関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第70話 世界の中心で愛を叫んだけもの

がちゃ、どやどや
ティパニ「あかん、心臓破裂しそうや」
ソニ「ウ、ウチも」
ジェシカ「やっとゲネプロ終わったところやで。本番までまだ3時間もあるのに、そない緊張しとって大丈夫かいな」
スヨン「とにかくお弁当食べぇな。今しか食う時間ないんやで(もんぎゅもんぎゅ)」
ヒョヨン「ホンマやな。さ、テヨン、立ちっぱなしは身体にさわるで、こっちにお座り。はい、お弁当」
テヨン「おおきに。そやけど、ウチ食べられへんわ」
スヨン「ほなそれウチがもらうわ。金兵衛の銀鱈弁当大好きやねん。(ボカ)いったーい! 誰?」
ティパニ「(知らんぷり)無理にでも食うたがええよ。本番で体力もたへんで」
テヨン「うん。…そやけど、どうせまたもどすだけやから」
ティパニ「医者呼んで来たろか?」
テヨン「ええ、ええよ! 医者はあかん(ドクターストップがかかったら元も子もあらへん。このステージだけはやり遂げるんや)」
ティパニ「(こんなに強く否定するなんて。やっぱりお腹の子どものことは知られたないんやろな)」
ジェシカ「ほたら、しばらく横になっとき。ウチの専用ソファ貸したるわ」
ユリ「いつからおねえの専用になったんや。楽屋の備品やないか」
ジェシカ「ふん、どの会場だろうと楽屋に置いてあるソファはすべてウチのもんなんや」
ユナ「ステージ裏のあちこちにエチケット袋とティッシュ置くように頼んどいたで。黄色の蛍光シール貼ってあるからすぐわかるわ」
テヨン「世話かけるなぁ…(ついでにオマルも置いてくれ、とは言いづらいなぁ)」
こんこん、がちゃ
クッキーマン「(そー)自分らだけか?」
ユナ「なんや、覗きか?」
ソニ「ウチらの他に誰がおるねん」
クッキーマン「いや、会社の人間おったらやばいから。…あ、こら」
犬「(てててて)わんわん!」
テヨン「ああっ、チョンジュやんかぁ(ギュ)! 相変らずぶっさいくやな。あはは、こら、くすぐったいがな」
チョンジュ「(ペロペロ)」
そろー
スズキ「あ、あんにょ〜ん、よろぶん」
全員「わぁ、出た!」
テヨン「ス、スズキさん!!」
クッキーマン「なんかバカ正直に入場口で並んではるの見かけたから、裏口からお連れしたんや」
ティパニ「勝手なことして、スマンおっちゃんにバレたらクビがとぶで」
クッキーマン「そやかて、せっかくの初コンサートやないか。みんなには悔いのないステージにして欲しいんや。…テヨンにもな。
  どうせ犬連れじゃ入れへんのやし、特別処置は必要やったんやから、それを言い訳にするわ」
スヨン「えらい! それでこそウチらのマネージャーや」
ヒョヨン「あ〜、ウチちょっと会場の様子見てくるわ。スズキさん、テヨンは今具合悪いから様子見とってや」
ティパニ「ウチも行こ。身体に悪いことしたらあかんで(パチ)」
ユナ「いや〜ん、エッチ」
全員「あははは(ぞろぞろ)」
ジェシカ「あんたもやで、チョンジュ」
チョンジュ「わん(えー?)」
ジェシカ「ほなよろしゅう」
ばたん。…がら〜ん。
スズキ「みんな急にどないしたんですやろ?」
テヨン「(なんや、みんな気ぃきかせよって。似合わんことすな。…そやけど、おおきにな)
  スズキさん、会いたかった(ギュ)」
スズキ「ワ、ワシもです(ギュ)」


ユリ「わお、いきなりの抱擁やで」
スヨン「えーなぁ、あれ(涎)」
スマン「やっぱり覗いとるんか、自分ら」
全員「わーっ! ど、ど、どうしてここに?」
スマン「しー! アホやな、ワシが許可ださな、ヒョング(クッキーマン)ひとりでスズキをここに連れ込める訳ないやろ」
ソニ「ほな叔父さん、わざとスズキさんを入れたんですか?」
スマン「不本意やけど、コンサートを成功さすためや。これで奴も気合いが入るはずや」
ジェシカ「…へへへ。おっちゃん、なんやかんやゆうて、ウチらのこと大事なんやな」
スマン「ア、アホか」
ティパニ「お、朱うなっとる(笑)」
チョンジュ「わんわん(うるさいがな)」


スズキ「テヨンさん、この2〜3日でえらい痩せたみたいですね」
テヨン「うん。ウチ、太り体質なのにすっかり油断してて。この腹じゃ衣装着れへん思たから、思い切ってマンネに相談したんです。
  そしたらなにやら怪しい草をくれて。
  危ない思うたんやけど他に手もないし。思い切って煎じて飲んだら、もう、際限なくゲロ吐くは、下痢は止まらないはでえらい目にあいました。
  以来、水分しか摂れへんし水分しか出えへん。人間しょせん水道管に手足とゆうんはホンマですわ」
スズキ「…」
テヨン「そやけど、この二日で4キロ痩せました。お腹もほら、ペッタンコ。4キロ分のババしたゆうことやね」


ティパニ「あいつ、ホンマ下ネタ好きやなぁ(呆)」
ジェシカ「てゆうか、なんで惚れた男に向かってそんなことゆうかな?」
ソヒョン「おねえの男関係が長続きせん理由がわかるわ」
スマン「それより自分いったいどんな毒草渡したんや? 下手したらコンサートおじゃんになるところやったで」
ソヒョン「ピーピー(知らんぷり)」
スマン「下品な誤魔化し方すんな」
ソヒョン「(そやかて、試しに致死量渡してみたとかゆえへんしな。あれで腹こわしただけとは、キム・テヨン、恐るべき生物やで)」
ヒョヨン「あーっ!」
全員「しー!」
ヒョヨン「ごめん。そしたら、テヨン、別に妊娠してる訳じゃ…」
スマン「妊娠やと?」
ソニ「それが、ココマが頻繁に嘔吐するもんやから、ウチらてっきり」
スマン「スズキと再会して10日やそこらでか? ツワリは大体3ヶ月目あたりからや。自分ら安いドラマ観すぎちゃうか?」
全員「ほー(良かったぁ、最悪解散あるかも思てたからなぁ)」


スズキ「だ、大丈夫なんですか?」
テヨン「明日までの辛抱やから。それまでは気合いでもたせます。
  観とってください。ウチ、スズキさんのために心を込めて歌いますさかい」
スズキ「嬉しいけど、それはあきまへん。今日を楽しみに来ている何千人ものペンに申し訳ない。
  みんなのために歌うてください」
テヨン「(はぁー、相変らず真面目クンやなぁ)…わかりました、ほなそうするわ。ペンの中にスズキさんもおるんやしな」
スズキ「そうですよ。ワシ、みんなのために歌うテヨンさんを観に韓国まで来たんやし。これで思い残すことなく日本に戻れますわ」
テヨン「…やっぱり日本に帰りはるんか。へへ、そらそやな。こっちに仕事あるわけやないし」
スズキ「そやけど、またすぐ会えますよ。ゴタゴタ片付けたら、きっとまた来ます。
  次は以前来た時みたいに、スマン理事にも歓待されて、大手を振って来ますさかい」
テヨン「うん…あ、そや! あのな、この後コンサートで発表されることやけど、アジアツアーに東京が追加されたんです」
スズキ「ホ、ホンマですか?」
テヨン「うん! そやから今度はウチが会いに行きます。多分夏までには行ける。それまで待っとってください」
スズキ「勿論です。ワシ、絶対仕事立て直して東京公演のチケット買い占めます。そん時こそワシのためにだけ歌うてください。
  ひとりでピンクの風船とサイリウム振って応援しますよって」
テヨン「あはは、そらええな。ほな約束やで」
スズキ「はい、指切り」


ティパニ「あんなええ顔のテヨン見るの久しぶりやな」
ジェシカ「これでコンサートもうまくいくやろ」
スマン「ふん、人の心配ばかりしとらんと、自分らこそ大丈夫なんやろな」
ヒョヨン「一所懸命練習して来たし、大丈夫や、…多分」
スマン「多分てなんじゃ、気合い入れろ!(あーあ、なんかいい人演じるのは疲れるな。今夜はビクちゃんに叩いてもらってストレス解消しよ)」


ダンサー(女)「そろそろティパニの舞台が終わるで。いよいよウチらの出番や」
ダンサー(男)「うー、緊張するなぁ」
チユル「テヨンさん、大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ。脂汗も…」
テヨン「いけん。ぶち腹痛てえわ。漏りそーやの」
チユル「は?」
テヨン「(あかん、朦朧として思わず全州弁が出てもうた。ああ、また波が来た。この寒空に腹丸出しの衣装ゆうんが最悪や。
  ステージで漏らしたら明日のトップニュースやな。うっ…くく。でも、もういっそスカトロアイドルとして生きるしか…」
チユル「(震えてる。この人でも緊張するんだ。私たちダンサーがしっかりサポートしなくちゃ)」
テヨン「(はっ、ウチは今なにを? あの人が観てる前でババなんか漏らせるか。弱気になったらあかん。歌に集中しろ)」
ダンサー(男)「パニが終わった! いよいよワシらの出番や!」
テヨン「(グッ)みんな、ファイティン!」
ダンサーたち「おー!」


♪ あんたに強さなんか必要ない
 間違いを指摘して欲しくもない
 痛みはいらへん
 緊張もいらへん
 ウチの愛がむっちゃ強いこと、あんたは知るべきやった(プッシーキャット・ドールズ:ハッシュ・ハッシュ 日本語訳:スズキ)


スズキ「わぁ、テヨンちゃん、もの凄くかっこええわ」
チョンジュ「わんわん(がんばれー!)」


♪ 言葉はいらへん 嘘はいらへん 涙はいらへん
 痛みはいらへん 傷も試練も もう必要ないんや
 Yeaaaaaaaaah!


テヨンああーーーーーーーーー!!!!
    (もうあかん! 漏れる漏れる漏れるーーーーーーー!)」


観客「わあああ! テヨーン!」
スズキ「すごい! あの小さな身体のどこにあんなパワーが!?」


テヨン「(あ、あとちょっとや。ピーピーゆうなウチのお腹! 黙れ! 黙れ!)」


♪ もうなにもしたくないねん
 言うべきこともないねん
 お黙り お黙り 黙れっちゅうたら黙らんかい われぇ!(ジャーン)


観客「キャアアア!」
スズキ「か、感動や。すべてを投げ出してでもこの場におれてよかった。やっぱりテヨンちゃんは最高のアイドルや!」
チョンジュ「わん!(GJ!)」


テヨン「ハァハァ…(な、なんとかやりきったで。漏らさず歌いきった。
  観とってくれた、スズキさん? これがウチの愛です。………あ、安心したらちょっと漏れたわ)」


………
……


後日談:


ユリ「お、ネットニュースにスズキさんの事が出とるで」
ヒョヨン「ホンマ? 裁判終わったんかな?」
ユリ「えーと、スズキ氏の新事業大失敗。負債額十数億円か?…やて」
ティパニ「なにやってんねん、スズキぃ(呆)」
ジェシカ「てゆうか、恐るべきはテヨンのサゲマンパワーやね。円の破壊力もまったく関係あらへん」
ソニ「そうか! 奴に関わった男はみんな不幸になるんやったな」
ジェシカ「スズキさんなんか2回目やで」
スヨン「可哀相な男やな」
ティパニ「そうか? それでもテヨンが好きなんやから、ある意味幸せな男かもしれへんで」
ヒョヨン「スヨンに男心はわからへんのよ」
スヨン「むかっ」
ジェシカ「スズキさんはええ根性しとる。多分何回無一文になっても這い上がってくると思うで」
ティパニ「そうゆう意味じゃテヨンにふさわしいかもな」
ソニ「そやね。お、チンチン始まるで」


テヨン「…でした。次のお便り。えーとなになに『ワタシの弟が何回も受験に失敗しているので慰めてください』
  そうやな、受験に失敗するのは応えるな。そやけど若い時には…ん? え? ぶっ、きゃははははは!」
ディレクター「なんや、どないした?」
AD「ホームページの掲示板が目にとまって急に吹き出したみたいですわ」
テヨン「うははははは! …す、すんまへん、弟さんのこと笑うたわけやないんやけど。どわはははは!」
ディレクター「こらー、なんちゅうタイミングで笑うんや。またニュースで叩かれるやないか」
テヨン「ひーひー(そやけど、こんなメールもろたら笑うしかないやんか。…ヒムネやで、スズキさん。ウチ、いつまでも待っとるからな)」


スズキ『テヨンさん、チンチンのDJ頑張ってますか? ワシはまた破産してしまいました。そやけど、心配いりません。
  その日の内に次の事業に向けて動き出しました。あの日蚕室のステージで観たテヨンさんの凛々しい姿思うたら、気落ちなんかしてられまへん。
  必ず東京公演には逢いに行きます。それまでチョンジュと一緒に死んだ気で働きますよ。ほなまたお便りします。バイバイキーン!』






世界の中心で愛を叫んだけものアメリカのバイオレンスSF作家ハーラン・エリスンの短編小説。
 その個性的なタイトルは『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ放映版)最終話のサブタイトル『世界の中心でアイを叫んだけもの』、
 更にそれをパクッてベストセラー小説『世界の中心で、愛をさけぶ』などに利用されている。
 これほど有名なタイトルにもかかわらず実際に読んだことのある人が少ない小説も珍しいが、
 その内容は衝撃的な大量虐殺に始まる暴力肯定小説であり、SF者以外には結構難解な内容かも知れない。
 ハーラン・エリスンの小説はとにかく特徴的なタイトルが多く、
 『「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった』
 『おれには口がない、それでもおれは叫ぶ』
 『ランゲルハンス島沖を漂流中』
 など、魅力的だがタイトルからは内容がさっぱり予想できないのが難点。
 本国では数多くの賞を受賞し評価も高いが、日本ではあまり人気がなく翻訳も少ない。
 核戦争後の女性がほとんどいなくなった世界を描いた『少年と犬』は映画化され、カルト的な人気を維持しているので、
 そっち方面で知っている人はいるかも知れない。
    


     映画『少年と犬』
    今となっては禁じられたサブリミナル満載のティーザー。
    おかげで内容が(変な映画と言うこと以外)さっぱりわからないそ。



※金兵衛の銀鱈弁当…”芸能人の好きなロケ弁ランキング”などで常に上位に食い込むロケ弁の代名詞。ただし東京限定。
 ロケ弁と言いながらロケ現場よりスタジオで見ることの方が多い。高級感があり、美味いので、現場のテンションがあがる。
 少女時代が日本で活動を始めたら何度も食べるであろう。
 が、私のようなフリーランスのスタッフにしてみたら、こっちのギャラは値切っといて弁当には1050円もかけるんかい、ここの制作はアホか!
 と逆にむかついたことも一度や二度ではない。
   



※『Hush Hush』…アメリカのポップガールグループ”プッシーキャットドールズ”の代表曲。
 最近メンバーが激しく入れ替わり、2010年には『願いゆうたらんかい』の振り付け師中曽根梨乃が加入している。
     The Pussycat Dolls 『Hush Hush』


     テヨンの『Hush Hush』


※2010年1月5日のチンチンで、テヨンは「弟が採用試験に落ちた。慰めて欲しい」という聴取者のメッセージを読む途中で大爆笑した。
 テヨンは笑い出すと止まらなくなる癖があり、このときも生放送にもかかわらず数10秒ほど延々笑い続けた。
 笑いやんだ彼女はすぐに謝罪したが、例によってネチズンが非難したり庇ったりと話題になり、翌日の芸能ニュースを賑わせた。
 爆笑の原因については2〜3言われているが、いずれも聴取者のメッセージではなく、当時のスタジオの状況のようだ。
     これかなぁ