関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第56話 契約

【フラビオ・ブリアトーレF1界永久追放記念作品】


テヨン「(バァーン!)うっひゃー、さっぱりした! やっぱ仕事終わりの風呂は最高やな。
  今日はパニの奴とっつかまえてガーシガシ洗うてやったで。だいぶ臭くなっとったからな」


ティパニ「なんやとぉ? ウチは犬か?」
全員「シー!」


テヨン「…ん? なんや、真面目な顔してからに」
ソニ「これ、床に落ちとったけど、ココマのなん?」
テヨン「なんや…? (うっ、なんでこれがここに?)…そ、そや、ウチのやね。今度チンチンのゲストに来るゆうんで打ち合わせしたんやわ」
ソニ「ええなぁあんたは、ワールドスターと直々に話せるんやもんな。
  そやけどこの名刺、本名の方書いてあるで。肩書きもJ-TUNEの役員になっとるし」
テヨン「そおやった? 気付へんかったわ」
ソニ「(名刺落とすなんて珍しくヘマしたもんやな。ウチはこの機会を逃さへんで)
  ホンマにラジオの打ち合わせやったん?」
テヨン「当たり前やんか。(なんや、小スマンの奴、仕掛けて来よったんか?)
  ひょっとしたらワールドスター、間違えてビジネスの方の名刺をくれたんかもしれんな」
ソニ「噂で聞いたんやけど、違たらごめんな、あんたいろんなところから引き抜きの話が来とるんやて?」
テヨン「(そら来たで)引き抜きゆうか、一緒にコラボせえへんか、みたいなノリやと思てるけど」
ソニ「コラボなら事務所通せばええやん。なんであんたに直接話が行くねん?」
テヨン「なぁ?」
ソニ「(「なぁ?」やあらへんやろ。すっとぼけおって)」
テヨン「多分あれや、みんなウチのことただのアイドル歌手やのおて、アーティストとして見てくれてる思うねん。
  そやからいきなり事務所を通して業務命令みたいな形にしとないんやないかな。それは正直嬉しいけど、引き抜きとか誤解を生むんやったらやめて欲しいわ。
  だってウチは少女時代の家族なんやし、家族のおらへんところで歌う気にならんやろ?」
ソニ「そやウチらもう家族やもんな。そやからあんたずっとSMにおってくれるんやね?」
テヨン「そ、そやな、そうなったらええな、ハハハ…」
ソニ「まぁウチら契約長いから、わざわざ家族ゆわんでもあと何年も一緒におることになるんやけど」
テヨン「契約ね。ウチもまだたっぷりあるな。(なんやチクチク皮肉ばっかり言いおって。ちょっと脅かしたろか?)
  そやけどあんまりシバリが長いと、トンバンにいさんたちみたいな、起きんでええ騒動が起きるんやないかな?」
ソニ「え?」
テヨン「売れないときの契約は命綱、売れてるときには縛り綱。そう思うんが人間心理やない?」
ソニ「あ、あんたまさか?」
テヨン「ちゃうて、あくまで一般論や。ウチは契約は遵守するし、育ての親を訴えるなんて考えたこともあらへんよ。
  そやけど、ウチの意志と無関係に事態が進むこともあるねん」
ソニ「どういうことや?」
テヨン「そやな。…例えば1991年F1第11戦ベルギーGP」
ソニ「は?」
テヨン「このレースでジョーダンGPからデビューしたミハエル・シューマッハは予選で素晴らしいパフォーマンスを見せ、大きく注目された。
  いち早く動いたベネトンGPのフラビオ・ブリアトーレ代表は、シューマッハ獲得のため驚くべき手段に出る。
  それはシューマッハとジョーダンの間に交わされた契約そのものを買い取ることだった。
  これ以降F1界において契約は意味を失った。どんな契約であれ、札束を積み上げて買い取ってしまえば無効に出来るからである」
ソニ「つまり、あんたの契約も…」
テヨン「契約が第一ゆうなら、確かにそうかもしれん。ウチら芸能人はそれに縛られた奴隷や。例え持ち主が変わっても従うしかないやろ?」
ソニ「あかんあかん! そんなことウチの叔父さんが許さへん」
テヨン「そやろか? ワールドスターの資産はスマンおっちゃんの3分の1もある。この数年で稼いだにしては相当な額や。
  しかもおっちゃんの資産はトンバンにいさんのせいでどんどん下がってるんやで。札束目の前にしたとき、おっちゃんは首を横に振るやろか?」
ソニ「…う、うう(脂汗)」


ユナ「どうやらテヨンねえのほうが有利に進めとるな」
ティパニ「そやからゆうたやろ。あの女に勝てる奴はおらんのや。テヨンに賭けて正解やったで」
ジェシカ「自分、昨夜はこれなら勝てるーゆうとったやん」
ユリ「結局テヨンねえべったりやもんな」
スヨン「見てみ、スンギュの奴目ぇ白黒させとるで」
ヒョヨン「そらそうや。いきなりオシメしとる頃の自動車レースの話題されてもなぁ」
ユナ「まぁソニねえはエムボにも言い負けるくらいやし」
ジェシカ「それにしても都合よう名刺落ちとったな」
ユリ「テヨンねえがそんなヘマするわけあらへんやろ」
ジェシカ「え? まさか自分…?」
ユリ「(にやり)テヨンねえが仕事出とる間にガサ入れして、小スマンの目につきやすいところに置いといたんや。
  他にもJYPやスズキさんの名刺があるはずやのに見つからんかった。あっちが本命かもしれんな」
ヒョヨン「それ、犯罪やで」
ユリ「ウチは生まれついての騒動屋や。おもろいことのためならなんでもするで。
  さぁ、小スマンに賭ける奴はおらへんの?」
ソヒョン「ウチが…」
ユリ「お、ギャンブラーの鑑」
ソヒョン「そやのおて。賭けはせんけど、このままテヨンねえがJ−TUNEに移籍したらみんな困るやろ。
  ウチが思いとどまらせてくるわ」
ティパニ「そんなこと出来んの? 自分に?」
ヒョヨン「毒とか盛ったらあかんで」
ソヒョン「まぁやってみるわ」


こんこん
ソヒョン「(がちゃ)ソニねえ、あ…テヨンねえもおったん? おかえり」
ソニ「どしたん、こんな時間に…?」
ソヒョン「たいしたことやないねんけど、今日KBSでMBLAQのチョンドゥンゆう子と話したんや…」
ソニ「ああ、2NE1のサンダラ・パクの弟か、こないだデビューした?」
テヨン「(ん? J−TUNEの子やな)」
ソヒョン「あの子、事務所と49年契約やねんて」
ソニ「はあぁ? ありえへんわ、そんなん」
ソヒョン「ウチも最初はジョークや思て。そやけど、マジらしいねん。ギャラは出来高で、印税の中から払うんやて」
テヨン「ちょっと待てや。印税て、そもそも給料とは別にもらうもんやろ」
ソヒョン「それがあの会社じゃ、給料がなくて、印税も半分は会社に持っていかれるらしいねん」
ソニ「で、売れなかったらポイか?」
ソヒョン「49年契約やから、結局は一生縛りや。売れへんでも男娼に仕立てられたりするらしいで。その後は臓器ビジネスに利用されたりとか。
  チョンドゥン君、お姉はんの事務所の条件聞いて、やっと理不尽さに気付いたらしい。
  J−TUNEと最低の契約してもうた、いっそ生まれて来えへんかったら良かった、ゆうとった」
テヨン「そ、そんなに?(汗)」
ソヒョン「MBLAQより先にJ−TUNEからデビューする予定だった女性歌手」
ソニ「ダヒか?」
ソヒョン「彼女なんか[ピー]に[ピー]されて、そんで[ピー]やから、当分デビュー出来へん身体になったんやて」
テヨン「ええええ?」


ユリ「げー、えげつない嘘つくなぁ」
ジェシカ「グロい想像させたら天下一やな」
ユナ「そやけど、マンネが真顔でゆうから説得力あるで」
ヒョヨン「恐るべし、末っ子」


ソヒョン「そやからウチ思うねん。トンバンにいさんたちが契約長いとか、サイドビジネス認められへんとかゆうてるけど、
  少なくともそれなりの給料はもらえるし、いいマンションも与えられとる。悲観するばかりじゃないんやないかて」
テヨン「うーむ…(ワールドスターのあんちゃん、売り上げは折半するゆうとったけど、あれは嘘なんか? わからん。
  そやかていまさら訊けんしなぁ。どうする、テング? 下手したら臓器売り飛ばされるで…)」
ソニ「ココマ、あかんやん。契約買い取られたらワールドスターの思いのままになるで」
ソヒョン「契約買い取り?」
テヨン「な、なんでもないねん。契約はこの世で一番神聖なもんや。簡単に売ったり買ったり出来るもんとちゃう。ちょっとソニをからこうとっただけや」
ソニ「なんやー、そやったんか。ウチまじで心配したわ」
テヨン「スマンスマン(とりあえず、この話は一旦白紙にしよ)」


ソヒョン「(がちゃ)なんとかうまくいったわ」
全員「おおおー(パチパチパチ)」
ティパニ「やるなー、自分」
ユナ「スマンおっちゃんも、あんな出来の悪い姪っ子よりマンネをスパイにしたらよかったんや」
ヒョヨン「そやな、ちゃんとしたスパイならソニみたいに簡単に正体ばれたりせんやろし」
ソヒョン「ふ…(余裕の笑み)」
ジェシカ「(ギクッ)じ、自分、さては…?」
ソヒョン「ちゃうよ、ウチはそんなんやない。自分の楽しみのために生きてるだけや…ふふ。
  あ、もう皮膚細胞再生時間やんか。ほな、おやすみ〜(がちゃ)」
全員「…(ぞお〜〜)」






※「パニの奴とっつかまえて…」…2008年2月2日のKBS2『スター・ゴールデン・ベル/少女時代スペシャル』において、
 ”メンバーに聞いたもっとも洗わない(不潔な)メンバーは?”と言うアンケートで1位がティファニーだった。
     4分50秒頃から
    「アニー! アニー!(違うもん、違うもん)」と叫ぶティファニーが可愛い。


 『Kissing You』で活動していた頃の彼女らは、ほぼ毎週『スター・ゴールデン・ベル』に出演しており、
 相当なネタの宝庫になっている。


※フラビオ・ブリアトーレ…ナオミ・キャンベルの元旦那。イタリア人。
    

    ひと言で言うと油断できない男。
    だがビジネス手腕は世界トップクラス。
    2009年11月頃、クラッシュゲート事件という
    スキャンダルによってF1界を永久追放された。
    はずだったが、最近は和解が成立している。
    なんのこっちゃ。
 

※ココマ(꼬꼬마)…テヨンのあだ名のひとつ。”コマ(ちっちゃい奴)”に更に”コ”を重ねて強調している。”ドちび”と言う感じか。
 少女時代メンバーの中でそう呼ぶのはサニーだけのようだが、自分より背の高い(たぶん)テヨンを”ココマ”と呼ぶその度胸はえらい。
 テヨン本人も”小さなリーダー”という意味で”ココマリーダー”と自分を紹介することもある。中国では”小鬼隊長”と表記される。


※ワールドスター…歌手、モデル、俳優であるピ(レイン)のこと。J-TUNEエンターテインメント役員。
 ハリウッド映画『スピード・レーサー』『忍者アサシン』などに出演し、ニューヨークMSGで公演したためワールドスターの異名を持つ。
 日本では”1円歌手”と呼ばれるほどパッとしないが、韓国での人気は半端なく高い。
    


※1991年F1ベルギーGP…ミハエル・シューマッハは前戦までベルトラン・ガショーが乗って予選順位20番手以下だったマシンで
 いきなり7番手に入り、鮮烈デビューを飾った。
 それも名だたるドライバーズ・サーキットのスパ・フランコルシャンでのことで、その才能を大いにアピールすることとなった。
 恐ろしいほどの垂直Gがかかる名物コーナー”オー・ルージュ”ではアイルトン・セナでさえ一瞬アクセルを緩めるのに、
 彼はフルスロットルで通過したと云われている。
 ただ、ジョーダンのマシンが搭載していたのは非力なフォードエンジン。
 強力なホンダエンジンを積んだセナと同じマシンでもフルスロットルで行けたかとなると疑問である。
     ま、興味ないでしょうが…


※MBLAQ…エムブレク。ワールドスターが育てた男子メンバー5人で結成されたグループで、2009年10月にデビューした。
 Music Boys Live in Absolute Quality(絶対品質に生きる音楽少年たち)と言う意味であるが、どう考えてもこじつけ。
 何故『メン・イン・ブラック』からとりました、と素直に言えないのかな。