関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第69話 ふたりの羅生門

役員A「それで、例の日本人の件はどないなっとるの?」
役員B「幸いなことに外部には漏れへんかったようや」
役員A「頼むでホンマ。トンバンのゴタゴタの上、スジュも問題続きや」
役員C「f(x)も今イチ伸びんしなぁ。結局少女時代しか残ってへんのやで」
スマン「そんなこと、自分らに言われんでも重々承知しとるわい」
役員A「なに開き直っとるんや。もうちょっとで少女時代もパーになるところやったんやど」
役員B「そやそや、ことの重大さをもっと理解してもらわんと」
スマン「…(くそー、言い返せん。腹立つなぁ。それとゆうのも全部あの日本人のせいや)」
こんこん、がちゃ
クッキーマン「お連れしました」
スマン「オホン…入んなはれ」
スズキ「(そろそろ…ペコリ)」
役員A「座ったらよろし(だいぶん痩せたようやな。まだデブやけど)」
スズキ「はい(がたがたん)」
役員B「…(14人もの男芸能人を夢中にさせてきたテヨンが選んだのがこれか? えらい冴えへん男やな)」
スマン「さてスズキさん、昨日はあんな状況やったから詳しい話も聞けへんかったけど、今日は話してもらえるやろな? その…事情とやらを」
スズキ「勿論ですわ。ご迷惑かけた以上、すべてお話しします。
  (かくかくしかじか)…で、ソウルにたどり着いたときには無一文で、三日もメシを食うてへんのやったんです。
  そこで魔がさしたゆうんか、チンチン終わりのテヨンさんに近づき、宿と食料を提供せえと脅したんですわ」
役員C「脅した? テヨンを?」
役員A「あれは見た目はウサギでも、ターミネーター(T−800型)を素手で破壊できる女でっせ」
スズキ「知ってます。そやけど弱みはこっちが握っとったんで。
  ワシ、テヨンさんのペンでっしゃろ、彼女のこと全部知りたくて、以前興信所使って調査させたことがあるんです。
  そしたらまぁ、全州時代の素行でおたくらも知らんようなことがゾロゾロ出てきましてね」
役員B「まぁあいつらもともと札付きやからな。なにやってても不思議はないけど」
スマン「札付きを集めてアイドルにするゆうんがワシの『アイルド7』計画やったんや」
役員A「結果『アイルド9』になったけどな(苦笑)」
スズキ「ほぉ。ならテヨンさんはさしずめ飛葉ちゃんですな」
スマン「そうそう。で、その飛葉ちゃん、田舎でどんな悪さしてたんや?」
スズキ「そらもう人殺し以外はなんでも。14、5歳の娘のやることちゃいますわ。詳しく聞きたいですか?」
役員A「遠慮しとく。詳しく聞いたら心臓が止まりそうや」
スズキ「ともかく、その中にひとつ、全北の道警が未だに血眼になって追ってる案件がありましてね。
  それをほのめかした時のテヨンさんの顔の怖かったこと。ワシ、バラバラにされるか思いましたで(ブルブル)」
役員C「なんでバラバラにされへんかったの?」
スズキ「報告書は全部東京の貸金庫に保管してあるゆうたんです。ワシに万が一のことがあったら、その書類が韓国中のメディアに出回るでって」
スマン「それで、テヨンは仕方なくあんたをかくまったと?」
スズキ「そうゆうことです。最初はホテル代出させよう思てたんやけど、そのちょっと前にワシ犬を拾うてまして、
  そのせいで宿にも泊まれずあの部屋に居候することになったんですわ」
役員B「犬なんて捨てたらよかったのに」
スズキ「あきまへんよ。ワシ、戌年生まれやし、生きもんは大事にせえて親父の遺言で…」
役員「徳川綱吉か」


役員A「どう思う?」
役員B「一応筋は通っとるな」
役員C「うーん。テヨンが不良やて知ってて、それでもペンやゆうのはおかしゅないか?」
役員A「そうでもないで。
  歌唱力はゆうまでもなく、少女時代を2年も束ねてきた統率力、トークの合間から垣間見える肝の太さ、引くときは引く状況判断力。
  見かけがお人形みたいでも、それだけの娘やないことぐらいちょっとコアなペンはみんな知っとるよ」
役員B「加えてドSやしな。そうゆうギャップに惹かれるペンは結構多いで」
スマン「…」


がちゃ
テヨン「どもー。お、今日はゼーレ会議ちゃうんですね」
役員A「あれは人数が増えて大変ゆうて、天上のお人が拒否しよった。それで、もう落ち着いたんか?」
テヨン「へえ、取り乱してもうてすんまへんでした。5億がパァになったかと思うと、どうにも感情のコントロールがききませんで」
スマン「5億? なんの話や」
テヨン「え? 知らんかったんですか? しもたぁ」
役員B「あの男になんや価値があるゆうんか?」
テヨン「はぁー、失敗したなぁ」
スマン「(ダン!)観念してしゃべれや!」
テヨン「まぁ今さら隠してもしゃーないか。スズキの資産、実はまだ5億あるんですわ」
役員A「え?」
役員B「まじ?」
役員C「それ、ウォンで?」
テヨン「円で」
役員「えーっ?!」
スマン「あ…! 保釈金か!」
テヨン「奴が屋台飲み屋で一文無しゆうた時に、そのことに思い当たりまして。これは恩に着せるチャンスやと」
役員C「どゆこと?」
スマン「保釈金ゆうんは裁判の後返ってくるんや。忘れとった」
役員B「えー? ほたらまだ大金持ちやないか」
役員A「その金を元に、まだいくらでも商売立て直せるな」
役員C「それで奴に取り入って金を巻き上げよ思うた、ゆうわけか?」
テヨン「まあね(てへ)」
スマン「てへ、やあるかい! どえらいスキャンダルになるとこやったんやで!」
テヨン「そやけど5億”エン”やで。円の破壊力はおっちゃんらもようわかっとるやろ。
  それだけあれば、夢も自由も買えると思うがな」
役員A「ワールドスターと画策しとった契約買い取りを、スズキにやらそ思たな?」
テヨン「それも可能性のひとつかな、と。奴はウチにベタ惚れやさかい、部屋に引き込んでちょっと甘いこと囁いたら、なんでもゆうこと聞く思たんです。
  実際もうちょっとやったのに…」
スマン「ほなスズキに恋愛感情はなかったと?」
テヨン「気色悪いことゆわんといて。あんな売れないコメディアンみたいなおっさんに惚れる訳ないですやん。
  毎日優しい言葉かけるんも、ありったけの芝居ッ気出してゆうてましたんや(ぶるぶる)」
スマン「…(じー)」
テヨン「いやホンマ(そらし)。ああ、思い出したらさぶいぼが…」
スマン「(ふん)キム・テヨン、沙汰は追って申しつける。今は目前に迫ったコンサートを無事に消化することが最優先や、稽古に戻るが良い」
テヨン「へへ。ほな、バイバイキーン」


役員A「ふたりともゆうとることが全然ちゃうな」
役員B「それぞれの話は筋が通っとるけど、ふたり合わすと矛盾だらけや」
役員A「まるでクロサワやな」
役員B「森三中の?」
スマン「今はボケとるときやない!」
役員C「しかし、ふたりに恋愛感情がのうて一安心や」
スマン「めでたい奴らや。ふたりの主張は気味悪いぐらい一致しとるやないか」
役員A「とゆうと?」
スマン「要約すれば、お互い原因はあくまで自分であって相手のせいやない、ゆうてる訳や。
  普通ならこんな騒動に巻き込まれたら相手のせいにするはずやけどな」
役員B「…あ、ホンマやな」
役員A「実は庇い合っとったわけか」
スマン「しかもテヨンはスズキの保釈金のこと持ち出したやろ。普通金が目当てなら絶対隠したい情報や。なのにぺろっと喋りおった。
  おかげでわしらはスズキに対して慎重に対応せざるを得んようになったわけや」
役員A「そやな。今後の取引考えたら高圧的な態度がとりにくい」
役員C「奴のビジネスセンスはあなどれんから、この先また大儲けする可能性は充分高いしな」
役員B「うーむ、小娘のくせにワシらを手玉にとるとは」
スマン「結局、今後テヨンとの個人的な付き合いは一切ご遠慮願うゆう条件だけで、訪韓中は厚遇せにゃならんやろ」
役員B「正規のチケット持っとるし、コンサート終わるまではソウルにおるんやろな。その滞在費も立て替えるんか?」
役員A「くそー。厚遇するからゆうて、ファミリーゾーンとかには絶対招待したらあかんからな。あくまでおのれのチケットで観覧してもらうで」
スマン「わかっとるわ。ファミリーゾーンはステージに近すぎるし危険や」
役員B「で、テヨンの処分は?」
スマン「似たようなもんや。事態が外に漏れとるわけやないし、リーダー降ろしただけでもそれなりのエクスキューズが必要になっとるんや。
  事件そのものをなかったことにするしかあるまい」
役員B「やれやれ、ワシらやられっぱなしやんか」
スマン「スズキの無罪放免をエサに、今後契約を期間満了まで遵守すること、と言い含めるのが関の山やな」
役員A「スズキが契約買い取るゆうたらどうするねん。例の保釈金だけでもあんたの資産の半分近いんやで。まったく日本の経済力には寒気がするな」
役員C「ええやないか。花魁テヨンの身請け金でワシら大儲けや」
スマン「そんで人身売買芸能社て陰口叩かれるんか? 勘弁してや。
  テヨンが半端なタレントだったらそれでもええけど、この先どれだけ稼ぐかわからん、えらい可能性を秘めた娘なんやで。安売りはでけへん」
役員C「札付きの飛葉ちゃんが化けたもんやな(笑)」
スマン「とにかく、ふたりとも相手をダシにしてゆうことをきかせるしかないやろ。
  年末の各種歌謡賞、初の単独コンサート、罰しようにも時期が悪すぎる」
役員A「そやけど、コンサートは大丈夫なんか? テヨンのモチベーションは?」
役員B「こんな事の後で上がるわけないやろ」
スマン「そうやねん。困った。奴のやる気は他のメンボにも影響するしな」
役員C「なんか手はないの?」
スマン「あることはあるんやけど…(そうやってまた奴を甘やかすんか? あ〜あ)」


テヨン「も、もっかいゆうて」
スヨン「そやからアジアツアーに東京公演が追加されたんや。急な話やけど、決定事項らしいで」
テヨン「そ、そうか…。うん、そら張り切らんとな。なんとゆうても東洋一の都やさかい。
  うん…。あそこを熱狂させたらウチらもう世界的なスターやな。うん、うん、みんなヒムネや!」
ジェシカ「何回『うん』ゆうてるねん」
スヨン「急にやる気出したなぁ」
ティパニ「そら東京には誰かさんが住んどるからなぁ(笑)」
ジェシカ「今度はあんたが誰かさんの家に転がり込んだりしてな」
テヨン「アホ。ウチはしっかりモンやからそんなことにはならへんよ、えへへ」
ソニ「どこがしっかりもんやねん。この腹どないすんの? 得意の幸せ太りか? この衣装で『Hush Hush』演るんはきついで」
ジェシカ「オモナ! レザーパンツのジッパー全開やないの」
ヒョヨン「明後日が本番やのに、衣装破ったら怒られるで」
テヨン「やかまし! ウチかて考えとる。ちゃんと痩せる方法を相談…うッ! うう!(蒼白)」
ティパニ「どないしたん?」
テヨン「気、気分が…おえ(バーン! ドタタタ!)」
ジェシカ「きゅ、急にどないしたんや?」

ぱたぱた、がちゃ
ユナ「テヨンねえ、大丈夫なん? トイレでゲエゲエもどしとるけど?」
全員「えええええ?(…まさか?)」






※『羅生門』…芥川龍之介の小説もあるが、ここでは1950年の黒澤明の映画をネタにしている。
 しかし黒沢の映画は芥川の『藪の中』が原作なので、説明がメンド臭い。
 どっちにしろ、ひとつの出来事について複数の人間が異なる証言をする、と言う部分だけパクッたのみで、
 内容もテーマも全然関係ないのだが。


※前記の通り『強心臓』でリーダー引退発言をしたテヨンだが、
 翌週22日の同番組でも「今まで14人の男性芸能人に告白された」と発言し、またまた話題となった。
 メンバー中ずっと1番人気で注目度が高い娘だが、それに見合うネタもちゃんと用意している。
 たいしたものである。