関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第76話 RUN DEVIL RUN

カン・ホドン「続いては少女時代のティパニさん!」
観客「わー(拍手)」
カン・ホドン「『ウチの彼氏はヤクザもん』ってボードに書いとるけど、これは?」
ヒョヨン「てゆうかアイドルが彼氏おるとかゆうたらあかんやろ」
ティパニ「アメリカ時代の話やから、もう時効や。ガキの頃ボーイフレンドがおったんです」
イ・スンギ「それがヤクザもんやったと?」
ティパニ「うん。ウチ全然そんなやばい人と知らなくて。全身ピアスとタトゥーで武装してて、めっちゃカッコよかったんです」
カン・ホドン「普通その時点でヤクザもんやと気付かんか?」
ティパニ「えー? クラス中の憧れやったんですよ」
テヨン「黒人にしては美男子やったらしいです」
カン・ホドン「あ、黒人だったのね」
イ・スンギ「さすがブラック・ソシやな」
ティパニ「つきあい始めて間もない頃、ウチの携帯が鳴って『ヤクの売上金をどっかに置き忘れてきた。
  あと20分以内に10万マルクを親分に渡さないと殺される』て」
カン・ホドン「マルク?」
ティパニ「あ、ドル、ドル。それで初めて彼がヤクザだったこと知ったけど、そのときは彼を助けたい一心で駆けつけたんです。
  そんで彼と一緒にスーパーマーケットに押し込んだんやけど…」
ヒョヨン「(ひそひそ)あんた、なんとかせんと、どんどんやばい話になってるで」
テヨン「ウチ、今年は小心で無口な女ゆうキャラで売るんや。バラエティで生きる気あるんなら、自分がなんとかせえ」
ヒョヨン「えー」
ティパニ「スーパーのおっさんどついて金出させたんはええけど、外に出たら警官が仰山おって…」
カン・ホドン「いやー、これはワシの腕を持ってしても救えない展開になって来たで」
観客「あはは(しけた笑い)」
FD「はい、はい。えーっと、一回止めます」
副調からの声『ティパニさん、もうちょっと整理してから話してや。さすがにそんな犯罪履歴は放送でけへんで』
ティパニ「えー? ほたらどうしよ?」
イ・スンギ「多少は脚色してもええから、罪のない話にしようや」
ティパニ「う〜ん…。へえ、わかりました」
副調からの声『ほな、ホドンさんの振りから再開しよ。なんとか編集で誤魔化すわ』
FD「了解です。5秒前、4、3…」


ティパニ「いくらなんでも20分で10万ドル作って届けるのは不可能や。強盗するわけにもいかんし。
  ただウチのおとんが貿易やっとって金持ちやったんで、おとんのドタマに拳銃突きつけて10万用意させて、それを彼のところに持ってったんです。
  身内やから罪やないでしょ? そやけど彼、目の前でクルマに轢かれて死んでもうて…」
FD「はーい、もっかい止めまーす」
観客「ザワザワ…」
副調からの声『なんでバラエティなのに、すぐ犯罪おかしたり、人が死んだりするの?
  ワシらが求めとるのは、ドキッとする裏話だったり、本音だったりするけど、グロい話やないの。
  もうちょっとアイドルらしい話でけへんの?』
ティパニ「そやけどこれ、結構ポップな話なんですよ」
テヨン「どこがやねん(笑)」
カン・ホドン「(ひそひそ)奴らホンマに不良やったんやないか?」
イ・スンギ「(ひそひそ)そうっすね。黒ソシのときの悪い顔、けっこうサマになっとるし」
カン・ホドン「少なくともただのアイドルには出せんオーラを感じるな」


ティパニ「お、今日はこないだ収録した『強心臓』のオンエアやったな。ウチがんばったからなぁ」
ヒョヨン「がんばりのベクトルがだいぶズレとった気がするけど」
………
ティパニ「なんや、全部カットされとるやないか!(激)」
ヒョヨン「当り前や」
テヨン「ボードにもモザイクかかっとったで(笑)」
ティパニ「やっぱドイツ映画は知名度低いな。”ラン”に引っ掛けたからアカンかったかもしれん。次出る時は『ウチは元女子プロレスラー』ゆうネタにしよう」
ヒョヨン「デビル雅美ゆうオチなら、その前の収録でユナが使うてたで」
テヨン「もちろんカットされたけどな」
ティパニ「がーん!」
テヨン「アホばっかりや(溜息)」






※例によってSBSのトークバラエティ『強心臓』の一場面という体で書いている。
 『強心臓』はネタの宝庫だが、今回のは完全にフィクション。


 ネタにしているのは1998年のドイツ映画『ラン ローラ ラン』である。
 「今度の少女時代の新曲『Run Devil Run』って言うんだぜ」と言うと、
 私の知り合いは全員が全員「『ラン ローラ ラン』じゃなくて?」と聞き返した。いい友達を持った(笑)
    

 『ラン ローラ ラン』は上でティファニーが言っているとおりの展開で、
 ヤクザもんの彼氏のために10万マルクが必要になった少女ローラが街をひたすら走る。
 アニメ映像を使用したり、ローラが走るシーンにテクノポップをあててみたり、ポップでスタイリッシュな作りが話題となった。
 失敗すると人生がリセットされ、やり直しとなる。3回目でやっとハッピーエンドとなる。
 ゲームのスタイルを借りたポップアート的作品と観るか、ゲーム社会を揶揄した作品と観るか、
 人によって意見が分かれているが、ポップアートとしてはそれほど評価できない。
 だいたいドイツ映画というのは暗くてアングラな雰囲気が漂う作品が多いが、
 『ラン ローラ ラン』にもそのアングラさが結構残っているのだ。
 アングラ世界ではスタイリッシュかもしれないが、ハリウッド品質に慣れた眼からすれば全然そうは思えない。
 ゲーム的人生を皮肉っている映画だと考えると納得できるのだが。