 眼鏡屋の娘の」
テヨン「ああ、電器屋のじいちゃんか」
商店会長「いやー、久しぶりやな。自分、ソウルに行って踊り子になったんやて?」
ティパニ「踊り子? 天下の少女時代を知らんのか、この人」
テヨン「まぁ、この辺は電波届くまで2年ちょっとかかるからな。仕方ないやろ」
ティパニ「嘘つけ」
商店会長「なぁなぁ、明日商店街祭りあるんやけど、自分も出てくれへん?
  ソウル仕込みのダンスで商店街盛り上げてえな。別に脱がんでもええさかいな、子供も見に来るし」
ティパニ「(完全にストリッパー扱いやな)」
テヨン「商店街のためなら断れんけど…ウチらどっちかゆうたら歌手やからな」
商店会長「歌でもええで。カラオケもぎょうさん用意してあるさかい」
ティパニ「ウチらの曲もあります?」
商店会長「あるんちゃうの? なんでもあるで。倅が今度『無条件』と『ファンジニ』仕入れたゆうとったし」
ティパニ「トロット限定かよ!」
テヨン「よし。パク・サンチョルやったらだいたい歌えるな」
ティパニ「…なんで自分がトロットとか民謡が得意なんか、やっとわかったわ」


カランコロ〜ン
同級生「キム・テヨンさん、いてはりまっか?」
テヨン「おっ、ハナタレのヨンスか? えらい久しぶりやな」
同級生「すまんなぁ、昨日はワシのおじいはんが無理ゆうて。今のあんたがどれほどのスターか全然知らんのや」
ティパニ「なんや、リアルタイムで電波を受信しとる奴もおるんやな」
同級生「ティパニさんもすんまへん。テヨンの幼なじみに免じてこらえてやってください(べたっ)」
ティパニ「そんな土下寝せんでも」
テヨン「ウチならかまへんで。約束通り今夜の祭りには出るよ。ほんで歌って踊って脱ぎまくってやるんや」
ティパニ「やけくそか!」
同級生「やめてや、パニックになるで。しょぼい地元警察だけじゃ対応できへん」
テヨン「そやかてこの商店街はウチが育った大事な故郷や。こんな半分以上シャッターが下りたような寂れた風景は見とうない。
  活性化のためにウチが力になれるなら、なんでもやるで!」
ティパニ「『カルメン故郷に帰る』から『書道ガールズ!!』みたいなノリになってきたな」
テヨン「他のメンボも呼んださかい」
ティパニ「ええっ!」
同級生「しょ、少女時代がこんな田舎のステージに?」
テヨン「宇宙最高リーダーの命令や、みんなすっ飛んで来よるで。それだけやない、トンバンにいさんも呼んだ。5人全員や」
ティパニ「今さら、どうやって?」
テヨン「本気のウチに不可能はない。あと、ヒョリ姐さんもエピカイにいさんも2PMもKARAもIUもJOOも来るで。
  今夜商店街でドリコンが再現されるんや!」
ティパニ「ひえーっ、誰がギャラ払うんや」
同級生「あの…ひとつええか?」
テヨン「なに?」
同級生「JOOて、誰?」
テヨン「……そらスマンかった(涙)」
ティパニ「可哀想に。もはやオチのためだけに生きてるようなもんやな」






カルメン故郷に帰る(モノクロ版)…『カルメン故郷に帰る』は日本のフィルム技術による初の総天然色映画である。
 このためうまく色彩が再現できるかよくわかっておらず、保険としてモノクロ版の映画も作られた。
 カラーのショットを撮影した後で、すぐ従来のモノクロフィルムで同じショットを撮り直したのである。
 カラー版で一定の成果が得られたため、モノクロ版はお蔵入りとなった。


ティファニーは練習生時代の正月休みなど、実家のあるロスに帰るには遠すぎて、ルームメイトだったテヨンの実家に泊まっていたことがある。


※『無条件』『ファン・ジニ』…韓国のトロット歌手パク・サンチョルの代表曲
     『無条件』
    ソシにも『無条件ハッピーエンド』と言う曲があるが、
    韓国では”無条件”と言う言葉をよく使う。
    理屈をこねても仕方がない時などに「無条件○○しなさい」などと言う。
 

     『ファン・ジニ


※『書道ガールズ!!』…2010年5月公開の映画。
 製紙の街四国中央市の高校を舞台に、廃れていく街を再生しようと、書道パフォーマンス甲子園を実現させた若者たちの姿を描く。